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杉井光/著 『世界でいちばん透きとおった物語』を読む!【書店員花田さんのハタチブックセンター】

街の書店員花田菜々子のおすすめ本ハタチブックセンター

本だけで味わえるトリック。予測不能の結末を楽しんで!

『世界でいちばん透きとおった物語』
杉井光/著 ¥737 新潮文庫nex


大人気ミステリ作家の〈愛人の子〉として生まれた燈真。父は死んだが、最後に書いていたはずの『世界でいちばん透きとおった物語』の原稿は行方不明のままだ。だが、消えた原稿を探すうち、燈真は大きな謎に飲み込まれることになる――。

 人ってどこか「騙されてみたい」という欲求があるのでしょうか。もちろん詐欺にあったりするのは嫌ですが、手品のように、たしかに目の前にあったコインが消えたりするのはとてもワクワクするものですよね。
 今回ご紹介するこちらは「ネタバレ厳禁!」「絶対に予測不能な衝撃のラスト」と謳われている、ライトノベル的ミステリー小説。父の死後、消えてしまった『世界でいちばん透きとおった物語』とはいったいどんな原稿だったのか。テンポよく進んでいく物語を追っているうち、私たち読者もあるページを境に「え……? ほんとに……? 全部……?」と今まで読んできたページをめくり直して、呆然としてしまうこと必至です。
 共感や成長のための読書も好きですが、たまには思いっきりエンターテインメントを味わうこんな読書も楽しい。そんなふうに思えた、すっきりさわやかな『騙され体験』でした!

 

『100日後に別れる僕と彼』
浅原ナオト/著 ¥1870 角川書店


ドキュメンタリーの制作に協力すべく、100日間の長期取材を受けることを決めた佑馬&樹のゲイのカップル。関係が破綻していた二人だったが、カメラの前で偽りの恋愛関係を演じ始める。しかし少しずつ溝が生まれて――。

『物語の種』
有川ひろ/著 ¥1650 幻冬舎


読者から寄せられたお題="物語の種"から生まれた短編集。"「リモート会議」でいい感じの物語を。"というリクエストから、"宝塚 双眼鏡 顔が良い 恥ずかしい 見れない"というファン心理まで。種はどんな実を結んだのか!?

『黄金比の縁』
石田夏穂/著 ¥1650 集英社


企業の人事部で働く小野は、不当な辞令への憤りから、会社の不利益になる人材を採用することで復讐を果たそうと誓う。"顔の縦・横の黄金比を満たす者を選ぶ"という評価軸で業務にまい進する彼女は、ある真実にたどり着く。


はなだ ななこ 
東京・高円寺にある書店「蟹ブックス」で店長を務める。著書『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』が好評発売中。

2023年9月号掲載

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