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【友野一希選手独占インタビュー】「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る【フィギュアスケート男子】
“ベテランと言われる年齢になったけど、今スケートがとても楽しい”。そう話すのは、今シーズン極上の演技で自己ベストを何度も更新し、メダル争いに食い込む選手へと成長を遂げた友野一希選手。
権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。
友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.9「最愛デニムジャケットとフランス杯、エキシビションのメイクについて」<フィギュアスケート男子>
2022.11.10 更新日:2023.12.22
vol.9 着られる季節をずっと待ってました! 最愛デニムジャケット
こんにちは、フィギュアスケーターの友野一希です。
僕の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載、もう第9回目です。
今回のテーマは、今の気分にぴったりなデニムジャケット。
後半では先週末のグランプリシリーズフランス大会のご報告に、「お気楽お悩み相談室」も。ぜひ最後まで読んでくださいね!
自分史上最高にかっこいいデニムジャケット
今日は着られるのを今か今かと待っていた、めちゃくちゃかっこいいデニムジャケットを紹介します。
もともとデニムジャケットが好きでたくさん持ってるんですけど、これはもうね、今まで買った中で一番と言っても過言じゃないくらい気に入ってます。
買ったのはまだ夏の初め。ルーカス(本田ルーカス剛史)を連れてアメ村で古着屋さん巡りをした時のこと。その日は豊作で運命的な出合いがたくさんあったんですが、中でもこのジャケットは格別で。
早く着たくてしょうがなくて、まだ夏だっていうのにうきうき家の鏡の前であれこれ合わせてみたりして。ずっとこのジャケットを着られる日を心待ちにしてたんです。
家族はいつも通り「まあいいんやない?」みたいな反応でしたけど(笑)。
結構小っちゃく見えるんですけど、着てみると超ぴったり。僕は第一ボタンまでしっかり留めたスタイルが好きです。
ボトムは前にご紹介した「ラングラー(Wrangler)」のランチャードレスジーンズ。
ジャケット丈が短めな分、ハイウエストではいてあげれば、さらにアメカジムードがアップ。上がコンパクトなので、もう少し太めで楽にはけるスラックスにもよく合います。
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デニムジャケットの礎を築いたファーストモデル
「リーバイス®(Levi’s®)」から誕生したデニムジャケットは、年代によって3タイプあり、それぞれ1st(ファースト)、2nd(セカンド)、3rd(サード)という通称で呼ばれています。
みなさんが普段目にするのは最も新しい3rdで、もともとワークウェアとして誕生したデニムジャケットがファッションとして親しまれるようになったことを受け、大幅にモデルチェンジされたもの。デニムジャケットの完成形と言われていて、多くのブランドの出しているデニムジャケットのベースとなっているモデルです。
(ちなみに見た目はほぼ変わりませんが、3rdより丈が長めでスリムな4thと呼ばれるモデルも。)
僕のはデニムジャケットの元祖にもなっている1stをベースにデザインされたもの。1stモデルをずっと探してて、ようやく出合えたものです。
1stの特徴は、なんといってもポケットが片方のみで一つだけということ。
ボタンの両サイドにはフロントプリーツとよばれるヒダが入っていて、動きやすい作りに。丈も短めで、ワークウェアとしての実用性を重視したものになっています。
これが本家「リーバイス®(Levi’s®)」のものになると何百万円もするものもあるんですが、すごく安く買えたんですよ!!
タグが取れちゃってるので、どこのブランドのものかはわからないんですが、かなり古いもの。ボタンはパチパチ式のスナップボタンで、裏地が赤のチェックになっているのもポイント。
裏地は剝がれちゃってる部分もあって、いっそのこと全部取ってやろうかなとも考えましたけど、やっぱり可愛いから残しときたいな。
ちなみに買ったのはアメ村にある古着屋「マグネッツ」さん。ここもかなり通ってて、他にもたくさん買ってます。アメカジ系が豊富で、小さいサイズも多いから僕向き(笑)。
僕は古着はサイズ感が一番大事だと思ってて、買う時はかなりしっかり試着して、絶対妥協しない。自分のためのものなんじゃないかっていうほどシンデレラフィットするものに出合えた時はたまらなく興奮するし、古着のよさってそういうとこなんじゃないかな。この子もブランドは分からないけど、こんなにぴったりなものはないって思えた最高の1着。これにブーツを合わせたりしておしゃれを楽しみたいなと計画中です。
ちなみに1stのストンとしたボックス型の形もとても可愛くて、女性にもおすすめ。
「リーバイス®(Levi’s®)」はもちろん、今は色々なブランドが1stをベースにしたヴィンテージライクなモデルを出しているので、ぜひこの秋のアウター候補に加えてみてもらえたらうれしいです。
11月4~6日に開催されたグランプリシリーズ フランス大会で見事銅メダルを獲得。フランスを大熱狂の渦に巻き込んだ伝説のエキシビションのお話も。
グランプリシリーズ フランス大会を終えて
フランス大会は“満足のいく結果だった”
グランプリシリーズフランス大会を終え、無事に帰国しました。
今回はミスもありましたけど、今の僕にとっては満足のいく試合だった。
練習をしっかりしていたので、失敗してもいいという気持ちで臨めたし、後悔がなかった。ポジティブな悔しさっていうのかな。
ミスもどうしようもないミスではなく、次が見えるような結果も得られましたし、ステップや演技構成点も評価されて、あとはジャンプを突き詰めるだけと改めて分かったことが収穫。
僕これまでグランプリ1戦目でメダルを取ったことがなかったんですよ。でも今回は最初から点数も上がってきましたし、今までのグランプリシリーズと比べて成長を感じられたのが一番大きかったです。
あとは他の選手たちが頑張ってるのを見て「僕はまだまだ頑張らんといけんな」って思えるような。みんなへのリスペクトも含め、納得のいく順位だったと思います。
次戦NHK杯に向けて。自分らしさを磨き上げることが勝利への鍵
次戦はNHK杯。フランス大会で出たミスは自分の中で結構よくある内容だったので、その部分を重点的に練習するのと、もう日数も少ないのでコンディションを整え、できることをやっていくだけ。
今回3位はかなり出遅れましたけど、全員がファイナルへの切符がかかった大事な試合ですし、同世代のライバルたちが集まっているので楽しみでもあります。
今の僕の強みは、4回転サルコーやアクセルでかなり加点をもらえるようになったこと。
NHK杯に出場する選手たちは誰が一番強いとかじゃなく、みんなそれぞれの武器をもっているので、僕も自分らしさを磨き上げることこそが、あのメンバーの中で戦っていく上で大事になってくると思います。
「人生で初めて足が動かなくなった」エキシビション
初めて大きな大会で披露することになったエキシビション「WHAT’S MY NAME?」。
照明の演出や、大音量の音楽も相まってめちゃくちゃ気合が入りました。
初見だと若干ぽかんとなってしまうプログラムかもしれないですけど、演技後半に向かうにつれて客席と一体化していくような感覚があって。特にバレエジャンプの音ハメ部分。僕も大好きなパートなんですが、あそこが盛り上がったのがよかったですね。そこでミスったら本当にそのままお客さんを置いてけぼりにしちゃうとこだったんで(笑)。
ただお客さんがたくさん入っていたこともあり、テンションが上がって最初からエネルギー全開でいったら、2本目のアクセルあたりから完全に足が動かなくなっちゃって。最後のステップもよろっとしちゃったりとか。
終わったあとも限界までスクワットした後みたいに足がずっとぴくぴく震えてて。人生で初めて本番で足が動かなくなったっていう……。試合の疲れもたまっている状況だったから、まじできつくて命が削れる音がしました(笑)。
後から映像を見たら、自分でも何やってるか分からないくらい激しく動いてて。あの日はメイクもうまくいってかなりプログラムに入り込んでましたし……。
でもまあ最後に力尽きるくらいがロックなんじゃないかな。その気持ちでこれからもやっていきたいですし、メイクもどんどんうまくなりたいです。
メイクに関しては、左のほうがまだちょっと濃いめでしたけど、左右の差がほとんどなくなってきて、だんだん上達してます。ぼかし方や道具の使い方が少しずつよくなってきたというか(笑)。
コスメは人気のアイテムをまとめて薬局で購入したもので、アイライナーやアイシャドウ、アイブロウなど、だいたいKATEさんで揃えました。
そうだ! いつかやるだろうな、とは思ってたんですけど、革ジャンの下に着るインナーをホテルに忘れちゃって。もう時間もなかったんでかなり焦りましたね。
革ジャンを脱ぐジャケットプレイの振付があるんですが、脱げないので急遽アドリブでしのぎました(笑)。
今シーズンもエキシビションにたくさん出演できたらと思いますので、今後も楽しみにしていただけたら!
番外編
大会中は常に草太と一緒にいました(笑)
空き時間は一緒に出場していた(三宅)星南と(山本)草太と三人でいろいろと回りたいと思っていたので、彼が体調を崩してしまったのは心配だったし、残念でしたね。
なので今回は草太と二人で街を散策。大会が開催されたアンジェは昔ながらの街並みが残っていて、歩くだけで楽しくて。練習後に草太とホテルのすぐ近くにある大きな教会やお城に散歩に行ってました。
あとはマクドナルドもよく行ってて(笑)。試合後に二人で行ったマックはいい思い出ですね。
最終日はフランス料理を食べに行きたかったんですけど、日曜日でお店があまり開いてなくて、なぜかお寿司をテイクアウトしてホテルで仲よく食べました。
「おかえり」という気持ちで草太の演技を見ていた
ほんとに草太とは大会中、常に一緒にいました(笑)。シニアでこんな一緒におるの俺らだけやろって話してて(笑)。ジュニアのノリのまんまでした。
おかげでずっと自然体で落ち着いていられたのがよかったですね。試合の時はお互い集中できますし、改めていいライバルだなって。
フリーでは僕の次が草太の出番だったこともあり、勉強も兼ねて演技を見ていたんです。アダムくん(アダム・シャオ・イム・ファ)の素晴らしい演技の後でプレッシャーもすごかったろうし、「頼む、耐えてくれ」と祈りながら。
フリーはお互い65%くらいの出来でしたし、あれだけ仕上げていても本番ではミスが出ちゃうので、もっと完成度を上げなきゃなとお互い話をして。でも最終滑走で大崩れせずあれだけの演技をやりきったのはさすがですよね。
悔しいだろうなと思いながらも、本当の意味で彼が戻ってきた感じがして感動しました。「おかえり」って言う気持ちが思わずあふれ出しましたね。
試合で実力を出せるようになってきて、こういう舞台で一緒に表彰台に上れるのは本当に幸せで。うれしさと感動と、尊敬と。ずっとそんな気持ちで見守ってました。
まあできれば順位は僕が上のほうがよかったですけど(笑)。次こそは勝ちたいな。
二人の写真が増えていくのが楽しい!
向こうでのオフショットを皆さんにお見せしたいと思ったんですが、見事に草太との写真しかない(笑)。
草太とは普段から結構遊んでるんですけど、二人の写真が全然ないってことに最近気づいて。やっぱり男の子だからプライベートであんまり写真撮らないんですよ。
でもこのままじゃ連載に載せるのにめっちゃ困るって分かったので、最近撮るようにしてるってのもあります(笑)。
改めて撮るのはちょっと照れくさいですけど、後から見るといいものですよね。二人の写真が増えていくのは嬉しいので、NHK杯の札幌でもたくさん撮れたらいいな。
あとはメダルの賞品としていただいた美顔器がめちゃくちゃすごいものらしくて。
「ドクターアリーヴォ ゼウスⅡ」という商品で、名前からしてもうかっこいいんですよ。お肌がきれいになるといいなって思いながら、これから試してみるつもりです(笑)。
■ info.
次戦はいよいよ札幌にて開催されるNHK杯!(11/18日(金)~20日(日))。試合を重ねるごとに進化する姿を目に焼き付けて!
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本当にたくさんのお悩みを送っていただきありがとうございました!
みなさんのお悩みを一緒に考えることで、自分を見つめ直すことにもつながるし、発見や学びがあって、僕も勉強になります。
いただいた中から僕なりに少しずつお答えしていければと思います!
僕も早起きは苦手です!(キッパリ)
体質もあるんで、ほんとに起きれない時は諦めましょうとしか言いようがないですけど、だいたいの場合はちゃんと起きようって気持ちがないから(笑)。
僕も何度も経験ありますよ。合宿中に疲れてそのまま寝ちゃって、寝坊した罰として走らされたこともめっちゃあります(笑)。
要するに寝坊する時っていうのは、気を抜いて翌朝に意識が向けられずに寝ちゃった時なんですよね。朝に向けて寝る準備をしていくのがコツなんです。
僕は夜ごはんを食べてお風呂から出たら、ストレッチをして、音楽を聴きながら少しず~つリラックスモードに切り替えていく。照明を暗くするのもいいっていいますよね。それを習慣付けていけば勝手にスッキリ目覚めることができると思います。
なかなかお布団から出たくない~って人は、「5秒の法則」がおすすめ。起きようって思った瞬間から5秒カウントダウンして、0になったらすぐに起きる。そうすることで何事も瞬間的に行動できるようになるのではないでしょうか。
それは別に悪いことではないと思います。頑張ってるからこそ悔しいし、その気持ちは大事なので絶対捨てちゃだめです。
僕も同じような経験があるので気持ちがよく分かるのですが、普段から心がけているのは「人は人、自分は自分」と、他人と自分を切り離して考えること。何でも自分主体で考えて、全部“自分のため”にやってください。
だから今後の自分の成長のためにもちゃんと「おめでとう」と伝えてあげてください。負けてしまった悔しさも友達ではなく、自分にぶつけて次の原動力にしてほしい。
他人のすごいところを認めることができるようにならなきゃ、ではなく、自分の足りなかった部分を受け入れること。
そうやって自らの課題に向き合えば、もっと成長したいと思うようになるし、心に余裕が生まれて自ずと人のいいところも褒めることができるようになるはず。
これは悩んで悩んで、何年もかかってようやく出た僕なりの答えです。
誰かと比べて、嫉妬するんじゃなく、自分の弱さと向き合い、受け入れることが成長につながるんじゃないかな?と思います。
語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美
※いただいたお悩みは掲載にあたり、内容をそのままに文章の一部を短く修正している場合がございます
Profile
フィギュアスケート選手 |
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。
“浪速のエンターテイナー”の異名をもつ、表現力豊かな唯一無二のスケーター。
層の厚い日本男子の中で、地道に積み重ねてきた努力が先シーズン開花。四大陸選手権2位、世界選手権では世界歴代6位の記録でショート3位につける大躍進を遂げ、今後ますますの活躍が期待される選手。
▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
Interview
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フィギュアスケーター友野一希連載・2022-2023シーズン開幕インタビュー!【 #トモノのモノ語り。】vol.4<フィギュアスケート男子>
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【友野一希選手インタビュー】最近のファッション事情から、ハマっていること、 私服コーデも公開!【フィギュアスケート男子】
趣味は古着屋さん巡りや革靴を愛でること。フィギュアスケート界きってのファッショニスタで知られる友野選手の最近のお買い物事情からファッションのこだわり、さらには最近ハマっていることについてたっぷり聞いてみました! こだわりの詰まった私服コーデも公開!
Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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