とても悲しいことだけど、今の日本に女の体で生まれて、これまで一度も性被害に遭ったことがない人はほとんどいないだろう。でももっと怖いのはそれを「自分も悪かった」「仕方ない」と思わされたりすることだ。
この作品は性被害のトラウマに苦しめられ続けていた著者が、ある日勇気を出して加害者にメールを送る場面から始まる。弁護士に相談に行ったり、子ども時代を振り返ったり、ハードな心理療法に挑んだりと、苦しみを乗り越えるための壮絶な闘いが描かれる。けれどそれよりも壮絶なのはとことん自分の内面と向き合って自分を掘り下げていく内面の描写だ。何度読み返してもその気持ちの強さに涙が溢れる。
つらいことがあったとき、忘れる、という方法もある。でも、それで解決できないならとことんやるしかない。この漫画はそのことを教えてくれる。
今、苦しみと闘おうとしている人には宝物になるような本だと思う。読むのは少ししんどいかもしれないけど、まずは手に取ってみてほしい。