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フィギュアスケート
2019.11.25更新日:2020.03.04
14世紀のイタリアの都市ヴェローナを舞台としたシェイクスピアによる戯曲。対立するモンタギュー家とキャピュレット家に生まれたロミオとジュリエットの悲恋を描いた物語で、毎シーズン”ロミジュリ被り”が発生するほどの定番プログラム。男子シングルでは髙橋大輔選手、小塚崇彦選手、羽生結弦選手、島田高志郎選手、セルゲイ・ボロノフ選手など、多くのスケーターが使用。
音楽だけをとってみても、ニーノ・ロータ、チャイコフスキー、プロコフィエフ、バズ・ラーマン監督の現代版映画の劇中曲などヴァリエーションが豊富で、選手の個性に合ったプログラムの違いを楽しめる。
羽生結弦選手が2012年世界選手権初出場で見事銅メダルに輝いた時のフリー、そしてその2年後、ソチオリンピックで日本人男子初の金メダルを獲得した時のフリーと、彼が世界にその名を知らしめたプログラムがこの「ロミオとジュリエット」である。2011-2012シーズンでは、レオナルド・ディカプリオ主演の現代版映画『Romeo + Juliet』のサウンドトラックを使用。魂の雄叫びとともに始まるステップ、その気迫溢れる演技は会場中を圧倒し、日本男子最年少での世界選手権メダル獲得は、今も「ニースのロミオ」として語り継がれているほど。
その後、曲をクラシカルなニーノ・ロータ作曲のものに変更し、初出場となるオリンピックに挑んだ羽生結弦。2年前に演じた、すべてを投げ打ってしまうような若々しいロミオから、苦悩する繊細なロミオへと成長し、甘く切ないメロディにのせてのイナバウアーが印象的。振付は世界的な名振付師デヴィッド・ウィルソンが手掛け、衣装も以前の闘志あふれる戦士のようなものから、ジュリエットのアクセサリーのようなストーンが付いたロマンチックなものに変更された。
ジュンファンにとって飛躍の年になった2018-2019シーズンのフリープログラムで、現代版にアレンジされた映画『Romeo + Juliet』のサウンドトラックを使用。ブラジルのヴェローナビーチで繰り広げられるギャングの抗争が舞台で、劇中でアロハシャツをはおったどこか危うげで美しいロミオが、17歳という多感な年齢であるジュンファンの雰囲気にマッチしていると話題を呼んだ。
振付は羽生結弦の「SEIMEI」、「Origin」など、これまで世界最高得点を更新してきたプログラムを手掛けたシェイリーン・ボーンで、これがジュンファンとの初タッグ作品。 演技は映画のプロローグのセリフからスタート。途中雰囲気が一変し、キャピュレット家の仮面舞踏会にロミオが忍び込む場面で使用されたテクノポップが挿入されるなど、これまでのプログラムにはなかった斬新な編曲が話題に。ダンサブルなミュージックに合わせて上半身を大きく使い、挑発的な笑みを浮かべながらステップを踏む姿は大人の色香さえ漂う。このプログラムといえば、クライマックスの「ジュリエーーーーッット」のロミオの叫びとともにジャンプを決め、ラストに向かってどんどん音楽のテンポもスピンも加速していくパート。ラストまで手拍子と歓声が鳴りやまない、ドラマティックで唯一無二のプログラムといえる。

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