――曲をどうやって自分の中で理解していったかの過程も教えてください。
“価値観”っていうものを少しずつ知っていって、まずは自分の心を開かないと何も始まらないんだと気づけたことが大きな転機になりました。またさっき話に出たカップルの話になってしまうんですけど、すごい興味深い話をしてくれて。とあるカップルがいるとします。一人は烏龍茶が大好きなんですけど、もう一人は烏龍茶が大嫌いで目の前で飲まれるのも嫌なんです。それで別れちゃうケースがあるらしく……それってすごく衝撃的じゃないですか!? でも、その話をしてくれた彼氏さんは「もし自分だったら、二人で楽しく飲める別のお茶を探すかな」と言っていて。その時に優樹は「なるほど、それが価値観というものなのか」と思ったんです。受け入れることとか、距離感の大切さとか。新しいものと向き合っていく上で大事なことを、そうやっていろんな人たちの話を聞くことで、少しずつ理解していきました。
――その気持ちが楽曲に対しても向いていったということですね。
そうです。今まではつんく♂さんの曲と向き合っていたので、他のアーティストさんの曲を同じような感覚で聴いてこなかったんですよね。だからいただいた楽曲に対しても最初は「無理」ってなっちゃいましたけど、それが「知りたいな」という気持ちに変わっていきました。時間はかかりましたけど、そう思えるようになってからは本当に楽しいです!
――では改めてそれぞれの楽曲について教えてください。
『Ding Dong』はそれこそ優樹にとって初めてすぎる感じの曲で、理解するのに時間がかかりました。でも気づいたら頭にスッと入っていたんです。大人の方にとっては懐かしい感じもあるみたいなんですけど、ということは絶対へたには歌えないんです。その大人が聴いていた楽曲って、すごく歌が上手な人のイメージだと思うので。だから曲や音のよさが傷つかないように、頑張らないといけないというプレッシャーもすごくあります。この曲を自分の曲にできるようになりたいって思いながら歌っています。
――振り付けもモーニング娘。とはまた違った余裕を感じるようなイメージですよね。
振り付けはめちゃくちゃ難しいです。そもそも、一曲を通してずっと一人で歌って踊るって、オーマイガー!じゃないですか。バックダンサーの方もついてくださって、ありがたい限りです。
――『ロマンティックなんてガラじゃない』はまたがらりとイメージが異なるポップで可愛らしい楽曲ですね。
そうですね、明るいイメージです。あと最初に聴いた時にピンクの曲だなって思いました。そして恋愛に興味がない人でも、きっと好きになってくれる曲なんじゃないかとも思いました。この曲に関してはまだ掴みきれていないところがあるので、今後どうなっていくのかが楽しみな部分もあります。
――ライブで見られる日が来るのも楽しみです!
それまでにはもっとちゃんと仕上げたいですね。お客さんがこの2曲をどうやって受け取ってくれるんだろう、と考えるとすごくドキドキします。もしかしたら最初、すごい悲しませる状態になるかもしれないという想像も一応するだけしていて……(笑)。きっと自分の段階が上がったらまた違う曲になるんじゃないかとも思いますし。この2曲を完成させるのにきっと4、5年はかかるとは思うんですけど。
――それぐらいの気持ちで向き合っているということですね。
モーニング娘。の曲も理解するのに7年はかかったので、それぐらいはかかるんだろうなって。だから今、この2曲に対しては「友達になろうね」みたいな感覚でいます。