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No.087 めえのブログ

No.087 めえ

No.087 めえ

大学4年生/富山県出身

身長:162cm
推し:デザインや美術、ファッションが好きです。憧れは、フードエッセイストの平野紗季子さん。

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デザインに関心のある人必見!【21_21 DESIGN SIGHT企画展「The Original」レポート】プロダクトデザインの名作を辿ろう

21_21 DESIGN SIGHTにて、企画展「The Original」が2023年6月25日まで開催。インテリアや食器、玩具などプロダクトデザインの名作、約150点が並びます。デザインを学ぶ大学生が、展覧会の様子をレポート。デザインに関心のある方や、デザインを学ぶ学生、インテリアの購入を検討している方にもおすすめの展覧会です。

21_21 DESIGN SIGHT企画展「The Original」とは?

東京都港区赤坂、東京ミッドタウンガーデン内にあるデザインミュージアム「21_21 DESIGN SIGHT」。「デザインは生活を楽しく、豊かにし、思考や行動の可能性を広げてくれるものである」という考えのもと、様々な展覧会を開催しています。2023年3月3日(金)から6月25日(日)まで企画展「The Original」が開催されています。

この企画展では、世の中に深く影響を与えるデザインを「The Original」と定義し、紹介。会場では、デザインの第一線で活躍する3名―土田貴宏さん、深澤直人さん、田代かおるさんによって選ばれた、家具、食器からテキスタイルや玩具など約150点のプロダクトが展示。写真やテキストを通じて、「The Original」の背景にある考え方を知ることができます。

21_21 DESIGN SIGHTの建築について

地上階と地下階を結ぶ階段
21_21 DESIGN SIGHTは地上1階地下1階の低層建築です。設計を手がけたのは建築家の安藤忠雄氏。地上階にはギャラリー3とショップ、地下階の2つのギャラリーが展覧会「The Original」の会場となっています。
地上階の壁面には、横長のガラス窓が設置。青々とした草木を、コンクリートの壁面から望むことでより自然の美しさが際立っています。

「The Original」の展示作品

19世紀後半から現在までのプロダクト

「The Original」 地下階に設置されたソファと照明

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「The Original」 ギャラリー2に設置されたインテリア

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地下階ギャラリー1の前に設置されたソファ、照明。
ギャラリー2では、異なる時代のインテリアが配置されている。
「The Original」では私たちの生活に大きな影響を与えた19世紀後半から現在までのプロダクトデザインが展示されています。バウハウスの後継者らから、1950~1960年代のミッドセンチュリーのデザイン、1980~1990年代のポストモダニズムを代表するデザイナーの作品が主。現在の暮らしでも多用されている食器や家具、玩具の原点を辿ることができます。

豊富なキャプションで、プロダクトを分かりやすく解説。

「The Original」 壁面のキャプション

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作品とともに楽しみたいのが、会場壁面の豊富なキャプション。作品のどういった点が評価されているのか、デザイナーはどんな人物なのか、作品が生まれた時代背景まで丁寧に解説。年代ごとにキャプションがついているため、「こういった時代背景だったから、このデザインが生まれたのね」とデザインと社会の動きをリンクして鑑賞できます。

「The Original」の展示作品を年代ごとに、ピックアップして紹介

19世紀末~20世紀初頭の作品

近代デザインの歴史が始まったと言われている19世紀の産業革命。手工業的な産業が機械による工業へと移り変わっていった時代に生み出されたのが、蒸気を利用する曲木の技術だそう。その技術によって生み出されたミヒャエル・トーネットによる椅子《No,14》が、ギャラリー2の入口に展示されています。
ミヒャエル・トーネット《No.14》

1920年代 バウハウスの後継者による作品

バウハウスは規模も小さく、存続期間が短かったももの、デザイン史を考える上で重要な学校です。バウハウスの理念は建築家やデザイナーによって受け継がれ、モダンデザインの発展に多大な影響を及ぼしました。

バウハウスとは?

「第一次世界大戦終了からまもない1919年、ドイツ共和国の首都ワイマールに小さなデザイン学校が開校する。中世ヨーロッパの建築職人組合であるバウヒュッテ(Bauhutte)にちなんでバウハウス(Bauhaus)と名付けられたこの学校は、合理的なモダンデザイン教育を行う画期的な教育機関であった。」

引用文献
暮沢剛巳・伊藤潤・山本政幸・天内大樹・高橋裕行『カラー版 図説 デザインの歴史』学芸出版,2022年,42頁
バウハウスの後継者によるデザインの代表作として、マルセル・ブロイヤーによって実現された鋼管を曲げた椅子や、ル・コルビュジェが嫉妬したというアイリーン・グレイのテーブルなども展示されています。

バウハウスの理念を受け継いだ建築家、デザイナーらの作品

左/マルセル・ブロイヤー《チェスカ アームレスチェア》 右/マルト・スタム《S-33》
前脚だけで座面を支えるキャンチレバー(片持ち構造)の名作として、パブリックや住宅とあらゆるシーンで使われている椅子。現在でも、カフェやアパレルブランドのディスプレイとしてよく見かけます。
アイリーン・グレイ 《アジャスタブルテーブルE1027》
20世紀の女性建築家、家具・インテリア・プロダクトデザイナーの「アイリーン・グレイ」がデザインしたテーブル。「住宅モデルE.1027」のために作られた家具の1つです。

1930~1940年代 モダニズムのデザイン

機械による産業技術が発達した結果、インダストリアルデザインの役割が強まった時代。経済的に繁栄したアメリカでは一般家庭も工業製品が普及し、大量生産が不可欠となります。
こうした風潮の中、アメリカにもデザイン教育が普及。チャールズ&レイ・イームズはアメリカのデザイン界におけるモダニズムを決定づけるほどの活躍をしています。また、モダニズムは北欧でも発展し、アルヴァ・アアルト、フィン・ユールなどが初期の北欧デザイナーとして有名です。
アルヴァ・アアルト 《アルヴァ・アアルトコレクション ベース》
フィンランドを代表する建築家「アルヴァ・アアルト」によるガラス作品。モチーフにフィンランドの湖の形や、白樺の根本付近の断面のフォルムが多いそうです。アルヴァ・アアルトがデザインした作品で他に、有名なものとして「Lレッグ」シリーズがあります。

1950年代 ミッドセンチュリーのデザイン

第二次世界大戦後、戦勝国のアメリカは産業において世界をリードしただけでなく、文化面でもヨーロッパの伝統に囚われない独自の表現を生みます。チャールズ&レイ・イームズ、ジョージ・ネルソン、エーロ・サーリネンらデザイナーと、ハーマンミラーやノルといいた家具メーカーによってミッドセンチュリーデザインが送り出されます。
右手のテーブル/エーロ・サーリネン《サーリネンサイドテーブル》,奥のシェードランプ/ミゲル・ミラ《TMM》,左手の椅子/シャルロット・ぺリアン《ドロン ホテル》
建築家としてコンクリート・シェル構造を用いた建築を生み出したエーロ・サーリネンによるサイドテーブルも展示されています。天板を支える一本の脚部は、床へ溶け出すように広がっています。こうした曲線美も、ミッドセンチュリーを象徴する形になっていったそう。
テーブル/ウォーレン・プラットナー《プラットナー コーヒーテーブル》,チェア/ナナ・ディッツェル《C-326 ハンギングエッグチェア》,ランプ/カボシェ《バトリシア・ウルキオラ、エリアナ・ジェロット》
タマゴのような丸い椅子をデザインしたナナ・ディッツェルは、1950年代のデンマーク家具デザインを代表する女性デザイナー。脚を持たず、椅子を天井から吊り下げるというデザインを生み出しました。また、アメリカ出身のデザイナーによる、100本以上のスチールワイヤーを溶接して作られたというコーヒーテーブルも圧巻です。
ヴェルナー・パントン《パンテラ フロア》
ヴェルナー・パントンの代表作として《パントンチェア》が有名ですが、デザイナーの感性をそのまま証明器具としてかたちにしたフロアライト。現代から見ても、近未来的なフォルムに捉えられそうです。
会場風景より
ヴェルナー・パントンによる、ワイヤーフレームを重ねた椅子。教科書には、《パントンチェア》がよく掲載され、カラフルな作品やプラスチック製のものをデザインしているイメージが強かったのですが、こういった椅子もデザインされていたと気付きました。
フランコ・アルビニ《ルイーザ》
フランコ・アルビニは、20世紀半ばまでデザインの主流だった合理主義に基づく名作家具をいくつも残しています。その中でも今回展示されている《ルイーザ》は傑作とされています。
ジョージ・ネルソン《ネルソン エンテッジベット》
ミッドセンチュリーのアメリカで、その流れを決定づけた一人であるジョージ・ネルソンがデザインしたベット。
コーア・クリント《KK87830 プロペラツール》
ジョージ・ネルソンによるベットの隣には、コーア・クリントによるフォールディングスツールが展示。畳むとプロペラ型のX脚が、一本の丸棒に収まる、こうしたデザインは現代の製品でも活用されています。
ピエール・ジャンヌレ《PH28 V-LEG OFFICE CHAIR》
ラタンとチーク、異なる天然素材を組み合わせたラウンジチェア。

遊んで、学ぶ。知育玩具の歴史を辿る

今回の展覧会では、知育玩具も多数展示されています。
「絵を描く、折り紙といった平面構成や積み木やブロックのような立体構成の遊び。レゴ社(1934年創業、デンマーク)のプラスチック製ブロックやクルト・ネフ(1926~2006)によるネフ社(1954創業、スイス)の積み木パズルが有名である」
引用文献
暮沢剛巳・伊藤潤・山本政幸・天内大樹・高橋裕行『カラー版 図説 デザインの歴史』学芸出版,2022年,74頁
レゴブロック®
会場でも、構成遊びの代表例となるレゴブロック®やネフ社の積み木パズルを見ることができます。
エンツォ・マーリ《16 ANIMAL》
一枚の板に16の動物を忍ばせたパズル。

1970~1980年代 ポストモダニズム

1960年代は、第二次世界大戦の復興から更なる高度経済成長期を迎えた時代。日本でも家具や自動車などを中心に、暮らしを豊かにする工業製品が登場。1964年には東京オリンピックが開催され、そのシンボルマーク、ポスターの制作を手がけた亀倉雄作が有名です。

80年代に入ると様々な領域でポストモダニズムが顕在化します。デザインでは、イタリアにエットレ・ソットネスが中心となり結成したグループ、メンフィスが出現。この活動に参加し、国際的な名声を得た倉俣史朗のプロダクトが展示されています。
倉俣史朗《Kシリーズ》
白い布がふわりと浮かび上がったような姿のフロアランプは、日本のポストモダンを牽引したデザイナー、倉俣史朗の作品。「オバQ」の愛称で親しまれたランプです。
スペンサー・シルバー、アート・フライ《ポスト・イット®ノート》
大学生にとってはブレインストーミングの場面で馴染み深い製品ではないでしょうか。簡単に貼る/剝がすと繰り返せるメモノートは、現在でも、様々なシーンで活用されています。
現在でも人気のスキンケア、ヘアケアブランド「イソップ」のパッケージも展示。

1990年代以降のデザイン

現在でも活躍されているデザイナーのプロダクトも展示されています。
深澤直人《HIROSHIMA アームチェア》
シンプルで精緻な構造のマルニコレクション“HIROSHIMA”のアームチェア。
セシリエ・マンツ
デンマーク人女性デザイナー。2005年に発表されたペンダントランプ、カラヴザッジオが有名。セシリエ・マンツによる有田焼の器は、シンプルながらも食べ物に合わせて使いやすい形状です。

21_21 DESIGN SIGHTのショップ

地上階には、21_21 DESIGN SIGHTの建築や、佐藤卓デザインの「プロダクトロゴ」をモチーフとしたグッズ、デザイナーが執筆した書籍の他、「The Original」で展示されていた作品もいくつか購入することができます。
筆者は、柳宗理さんデザインのカトラリーを購入しました。日常で使うカトラリーも、ただ「フォーク」「スプーン」と言うより、「○○さんがデザインしたフォーク」と捉えている方が生活も人との会話も豊かになりそうです。少しずつ、今回の展覧会で知ったデザイナーによるプロダクトを集めていきたいな、と思います。

まとめ:プロダクトデザインの歴史を見て、学ぼう!

今回は、21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「The Original」の展示作品についてご紹介しました。

筆者は、大学の講義でさらっとプロダクトデザインの歴史を学んではいましたが、今回実際にプロダクトを見て、キャプションを読むことで、よりデザインへの関心が高まりました。ご紹介したプロダクトは展示作品の中の一部なので、是非、より多くの名作に出会うために会場を訪れてみてください。

「The Original」開催概要

会期

2023年3月3日(金)-6月25日(日)

会場

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

住所

東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

休館日

火曜日

開館時間

10:00-19:00(入場は18:30まで)
* 六本木アートナイト特別開館時間:5月27日(土)10:00 - 22:00(入場は21:30まで)

入場料

一般1,400円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

アクセス

都営大江戸線「六本木」駅、東京メトロ日比谷線「六本木」駅、千代田線「乃木坂」駅より徒歩5分

駐輪場

なし。車・自転車等でお越しの際は東京ミッドタウン駐車場・駐輪場をご利用ください。

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