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2023.08.25更新日:2024.08.09
――譜久村さんのモーニング娘。人生が始まった2011年。コンサートツアー「Hello! Project 2011 WINTER〜歓迎新鮮まつり〜」にて、つんく♂さんの「譜久村降りといで」という呼びかけからのサプライズ9期加入発表は、ファンの間で伝説的なエピソードになっていますが、改めて当時の思い出や気持ちなどを教えてください。
譜久村 オーディション自体は2010年に行われていたんですけど、私は「今回が本当に最後のチャンス」と思って参加していました。でも三次審査で落ちてしまって……。なので9期の加入が発表されたコンサートツアーを最後に、当時所属していたハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)も辞めるつもりでいたんですよ。2010年は気持ち的に落ち込む出来事もあったりして、それが体調にも出てしまっていたんです。なのでオーディションに落ちてからも「せっかくチャンスがあったのに、私は入れなかったんだ」とか、「モーニング娘。に入りたかったな」とか思ったりして、ふとつらい気持ちになっていたことを覚えています。
――落ち込んでいた理由についてもう少し詳しく聞いてもいいですか?
譜久村 2008年からハロプロエッグとして活動していたんですけど、憧れだった世界に入って、楽しいことだけじゃなくて厳しいこともたくさんあるんだということを知りました。なかでも2010年にハロプロエッグの中でメンバー選抜があって、大好きだったお姉さんたちが一斉にいなくなってしまったんです。それが本当にすごくショックで。そして当時は、年齢のことをすごくシビアに考えていました。最後のオーディションを受けた当時は中学二年生だったんですけど、アイドルに挑戦するのにはそろそろ限界の年齢だと思っていたんです。誰かから言われたとかそういうことではないのですが、その当時は今とは全然違って、世の中の空気的にアイドルとはなんとなくそういうものだ、みたいな感じがあった気がします。
――サプライズ加入が発表された時にトレードマークのロングヘアをボブにチェンジしたことも話題になりましたが、改めてそのことについても教えてください。
譜久村 昔からファンの方は知っている話だと思うんですけど、つんく♂さんから言われて(髪を)切ったことがあって。コンサートのリハ中に「切ったほうがいいと思うよ」って何度も言われたんです。それで一度ロングヘアから胸元ぐらいまでバッサリ切ったんですけど、「もっと切っていいと思う」と言われて。中学生ぐらいの時って髪の1cm、2cmの違いがすごく大事なことじゃないですか。当時の自分は「ロングヘアしかありえない!」と思っていましたし、最初のほうは「うーん」って感じだったんです。でもその時は「もうどうにでもなってしまえ!」と思って、肩までさらにバッサリ切りました。結果それでモーニング娘。に合格できたので、よかったんですけど(笑)。ちなみに合格発表された日は寝ぐせがすごくて、でもボブヘアの扱いが分からなかったのでそのままの状態で現場に行きました。マネージャーさんから「とにかく髪を耳にかけて」って言われて、よく分からずアメピンを雑にさした微妙なヘアスタイルの自分の姿が一生残る映像になってしまったのも、今ではちょっとした笑い話です(笑)。
――つんく♂さんから名前を呼ばれた時の記憶は残っていますか?
譜久村 まさか名前が呼ばれるなんて思っていなかったので、頭が真っ白になりました。でも目の前で優しくおいでーってしてくれた高橋愛さん、新垣里沙さんの姿や、サイドの雛壇にいらっしゃったBerryz工房さんと℃-uteさんがすごく喜んでくださったことはすごく覚えています。あとはMCだったまことさんが「ふくちゃーん」って呼んでくれたことも印象に残っていますね(笑)。
――ハロプロエッグから初めてのモーニング娘。加入メンバーとなった譜久村さんですが、他の9期メンバー3人が一般加入ということでプレッシャーを感じたりしていたのでしょうか?
譜久村 自分が先輩だとかそういうことは一切思っていなかったですね。3人のことはオーディション番組で観ていたので、ちょっと不思議な感じはしましたけど。最初、鞘師里保ちゃんと鈴木香音ちゃんは「ハロプロエッグ出身の先輩なので譜久村さんって呼びます」って感じだったんですけど、そんな時にえりぽん(生田衣梨奈)が「ねぇ、みずきって呼んでいい?」って言ってくれて(笑)。それで最初から9期の間で敬語はなしにしようって話になりました。
でもハロプロエッグとしての経験があるからこそ、自分が9期を引っ張っていかないと! という気持ちは確かにありましたね。例えば香音ちゃんはモーニング娘。のオーディションを受けるまで敬語という存在を知らないような子だったので言葉遣いだったり、自分が使った楽屋は最後に片付けてから出ることとか、基本的なことを教えたり。レッスンでも「譜久村はエッグ出身なのになんでできないの?」って言われたりすることが結構あったので、自分がちゃんとしないとダメだという意識は常に持っていたと思います。
――なかなか複雑な立場ですよね。
譜久村 そうですね。でも当時は、それよりも自分の中にあるネガティブな考えのせいで勝手に疎外感を感じてしまったことのほうがつらかったかもしれないです。当時はレッスンで二つのチームに分かれることがよくあったんですけど、なぜか私だけ別のチームになることが多かったり。あと、加入後初めてのシングル『まじですかスカ!』のグループ写真で、他のメンバーは前のほうなのに私だけ違ったりしたんですよ。当時のメンバー数や構成を考えると特別不自然なことでもなかったんですけど、その時の自分は「私も新メンバーなのに……」とか「オーディションに一回落ちているしオマケみたいな存在なのかな」とか思ってしまったりしていました。
そもそも自分に自信がなかったのが一番の原因なんですけど、他の9期メンバーみたいに明るいテンションではいられなかったし、みんなの個性が羨ましくって自分と比べては落ち込むみたいなことも多かったです。
――当時そういった不安な気持ちを相談できる相手はいたのでしょうか?
譜久村 もともと悩み事を人に言うのが苦手なタイプなんですけど、当時はつんく♂さんから「毎日連絡して」って言われていました。もちろん毎日は申し訳なくてできないんですけど、三日に一回ぐらいのペースでメールをしていました。そこで「他の9期メンバーにはすごく素敵な個性があるのに自分にはないんです」って相談したら「無理に探そうとしなくていいんだよ」ってメッセージをくださって、それがすごくうれしかったのを覚えています。その時の自分はすごくプレッシャーに弱くて、つんく♂さんに直接話す機会があってもすぐ泣くような子だったので、だからメールでコミュニケーションをとってくださったのかなと思います。
――そんな自分自身が不安な状況下で、10期オーディション開催が発表された時はびっくりしたのではないでしょうか?
譜久村 そうですね、9期メンバー全員ですごく落ち込みました。「私たちがダメだったってことかな」って。それで「クビにならないように頑張ろう!」みたいな感じになって、もともと仲はよかったんですけど、このタイミングでさらに結束力が高まりました。
――先輩メンバーとの交流だったり思い出も教えてください。
譜久村 なぜかすごく覚えているのが『女と男のララバイゲーム』を先輩が9期にマンツーマンで教えてくださった時のことです。私たちが基本的な部分を覚えていたこともあって先輩から「すごいね」、「めっちゃできてるじゃん」とすごく褒めてもらったんですよ。でも、その一か月後ぐらいのリハーサルで先生から「9期はなんでこんなにできないの?」ってすごく怒られて。私たちも「……あれ?」みたいな。これは先輩たちの思い出というよりも、当時の環境の話になっちゃうんですけど、そういう厳しい状況がすごく衝撃的でした。私たちができていなかったのが悪いんですけど、その当時は褒められていたのに急に怒られるという展開にとにかく気持ちが追いつかなくて「大人って怖い……」みたいになっちゃってました(笑)。誰か一人間違えると全員の責任みたいな感じだったので、私たちも切羽詰まりすぎちゃって「なんで間違えるの?」みたいにお互いを責め合うようなこともありましたし。そして自分たちができないせいで先生から怒られて、高橋さんや光井(愛佳)さんを泣かせてしまったこともありました。その時は本当に心苦しくて……。
でもつらいことだけじゃなくて、もちろん楽しいこともたくさんありました。ファンクラブイベントでパントマイムとかダブルダッチとか普段の活動とは全然違うことをする機会があったんですけど、先輩たちとゼロの状態から何かを一緒にできたことが楽しかったです。みんなで「できないー!」とか言いながら練習した時間がすごく幸せで記憶に残っています。あとは初めてのハワイツアーも本当に楽しかったです。行きの飛行機で道重さゆみさんと隣の席だったんですけど、そこで私の亀井絵里さんへの想いを存分に語って聞いてもらったり、逆に道重さんから『3、2、1 BREAKIN’OUT!』で高橋愛さんのソロアングルがすごく可愛いって教えていただいて一緒に観たり。それで最終的に可愛すぎて二人で泣く、みたいな(笑)。この時を機に道重さんとの距離はすごく縮まった気がします。
――初めて自分のメンバーカラーのグッズを持っているファンの人を見つけた時の記憶は残っていますか?
譜久村 当時はとにかくうれしくって(メンバーカラーである)ホットピンクの人ばっかり探していました。でもハロプロエッグ時代の教えで、ライブでは上の席などを含めて全体を見ることが大事、会場にいる人全員に伝わるように大きく踊ることをとにかく意識していたので、明確な記憶というのはあまりないかもしれないです。会場が星空のように壮大なイメージだと思って常にパフォーマンスしていたので、点として見るみたいな意識がなかったからだと思うんですけど。だから自分のファンの方を目の前にしていた時も目線を合わせるとか、当時は全然できていなかったと思います。
でもその話とは別で、ハロプロエッグの時代からファンでいてくださった方含め、お手紙をくださったり会いに来てくれたりするファンの方たちのことは本当によく覚えています。ふと「あの方元気かな」って思い出すこともありますし、いろいろ覚えていますよ(笑)。
――メンバーカラーがホットピンクと知らされた時の記憶は残っていますか?
譜久村 はい。とにかくうれしかったです。色がというよりも、メンバーカラーをもらえたこと自体がまずすごくうれしくて。その時の自分は本当に自信がない暗い感じの子だったので、まさか自分の大好きなピンク、それも明るい色がもらえるなんて……という感じでした。そして大好きな先輩の道重さんと似た色というのがまたうれしくて。発表された日は帰ってすぐ母親に自慢しました(笑)。
――その他に2011年で印象に残っていることはありますか?
譜久村 2011年は、東日本大震災という悲しい出来事があった年でもありました。そこで自分たちにできることを、とハロプロの一員として復興に向けてのイベントに参加したり、コンサート会場のロビーで募金活動をしたりしたこともすごく印象に残っています。そしてこの年はリーダーの高橋愛さんが卒業されたことも大きかったですね。高橋さんが卒業発表されてからはずっと「これが一緒にパフォーマンスできる最後の機会なんだ」という気持ちを持って活動していました。そしてマネージャーさんや周りのスタッフさんから「絶対9期が(パフォーマンスの質を)下げるようなことがあってはならない」とよく怒られていたので、自分たちなりにすごく頑張っていた記憶が残っています。高橋さんは本当に素敵なリーダーで、最後の最後まで9期にいろんなことを伝えようとしてくださいました。「ここはこういう思いを込めて歌うんだよ」って丁寧に説明してくださったり、注意する時はハッキリと伝えてくださったり。でもオフになると先輩からお姉さんになる、みたいな感じで、9期メンバー全員で109に連れていってもらって、それぞれが気に入ったものを買っていただいたこともありました。私はその時にハンガーを買っていただいたんですけど、今でもすごく大事にしています。
――当時のメディアでは先輩メンバーが9期に対して厳しく指導している姿が印象的だったので、オフのエピソードは貴重な話ですね。
譜久村 そうですよね。光井さんも常に9期を見てくださっていたので厳しいイメージを持っている人もいるかもしれないんですけど、プライベートでは本当にたくさん優しくしてもらいました。パンケーキ屋さんに行ったり、一緒にプリクラを撮ってもらったり、楽しい思い出がたくさんあります!
そして、あと2011年といえば、モベキマス(当時ハロー!プロジェクトに所属していたモーニング娘。、Berryz工房 、℃-ute、真野恵里菜、スマイレージが参加するユニット)の活動もすごく楽しかったです。ハロプロエッグの同期で大の仲よしである竹内朱莉ちゃんと共演できたことが本当にうれしかったんです。『ブスにならない哲学』のMV撮影も朱莉ちゃんと一緒でとにかく楽しくてずっとふざけていた記憶があります。全員のスケジュールがなかなか合わなくてダンスレッスンが大変だったこともありましたけど、先輩たちが全員とにかくキラキラしていて、それも印象に残っています。
――2011年に歌やパフォーマンス面で感じていたことも教えてください。
譜久村 デビュー曲の『まじですかスカ! 』の時は9期メンバー全員横並びという感じだったんですけど、次のシングルの『Only you』で里保ちゃん一人だけがパーンと前に出ていったんです。当時、自分的には上手にレコーディングできた曲だと思っていたんですけど、結果4行しかパートがなくてソロ部分もなくて。「短期間でこんなにも差がついちゃうんだ」って愕然としました。そこで現実は甘くないということを改めて感じたんですけど、落ち込むというよりかは、踊りのポジションが2列目の真ん中だったので、そこを守るぞ! みたいな気持ちでした。「ここでいい姿を見せることができたら次に絶対チャンスが来る!」 みたいな前向きな感じでしたね。
そしてソロパートを初めてもらったのはモベキマスの『かっちょ良い歌』というカップリング曲だったんですけど、そこで初めて自分の歌声を聴いて「こんなにも薄っぺらい声だったんだ」ってすごいショックを受けました。その時に「こんな声じゃ『Only you』のパートをもらえるはずがないじゃん」って思って(笑)。その後に同じくモベキマスの『もしも…』でメンバーに選んでいただいて、大好きな真野さんと一緒に歌える貴重な機会ではあったんですけど、自分は歌がうまくないという事実を知ってしまったこともあり、レコーディングが思うようにできなくて大泣きした記憶があります(笑)。返しで聴こえてくる自分の声が嫌すぎて「この曲はもっと可愛いのに……」って思っていました。
モーニング娘。のさらに次に出たシングル『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』でも、9期メンバーの中では里保ちゃんにしかソロパートがないという状況は変わらずで、「これからずっとこんな感じなのかな」とかなんとなく思ったりはしていました。でも引き続き自分は頑張ろうっていう気持ちを持った2011年でした。
――いろいろお話していただきましたが、2011年を総括してどんな年だったと思いますか?
譜久村 つらかったことや自信をなくすような出来事もありましたけど、総括すると圧倒的に楽しかったという気持ちのほうが強い一年でした。ずっと目指していたモーニング娘。としてデビューするという大きな夢が叶って、常に目の前はキラキラと輝いていたんですよ。だから頑張る気力がすごくありました。
――最後に譜久村さんにとっての2011年を一言で表すと?
譜久村 「多くの方に自分を見つけてもらった年」です。モーニング娘。にならなかったら絶対に経験できなかったことだと思うので、この一言にしてみました。
譜久村さんを含む9期メンバーのデビュー曲となった1曲。
「コンサートツアー2011春 新創世記 ファンタジーDX ~9期メンを迎えて~」ての円陣。
「Hello! Project 2011 WINTER~歓迎新鮮まつり~」にて。
モーニング娘。45枚目のシングル『まじですかスカ!』のオフショット。
『まじですかスカ!』のグループ写真にて、9期メンバーの中で譜久村さんだけが2列目だった時。
『笑えない話』/アルバム「14章~The message~」収録
――毎回メンバー一人一人に、譜久村さんが贈りたいモーニング娘。の楽曲をセレクト。 第一回は16期メンバーの櫻井梨央さんです。
譜久村 らいりー(櫻井梨央)に贈りたいのは『笑えない話』です。らいりーのことは、加入した時から今までのモーニング娘。にはいない独自のセンスを持った子だなと思っていて。女の子って10代の時とかだと可愛いものが好きな子が多いじゃないですか。でもらいりーはシックというかカッコイイ系のものが好きな子なんですよ。私服でもシルバーのジャケットとかウエスタンブーツとか個性的なものを上手に取り入れているし、スマホケースも大人の女性が選ぶ感じのものを好んで使っているんですよね。私が思うモーニング娘。の魅力の一つが“他人に流されないところ”だと思うんですけど、らいりーはまさにそれを体現するようなカッコイイ部分を持った子というか。そういう自分のいい部分を貫いている姿が素敵だなって思うし、この『笑えない話』という楽曲がそんならいりーにピッタリだなと思って選びました。モーニング娘。’14時代の曲で、長らく皆さんの前で披露していないと思うんですけど、是非らいりーにカッコよく歌ってほしいです。
●ふくむら みずき 1996年10月30日生まれ、東京都出身。ハロプロエッグ(現ハロプロ研修生)を経て、2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にモーニング娘。史上最年少でリーダーに就任。2016年よりハロー!プロジェクトのサブリーダー、2019年よりハロー!プロジェクトのリーダーも兼任する。愛称はふくちゃん、メンバーカラーはホットピンク。当時のプロデューサー、つんく♂から「少しウエットな色気のあるメンバー」と評価を受け、独自の魅力を磨きつつステージでは高いパフォーマンス力を見せつけるオールラウンダーとしても知られる。
パーカ(オープン価格)/キャブ(ユナイテッドアスレ) スカート(ニットセット) ¥35200/エイタークルー(ハディクリー) イヤカフ ¥13970/LOHME リング ¥1650/サンポークリエイト(アネモネ) スニーカー(9月発売) ¥8800/コンバースインフォメーションセンター
モーニング娘。’23
モーニング娘。ベストセレクション ~The 25周年~
モーニング娘。誕生25周年記念のベストセレクションアルバム。つんく♂によりセレクトされた、モーニング娘。歴代の人気曲の中から14曲、タンポポ・プッチモニの楽曲からそれぞれ1曲ずつを、現役メンバー12名(17期メンバーを除く)で再レコーディング。 加えて17期を迎えた新体制メンバーでの新曲『HEAVY GATE/なんざんしょ そうざんしょ/悲しくなるようなRainy day』の3曲も収録。計26曲、CD2枚組を初回生産限定盤と通常盤の2形態にて8/30(水)にリリース。
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