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インタビュー
2025.06.17更新日:2025.07.14
7月8日(火)に日本武道館で開催される「モーニング娘。’25 コンサートツアー春 Mighty Magic DX~生田衣梨奈を見送って~」をもってモーニング娘。及びハロー!プロジェクトを卒業する生田衣梨奈さんの卒業連載。第二回目は若くしてグループのサブリーダーとなってもがいた日々、そして今まであまり語ることがなかった本音、後輩との接し方のこだわりなどを赤裸々に語ってもらいました。
思い出に残っているツアー、後輩メンバーとの接し方
――先輩がいない新体制になって初の春ツアー「モーニング娘。’15コンサートツアー春 ~ GRADATION~」での思い出を教えてください。
忘れもしない、(譜久村)聖と初めて大きな喧嘩をしたツアーでした。『リゾナント ブルー』がセットリストの後半にあったのですが、それを日本武道館で披露するかどうかで意見が分かれてしまったんです。私は完璧じゃなくても今の姿を見せたほうがいいと思う派、聖は完璧にできないならやらないほうがいい派で。これまでずっと一緒にやってきて聖はリーダー、私はサブリーダーという立場になったタイミングだったのに、初めて意見が合わないという状況になって、それがすごく印象に残っています。ツアー自体は新体制になって、全員がむしゃらに駆け抜けた感じでした。自分たちのやりたいイメージはあるけど、まだそこには追いつけていなくてもがいている感じ。でもファンの皆さんからは「すごく楽しかった」と言っていただけることが多かったですし、私も今でも映像を見返したりする、大好きなツアーです。
――他にも映像を見返している過去ツアーはありますか?
「モーニング娘。’16 コンサートツアー秋 〜MY VISION〜」は、“GRADATION”のときから成長して、自分たちの見せたいものをちゃんと見せられていたんじゃないかなと思うし、みんな楽しんでいる感じも出ていて、すごく良かったなと思います。衣装も華やかな感じでお気に入りでした。特に『強気で行こうぜ!』、『ムキダシで向き合って』のパフォーマンスが好きです。このツアーではメドレーをはじめ、メンバーそれぞれの声がよく聞こえる楽曲が組み込まれている感じもすごくいいなと思っていて。みんながより生き生きとして見える気がするんですよね。なので、自分のラストツアーもメンバーそれぞれの声が楽しめるような曲を入れることを大切にしました。
――譜久村さんがリーダーになってから12期が本格的に合流となりました。尾形春水さん、羽賀朱音さんは13期が加入するタイミングでダンスレッスンする様子が『ハロ!ステ』で放送されるなど、パフォーマンス面で苦労している印象もありましたが、先輩としてどう感じていましたか?
自分も同じような苦労をしてきているので、二人の気持ちにはすごく共感できました。経験の差だったり、得意不得意も人それぞれあって、頑張るだけではすぐ解決しないこともあると思うので。そして私が二人と同じ状況だったら、そのことには絶対触れてほしくないと思うんです。「大丈夫?」とか、声をかけることだけでも負担に感じてしまうというか。はがちん(羽賀)と尾形もきっとそういうタイプじゃないかと思うので、当時は何も言わずに見守って、遊びに行くとか仕事外のところで接していました。12期だと野中(美希)もそうですね。でも牧野(真莉愛)は逆で、注目してあげたほうが伸びるタイプだと思います。12期に限らず後輩メンバーに対しては、この子はどう言ったほうがいいタイプかな、ということをすごく考えます。慰められたい子、そっとしておいてほしい子もそれぞれいますし。当時リーダーだった聖は言うべきことを言わないといけない立場だったので、私はその代わりに後輩と同じ立ち位置になって考えたり、接することを意識していました。
――いわゆるメンター的な役割ですかね。
そういえばある時、はがちんが「生田さんは昔から後輩に声をかける時、『悩んでる?』みたいな質問系じゃなくて、まず生田さん自身の悩みや、最近うまくいかないことから話してくれるから思わずこちらも話してしまう。悩みを話しやすかった」と言ってくれたことがありました。特に若いメンバーは自分の気持ちを説明することが難しいと思うので、そこに寄り添って引き出すというのは自分ができる役割なのかもと思いました。最初からうまくできたわけではないですが、モーニング娘。の活動を通して意識するようになっていった気がします。
――12期以降の後輩との接し方についてもエピソードがあればお聞きしたいです。
12期に対しては見守るという話をしましたが、たとえば14期の森戸(知沙希)みたいに経験がかなりあって理解したい、理解できる、という子に関しては、何か教えることもありました。でもやっぱり悩んでしまっている子には、あまりその部分には触れないようにします。教えてほしいと言われたとしても、押し付けにならないように、「私の覚え方はこうしてるよ」みたいに一つのアイディアを伝えるような感じにすることが多いかも。ダンス一つにしてもゆっくり曲を再生するのが覚えやすい子と、毎日同じ曲をちょっとずつやっていったほうがいい子と、前日に集中して入れたほうがいい子、みたいにみんな違うので。
あとは、言われたことを後輩がやってきている時は絶対怒らないようにしていました。合格点は越えているのに、周りの人がもっとできることを期待して発破をかけるために怒っちゃうみたいなことって結構あると思うんですけど、それをいきなりされると本人たちはまず「やったのに……」という気持ちになっちゃうと思うんですよ。新メンバーがいきなり明日、10年くらいやっているメンバーと同じにはならないと思うので、そういう意味の「できていない」と「やっていない」は違うと思っていて。9期はそれを何度も味わってきたので、どこか気持ちが分かるんですよね。もちろんそれをバネにすることができる場合もあると思うけど、人それぞれに頑張り方があるし、だからこそ頑張り具合を決めつけたりしたくないなと思って。
パフォーマンスに対しては経験値から「こういうふうにしてるんだよ」ってアドバイスできることはあるけど、「そこできていないよ」みたいな感じで自分が言うのは、ちょっと違うなと感じていて。だから常にちょっと引きの目線でメンタル的な部分を見ている感じでしたね。元気がない子を頑張ってたし、と「おいしいもの食べよう」と声をかけてごはんに連れて行ったり、怒られすぎて明日のリハ来てくれるかな?と心配になる空気感を出している子には話しかけに行ったりしていました。
――生田さんがこの時期に表ではどんなことを意識していたのかなども聞きたいです。
引き続きイジられ役ではありましたが、2018年のはるなん(飯窪春菜)の卒業をきっかけに、ツッコミ役も進んでやるようになりました。はるなんは自分と同じくイジられ役をやっていたけれど、機転が効いてトークも上手だったので、イジる側にもなれるという心強い存在で。はるなんってイジり方がすごくきれいなんですよ。ツッコミとかイジりってともすれば誰かがマイナスに見えてしまうし、そのつど拾うべきポイントも違ってくるので難しくて。でもツッコミ役をするようになってから結構いい反応をもらえることも多かったので、自分なりに頑張りました。そしてトークの部分に関してはずっと仲よくしている元HKT48の冨吉明日香ちゃんの存在も大きかったと思います。ある時ライブを見に来てくれたんですけど「MCの時とか、もっと衣梨奈ちゃんのおもしろさを引き出せると思う。たとえばここはこんな感じにしたほうがおもしろいはず」とめちゃくちゃ的確なアドバイスをくれて(笑)。明日香ちゃんって本当におもしろい子で一緒に話していると時間を忘れてしゃべっちゃうんですけど、ちゃんとポイントを考えて話しているんですよね。だから一緒にいることで学べた部分がかなりあると思っています。
こだわりを貫いて磨いたプロデュース力
――生田さんといえば2013年の「新垣さんを応援する会」をはじめ、バースデーイベントやグッズなどで発揮されるプロデュース能力の高さもたびたび話題になりますが、どんなこだわりを持っているのかなどもお聞きしたいです。
バースデーイベントに関しては何回か開催していくなかで、自分が喜んでいることに対してファンの皆さんも喜んでいるんだな、ということを自覚しました。だから私が楽しめていないと、ファンの皆さんが楽しいという状況は存在しないということに気が付いて。それはコンサートに置き換えても同じことなんですけど。だからこそ自分の好き、楽しいから始めることを常に心掛けていました。あと私はグループでの活動だとどうしても歌割が少ないので、もっと歌ってほしいと思っているファンの方が多くて。だからバーイベでは歌を増やしていました。2公演連続で来てくださる方も多いので、1回目と2回目のセトリを変えてみたりもしています。
グッズに関しては自分もアイドル全般が好きなので、他のアイドルの方々のグッズもよくチェックしていて、そこからもインスピレーションを得ることが多いです。たとえば今回のツアーグッズはメンバーの写真をTシャツに入れているんですけど、以前あるアイドルグッズを見た時に、「前は写真入りだったこともあるのに、今回は文字だけなのかな?」と少し寂しく思ったんです。自分がそう思うってことはファンも同じなのかも、と気が付いて。それで顔写真が入ったTシャツを作ってもらえるようにお願いしました。プラスして今回はラストツアーなので、自分のファンのこともすごく考えています。私のファンの方は写真でもイラストでも顔が入っているグッズが好きなので、それもあってうちわも作ってもらいました。裏側を文字にするのも絶対譲れなくて、頑張って交渉したんですよ!でも、売れ行きを見ていると他のメンバーのファンの方も、顔入りがうれしいんだなって思いました(笑)。そして会場限定の銀テープ風キーホルダーは、ファンの皆さんが喜んでくれる記念になるものってなんだろうと考えて、友人と話していた時に会話の流れから思いついたアイディアです。銀テープって誰もが必ず持ち帰れるものじゃないので、だったら作ったらいいじゃん!と。どれも一生懸命考えて作ったグッズばかりなので、ツアーが始まっていい反応をいただいたり、実際に持っている人を見かけるとめちゃくちゃうれしいです。
――近年では衣装をプロデュースする機会も多く、ラストツアーではその集大成的なものが見られると思うのですがいかがですか?
普段からメンバーに似合う衣装の形に関しては研究しているので、自分が意見できる時は言わせてもらっています。今回のツアーに関してはメンバー個人の希望も聞きつつ、衣装は全部考えさせてもらいました。メンバーのフィッティングにもすべて入って、アクセサリーのバランスもチェックして決めたんです。一着目はこの連載の一回目でも触れたのですが、『女が目立って なぜイケナイ』の衣装をオマージュしたもの。こだわりポイントは、身長が違っても全員のスカートの丈がそろって見えるようにしたところです。二着目は一着目のドレスが可愛い感じなので、そこからのギャップを狙ってカッコいい系にしています。それぞれの名前をどこかに入れたいっていうのも提案しました。ラストの日本武道館公演まで明かせない部分も多いのですが楽しみにしていただけるとうれしいです。
――衣装だけではなくヘアメイクにもこだわりがあると思うのですが、そのこだわりもお聞きしたいです。ハロプロメンバーとしてはいち早く、自由に髪色を楽しんでいた印象もあります。
ヘアに関しては常にギリギリのラインを狙って、自分がしたいことをしてきました。髪色をどこまで明るくしていいのかなどは探りつつ……言われなかったら次はもう少し明るくしてみたり。小心者な部分もあるので、ヘアチェンジした翌日はいつも内心ドキドキでしたね(笑)。
――そういう幅を広げる切込隊長的なところでいくと、バースデーイベントで他の事務所のアイドルグループの曲を歌っていたことも印象的でした。
確かにそうですね(笑)。でもどんなことでも、ダメって言われるだろうなと自分で決めつけないでまずは聞いてみることが大事。意外とOKなことも多いんですよ。聞く権利は誰にだってあるので(笑)。ただし、聞いてみてちゃんとした返答がなかったらもう一回言ったりすることはあるけど、ダメと言われたら粘らずに潔く諦めます!
――ここからまた少し過去の話に戻りたいと思います。2015年の『Oh my wish!』では鈴木香音さんがセンターに。9期の他3人はダンスメンバーになりました。かなり革新的な出来事でしたよね。
『Oh my wish!』は予定されていたものから急遽いろんなことが変わって、歌とダンスのメンバーを分けて構成することになったんですよ。実は最初にもらった歌割では2番のめちゃくちゃおいしいソロパートがあったので、それがなくなってショックでした。しかも自分としては全然ダンスメンバーという意識もなかったし、ダンスの上手な(鞘師)里保と聖、(石田)亜佑美ちゃんと一緒に踊るということにもびっくりしました。特にダンスのソロシーンをみんなに見られて撮影することになった時は憂鬱すぎてどうしよう~と思いながらやっていました(笑)。
――ダンスに対して苦手意識があったのでしょうか?
ファンの皆さんの前で踊るのは昔から好きなんですよ。ファンの皆さんは味方でいて応援してくれるじゃないですか。でもメンバーの前に出て一人で踊る、みたいなシチュエーションだと急につらくって。ダンスのお手本を見せるために一人で踊ったりするのも苦手なので、必要な時は他のメンバーにも助けてもらっています。
――2017年にはハロー!プロジェクト内のダンス部に選ばれましたね。その後も少人数選抜のダンスブレイクに選ばれることが増えたり、ダンスメンバーとしての印象が強くなった気がしますがどうでしょうか。
そのことに関してはYOSHIKO先生の存在が大きいです。レッスン中に「生田、ちょっとそこを一人で踊ってみて」とピックアップしてくれたり、YOSHIKO先生振り付けの曲で少数選抜で踊る機会が増えていったりしたので、そこから印象がついたのかもしれません。でも『The Vision』のようなコンテンポラリー系のダンスには正直今でも苦手意識があります。『Oh my wish!』みたいにガシガシ踊る系は全般的に好きなんですけど。あとはどちらかというと男性っぽい振りや重心を下に置くダンスのほうがしっくりくるんです。歌に関しては本番予期せぬ出来事が起こってしまう、みたいなことがあるんですけど、ダンスに関しては覚えたら大丈夫という安心感があるので、自信を持ってステージに立てるところはありますね。
同期や後輩の卒業を経て感じたこと、後輩に託したいこと
――2015年には鞘師里保さん、2016年には鈴木香音さんと同期の卒業が続きましたが、当時の心境についてもお話を聞きたいです。
二人に卒業の意思があることは実は前から知っていたので、それに関しては「あ、(卒業の時期を)決めたんだな」と思いました。香音ちゃんの時はインタビューで卒業について話したり、最後のシングルが『泡沫サタデーナイト!』という本人にぴったりな明るい楽曲だったりして、そういう部分からも卒業を実感することが多かったけど、里保はスケジュールが急で、最後のシングルも卒業直前にリリースされるみたいな感じだったので、リアルタイムではあまり実感できていなかったですね。ちなみに今回のラストツアーでは9期メンバーを意識して選んだ曲もセットリストに入っているんですけど、『ENDLESS SKY』は卒業感が強い歌詞でシチュエーションがぴったりだからこそ、あえて選びませんでした。あれは里保の卒業の曲であってほしいので、当時からのファンの方なら「分かる!」と思ってくださる別の曲にしました。
――2017年のツアーでは譜久村さんや小田さくらさんなどインフルエンザを発症するメンバーが続出し、臨時リーダーを務めたこともありましたよね。
大阪公演の時は聖と小田さくらが出られなくなったのですが、歌割が多い二人だったので急遽その代わりをすることになった亜佑美ちゃんと(佐藤)優樹ちゃんは本当に大変そうでした。私はあまり変更がなかったので個人的な不安はなかったのですが、ファンの方もライブの見方が変わってソワソワしていると思うから、メンバー側がソワソワして見えないライブにしなくちゃと思っていました。「いつも以上に気合を入れてライブにのぞもう!」と声掛けしてステージに向かった記憶もあります。そして大阪公演は無事に乗り切ったのですが、次の岡山公演当日にどぅー(工藤遥)もインフルエンザを発症してしまい、公演そのものが中止となりました。私はそこで臨時リーダーとして表に出てお知らせをしたという出来事もありました。
――臨時リーダーをやってみて感じたことはありましたか?その後実際リーダーに就任した際に心境に変化があったのかなどもお聞きしたいです。
聖は基本的にしっかりしているんですけど、モーニング娘。以外のことになると急にすっぽりと抜けているところもあって(笑)。なのでサブリーダーとしてMCがある時には場所や日付、タイトルなど絶対落としてはいけない部分を必ず一緒に覚えるようにしていました。加えて聖がリーダーとしての発言をする時はよく一緒に確認作業をしていたので、だからこそ、急な代理もできたのかなと思います。でもその後、正式に自分がリーダーになってみると、やることが想像以上に多すぎて……最初の頃はとにかく必死でした(笑)。新曲リリースやグループとしてのお知らせなどがある時、歴代の先輩方に個別で連絡するのは聖が始めたことなんですけど、そうやって聖がリーダーとして大事にしてきたことを途絶えさせたくない、引き継ぎたいという思いもすごくあったので頑張れました。
――譜久村さんが卒業して感じたことはありますか?
聖の卒業が決まってからは隣にいるようにして、より支え合うという感覚がありました。それぞれの得意不得意が違ったので、だからこそお互いに補うことができたし、仕事が終わって帰宅した後も夜電話で、「この曲のここ、もっとこうしたほうがいいかな?」みたいなやり取りをよくしていました。でも、聖が卒業してからは一匹狼に戻りました(笑)。というのもリーダーになって以前とは立場が違うこともあり、一人で解決しないといけないことが増えたし、もともとは一人でいることが楽なタイプなんですよね。
――自身の卒業にあたって後輩に引き継ぎのようなことはしているのでしょうか?
聖が卒業してからは、野中と話すことが増えました。というのも、野中は人に何かを説明するのがとにかくうまいんです。私の考えていることを理解してまとめて、後輩たちに分かりやすく伝えてくれるので、“今思っていること”はまず野中に伝えています。それとは別で未来に繋げていってほしいこと、そこに対する自分の思いみたいなことはさらに後輩の櫻井(梨央)に言うことが多いです。櫻井は私がなぜそれを伝えたのかまで理解して、自分なりに解釈してくれるんです。まだまだモーニング娘。人生が長いと思うし、コミュニケーション力が高く、17期に一番近い先輩でもあるのでそこでも共有してもらえたらいいなと思っています。
今は若くても芯がしっかりしている子が多くて。考えから行動に至るまでの意図がちゃんとあるので、行動を否定すると人格否定みたいに感じさせてしまうことがあると思っていて。だから行動だけを見るのではなく、そこに至った気持ちをちゃんと汲み取ることが大事なんだなと思います。そう考えると今の時代は「こうすべき」と縛るよりも、適度に自主性を持てる状態にしたほうがいいほうに進んでいく気がします。
――現在一番近い後輩は小田さんですが、どんな関係性ですか?
小田とは長くやっている分、共有していることも多いんです。その上で自分の世界をちゃんと確立しているので、私はそれを見守っているような感じです。ただグループでのバランサーみたいな立場になるとその“らしさ”がなくなっちゃうんじゃないかな、と心配でもあります。でも一番上の先輩になった小田に、それを気にせずツッコむような後輩がでてきたらめちゃくちゃおもしろいと思うので、そんな展開を勝手に期待しています。
――2017年の秋に開催されたモーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアーでは工藤遥さんが卒業、初めて後輩を見送る立場になりました。生田さんは卒業する同期や後輩に向けていつも前向きなメッセージを送っている印象がありますがそのことについてもお話を聞かせてください。
18歳ぐらいになったタイミングで同期の卒業があり、自分もいつかは卒業するんだということを実感したことで意識が変わりました。18歳って高校を卒業して周りが就職したり進学したり、いろいろ変化を感じることが多いので、そういうことも大きかったかもしれません。今まで一緒に活動してきたメンバーがモーニング娘。から離れていってしまうので悲しいけど、意識が変わってからは「卒業しないで」という言葉がともすれば選んだ未来を否定してしまうようにも取れるな、と思って使わなくなりました。卒業という決断を本人がした以上、自分にできることは最後まで見届けて、しっかり送り出すことだと思って。だから自然と未来に向けたメッセージが増えていったのかもしれません。それからコンサートの構成や配信のタイムキープのこともあるので、セレモニーは順番が最後のほうの自分で調整することも多いんです。なので簡潔に話すことも大事にしています。そうするためにはメンタルも安定させないといけないので、できる限り冷静でいることを心掛けていますね。
――メンタルを安定させるためにしていることはありますか?
メンタルが乱れている姿を外に出したくないんです。それだけです(笑)。自分が思っている以上に周りから強い人と思われがちなのですが、本来は真逆のタイプ(笑)。私のファンの皆さんはそこまで分かってくれているので、何かあるとすごく心配してくれます。でも、同時に私は芸能人であること、アイドルでいられることをすごく幸せに思っていて。芸能人になることでよいことも悪いこともあるけれど、自分が好きになる芸能人の方ってネガティブな部分を表には出さないし、いつも明るくてニコニコしていておもしろいんですよね。だから自分もそうなりたいと思って頑張っています。
――そういえば生田さんのブログの文章も、どんな時でも今日あったことを楽しくすぐ隣にいて話してくれているようで、そういう雰囲気がありますね。
この流れで宣言してもいですか?私は卒業してもブログを続けたいんです。SNSは全部続けたい。どれだけの人がついてきてくれるかは分からないけど、発信をやめたくないなと思っています。
外の世界から得た気付き、2018年の思い出
――2018年にはROCK IN JAPAN FESTIVALに初出演。煽りを担当している印象の強い生田さんにとっていつも以上に気合が入るステージだったと思いますが思い出に残っていることはありますか?
基本フィジカルで生きているタイプなので野外フェスにも自信があったのですが、最初の年はメンバー全員ペース配分が分からなくてヘロヘロになりました(笑)。それで翌年からはちゃんと対策を立てて練習するようになったんです。煽りに関しては、愛ガキ(高橋愛と新垣里沙のコンビ名称)さんなど先輩たちから教わってきたものを生かしている感じです。ここで声を入れるだろうなと思うポイントだったり、ファンの人たちが求めていそうだなという部分ですることが多いかも。憧れから始まったので、煽りの印象があると言っていただけるのはすごくうれしいです。そして野外フェスはモーニング娘。のことを知らない人たちに知ってもらえるチャンスの場でもあるので、遠くから見ても目立つような派手めのヘアにしたり、メイクなども意識していました。
――TVやイベントに出演した際にも「ビジュいい」と話題になることが多い生田さんですが、そこでも意識していることはあるのでしょうか?
一人でも多くの人に見つけてもらえるように、見せ方についてはすごく考えますね。TVの歌番組のリハーサルでは、カメラのカット割を細かく確認するのが自分の中での絶対ルール。ソロで抜かれるポイントがあったら確実に決められるようにするし、なかったとしてもちゃんとカメラの動きを知っておきたいので。
――FNS歌謡祭などの歌番組では、他のアイドルグループとのコラボでもたびたび話題になっていましたよね。生田さんは特に他のグループのメンバーとも一緒にオフショットを撮ったり、積極的に絡んでいる印象があります。
可愛い子が大好きなので、写真を撮りたい時は撮ってもらうし、仲よくしている子も多いです。一緒に遊びに行った時などはブログやインスタなどでもオープンに報告しているので、ファンの皆さんもよく知っているはず。お互いのグループに触れることで、ファンもそれぞれのグループに興味を持つきっかけになればいいなとも思っています。実際にそこからインスタを見にきてくれたり、ライブにきてくれたり、個別にきてくれたりすることもあるんです。
――他のアイドルグループのメンバーと交流を持つことで得たこと、気付きなどはありましたか?
メンバーは仕事仲間であり、近い存在だからこそ相談しにくいこともあったりするのですが、アイドルの友達はちょっと離れた場所にいるけど同じ職業だから、逆に話しやすいんです。特に同世代のアイドル友達はグループ内での立場も似てくるので、共感できる部分がとにかく多くて。もちろんお互いに話してはいけないことは話さないし、個々のメンバーの話はしないですが、その時の自分の状況や考えについて話を聞いてもらうことが多いですね。お互いに意見交換をしていくことで、冷静に自分の行動を振り返ることができたりもします。
……なんだかこんな風に自分の話をまじめにする機会ってあまりないので、自分で話しておきながら、聞かれると恥ずかしいですね(笑)。卒業が具体的になった後は、グループから独立して活動することについても結構話を聞きました。同期の聖も今はソロで活動しているので相談していましたね。
――メロン記念日の斉藤瞳さんやモーニング娘。の初期メンバーである石黒彩さんなど、ハロー!プロジェクトのOGとも仲がよい印象があります。
石黒さんはLINE LIVEで共演したことがきっかけで仲よくしていただいています。ごはんも一緒に行ってくださったり。斉藤さんはラジオでご一緒した時に、私のことをすごく気に入ってくださって、光栄です。ふとした瞬間に「私、今メロン記念日と一緒にいる! 歌ってほしい〜」となったりもしますが(笑)。そしてアクロバットの先生でもある太陽とシスコムーンの信田美帆さんにもよくしていただいています。信田さんに「卒業します」とLINEで報告した時に「やめて何するの⁉︎(笑)」と単刀直入すぎる返信をもらったりもしました(笑)。一緒に活動したことがない先輩たちとも繋がりが持てるなんて、すごくありがたいことですよね。
――そして2018年は演劇女子部「ファラオの墓」にマリタ役として出演し、殺陣も話題になりましたよね。
懐かしいです!殺陣はすごく楽しかったので、今後またチャンスがあったらやってみたいなと思っていたんですよ。そして舞台に出た後は歌がよくなるねとよく言っていただけたので、それもすごく印象に残っています。
――その他に2018年頃で印象に残っていることはありますか?
はるなんの卒業について先ほどお話ししましたが、尾形の卒業もありました。尾形に関しては、勉強を頑張っている様子を見ていたので応援していましたが、「もう卒業しちゃうんだ」という寂しい気持ちも正直ありました。今も在籍していたら、17期のはるさん(井上春華)との関西コンビの絡みを見てみたかったですね。
それから正確なタイミングは覚えていないんですけど、2018年ぐらいのタイミングから「絶対休まない人」みたいな感じで言われるようになりました。自分では全然意識していなかったので「そういえば休んでないかも……?」と気付くみたいな(笑)。
――17期の弓桁朱琴さんは生田さんの体調管理能力の高さを尊敬していて、昨年ノンノ9月号に登場した際にも話していましたよね。
弓桁は本当に頑張り屋なので、リハには誰よりも早く来るし、終わった後も残って練習するんです。でも知らず知らず自分を追い込んで無理し続けてしまって、体調を崩してはもったいないですよね。なので「体調管理もお仕事の一つだから、まずは本番に出ることを一番に考えよう」と伝えたことがあります。何か体に違和感があった時、それが無理か無理じゃないかは外からはわかりにくいこともあるので、自分で判断しないといけない。これからまだ体も変わっていく分、限界を知って自分を守ることってすごく大切なので。もちろん病気になったりケガをしたら休める環境は必要です。ただ弓桁の場合は自分でも知らないうちに、キャパオーバーになってしまっている感じが気になって。
でも偉そうに言っている私も全然完璧ではなくて、体調を崩すことはもちろんあります。たまたまそれが本番に当たらなかっただけという、運の部分も大きいと思いますし。私の場合は母がすごく体調管理にうるさくて、「ちょっと喉が痛いかも」というだけで葛根湯が30個ぐらい目の前に置かれるみたいな感じの家庭だったんですよ(笑)。それほどではないですが、今も家にはマヌカハニーを常備していたり、のど飴を持ち歩いたりなど、普段から予防するクセをつけるという意識は自分の中に根付いている気がします。
――2018年のバースデーイベントはそれまでの生田さんの歴史を辿るようなセットリストでしたが、どんな心境で選んだのでしょうか?
『リトル・ぷりんせす☆ぷりっ!』、『会いたいロンリークリスマス』などオーディションの時に歌った楽曲が入っていたりしたので、一部ファンの間では卒業するのではと疑われていたようです。なんでそうしたのか今振り返っても思い出せないんですけど、改めてセットリストを見ると道重(さゆみ)さんと2011年のツアーではできなかったメドレーのリベンジなども入っている。これは確かにそう思われても仕方ないですね(笑)。
モーニング娘。’25のInformation
7月2日(水)発売となる、75枚目の両A面シングルにして、生田衣梨奈さんのラストシングル。初回生産限定盤SPに付属するBlu-ray Discには「COUNTDOWN JAPAN 24/25」(2024/12/30 幕張メッセ国際展示場)の映像と、話題になった「THE FIRST TAKE」の歌唱映像も収録。
●いくたえりな 1997年7月7日生まれ、福岡県出身。2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にサブリーダーに就任、2023年11月よりリーダーを務める。愛称はえりぽん、メンバーカラーは黄緑。特技はゴルフでベストスコアは85。確固たるアイドル観を持ち、情に厚く、ストイックな一面も。身体的能力も高く、バク転などアクロバットをパフォーマンスに生かすことも。ノンノ本誌にもたびたび登場し、バラエティ番組などでも活躍する多彩な才能の持ち主。
ジャケット¥20900/レイ ビームス新宿 その他/スタイリスト私物
撮影/山越翔太郎 ヘア&メイク/𠮷﨑沙世子(io) スタイリスト/佐藤朱香 取材・原文/武内亜紗
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