――2019年6月にGoogleを退社されますが、そこに迷いはありませんでしたか?
「あったのかなぁ、なかったのかな? 少しは悩んだと思います。でも、両立させていた1年ちょっとの間にCOHINAが自分のペースではコントロールできないくらいのスピードで大きくなっていって、責任者の私がフルコミットではないことがそろそろ事業にとって致命的なダメージになってくるだろうなという実感もあったので、もうこれ以上両立生活を続けることは厳しいと思い、決断しました。Googleは、今思い返してもとても素敵な会社だったなと思うし、大好きな会社なんです。ただ、Googleという恵まれた環境から卒業するということ自体には不安はなくて。社会人になる前に思い描いていた、グローバルで活躍できる土俵ができて専門性を高められたのか、その部分で胸を張って“私は一人前です”と言えるほどの自信はなかったのですが、今しかないっていうタイミングに対しての決断だったかなと思います」
――これまでキャリアや事業においてさまざまな選択をされてきたと思いますが、決断する時の軸になっているものはなんでしょうか?
「楽しそうかどうか、やりたいかどうか、です。後先はあまり考えていないかも(笑)。負の側面ももちろん見続けているし、そこにとらわれそうになることもあるのですが、最後はやっぱり自分の“やりたい”っていう感情に従いがち。そうやって決断してきて、後悔したことは1度もないです。それはきっと、就職活動中にも感じたように、理想郷なんてどこにもないから。自分の正解は自分で作り上げるべきものだと思っているので、選んだ時点でそれが正解。あとは、その選択をより納得のいく結果にしていくために頑張るしかないと思っています」
――2023年はブランド創業5周年という節目の年です。これからCOHINAをどのように展開していきたいですか?
「ひと口に小柄さんといっても、いろいろな体型の悩みを持った方がいらっしゃるので、まずはそういう方の悩みに寄り添っていきたい。今年からは、STRATA(エストラータ)という、より洗練された大人の小柄女性向けのブランドもスタートさせました。STRATAは、COHINAを通じておしゃれが楽しいと思えるようになって、もっとファッション性の高いアイテムも着てみたい、可愛いだけじゃなくてモードな洋服もカッコよく着こなしたいといった、挑戦したいお客様のためのブランドでもあるんです。そんなふうに、体型の悩みを解決するだけではなく、その人が思い描く未来の自分になるためのお手伝い、そしてさまざまなライフスタイルの小柄さんに寄り添いきった洋服の展開を世界中に届けていくことが今後の展望。社会にフィットしきれず悔しい思いをしている人に勇気を与えられるようなブランドであり続けたいと思っています」