―― 活動中にダンスで大変だった思い出はありますか?
ダンスに関しては分かりやすく挫折を感じたような経験はあまりないのですが、逆に『今の自分輝いているな』と思った瞬間もなかったなというか。常に『あぁ、今のここがダメだったな』と思い続けていました。挫折もなければ成功もなかったというか……。苦手なものがハッキリしている方なので、一つ克服してはまた次の課題が出てくる。その繰り返しでここまで来たっていう感じです
―― 具体的に苦手なものを克服したエピソードもお聞きしていいですか?
はい! デビューして最初の頃は自分の手先が嫌いだったんです。研修生の時のダンスってとにかく大きい動きや元気さが求められるので、すごく力を入れて踊るクセがついてしまっていて。そうすると手先だったり指の関節が反っちゃうので美しく見えないんです。あと私は猿腕でもあったので、できるだけ矯正して美しく見えるように微調整をずっと続けていました。力んでいないけど美しい表現というのは、℃-uteさんのツアー帯同で学びましたね
―― お手本になる先輩の存在はとても素敵なことですよね。加賀さんがストイックなのは理想がすごく高い位置に設定されているからなんじゃないでしょうか?
うーん、どうなんでしょうか。自分の理想が常に固定されていないというのもあると思います。常に更新されていくんです
―― ℃-uteの皆さんの他に刺激を受けたハロー!プロジェクトのメンバーはいますか?
私がモーニング娘。のオーディションを受けるきっかけにもなった鞘師里保さんの存在は大きいです。一緒に活動する機会はほとんどなかったので、コンサートなどで一方的に見ているだけだったんですけど。本当に刺激を受けました
―― 鞘師さんのどんなところに惹かれていたのでしょうか?
なんでしょう……。ダンスが上手と言われる方ってアクセントが体の外にはっきりと出るような人が結構多いのかなと思うんですけど、鞘師さんの場合は逆で。常に体の内側にアクセントとリズムがあるというか。それって個性や好みの問題でもあるんですけど、個人的にその鞘師さんの体幹やグルーヴがすごく『カッコいい!』って思っていて、憧れます
―― ハロー!プロジェクトには最近ダンスが得意なメンバーが増えていますよね。
ありがたいことにそう言っていただける機会が増えたのですが、それは見え方という部分も大きいのかなとも思います。昔はコンセプト重視の楽曲や、分かりやすいフリが多かったので、ダンスのうまさみたいなものがあまり伝わりやすくなかったのかな、と。実際にダンスが上手な方は昔からたくさんいらっしゃいましたし。でも確かに鞘師さんがモーニング娘。に加入したタイミング辺りで変わった部分はあるのかなと思います
―― 加賀さんにとってダンスはずっと得意という部分であると思うのですが、モーニング娘。になって新しく得意になったことはありますか?
それはメイクですね(笑)。それまでは一切していなかったので。興味さえなかったですし。だから研修生になってもとにかくメイクが憂鬱で(笑)。学ぶこともしなかったですし、とにかくファンデーションとお粉をはたいて、アイシャドウとアイラインをパパッとする、みたいな感じだったんですけど、ある時に雑誌のメイク特集を読んで『自分全然ダメじゃん』って気づきました(笑)。モーニング娘。はメイクにすごくこだわりがある人が多いので、そこでもいろいろ学んで、本当に最近やっと上達したっていうレベルではあるんですけど(笑)
―― メイクの師匠はいますか?
それはもう小田(さくら)さんですね。分からないことがあったらとりあえず小田さんに聞きに行きます。『なんか今日、私目が小さい気がするんですけど……』って相談しに行ったら『かえでぃー(加賀)はその色を使っちゃダメなのよ。だからこの色を目の下に塗ってみて! 涙袋に影を足すのもかえでぃーの場合は逆効果になっちゃうからダメ』などかなり具体的に教えてくれるんですよ。実際に試したら本当に自分の顔が見違えるので、一回教えてもらったことは忠実に守り続けます(笑)
―― モーニング娘。はセルフメイクが多いからこそ、メイクも仕事の一部ですもんね。
そうなんです。自分の顔をちゃんと理解するというのも、すごく大切なことだと思うようになりました。ライブで自分を可愛く見せるのも、アピールとして大事な部分じゃないですか。だから未だに得意ではないですけど頑張ってはいます!
―― 最近の加賀さんのメイクポイントはどこですか?
目尻のアイラインですね。黒目の外側の部分から目尻にかけてのみ黒のラインをひくのがこだわりです。内側には薄くブラウンで足すぐらい。そのバランスが自分の目の形を一番引き立ててくれる気がします。あとは最近、ハイライトが好きです。新しいハイライトパウダーを見つけるとすぐ試したくなっちゃうぐらい。まさか自分がこんなことをする日が来るとは思っていなかったです(笑)
―― オフの日でもメイクはしますか?
します。しないと無理!って感じるまでに成長しました。メイクが上達するほど、常にその上手にメイクできた状態でいたいって思うようになったというか
―― 素敵なことだと思います。卒業に向けて今頑張っていることは?
今までできなかったことをなるべくしたいと思って頑張っています。アイドルっぽいファンサみたいなことだったり、客席のお客さんと目を合わせたりすることも、今までは恥ずかしくてなかなかできなかったんですけど、最近はより意識して頑張っています。ファンの方からすれば、最初からやってよという話だとも思うんですけど……(笑)。そして卒業までにファンの方と一対一で話す機会がもうないので、できるだけインスタライブなどをして、皆さんとコミュニケーションはとっていきたいなとは思っていますね。モーニング娘。になって本当にコミュ力が上がりました
―― 外見も内面もそれぞれ変化が訪れたということですね。
今思うと昔は頭が硬かったな〜と思います。柔軟に物事が考えられなかったので、合わない人は合わない!みたいな極端な部分もあったんですけど、世の中にはいろんな人がいるということを知ったので、だったら私がうまくやればいいということにやっと気づいたんですよね。そうすることで自分だけじゃなく相手も楽しく過ごせますし。最近は結構周りからも雰囲気が変わったね、と言われたりするようになりました
―― コロナ禍で行われた『花鳥風月』はハロー!プロジェクトの各グループのメンバーを4チームに分けたコンサートツアーだったので、特にコミュ力が必要とされたのではないでしょうか。
私のいたチーム「風」は年齢の幅がすごく広くて、一番上と下では10歳差ぐらいあったと思うんですけど、ゲーム好きという共通点ですごくまとまっていました。本番や練習はもちろん集中するんですけど、オフは一緒にゲームするみたいなメリハリがすごくあって、不思議なバランスで成り立っていましたね。仲がいいからこその気遣いもあって、いいムードでした。私は年齢でいえば先輩にあたるほうのメンバーだったんですけど、自分の立場的にバランスを取る側に回ってチームを支えようって思ってやっていましたね
―― 支えるというのはモーニング娘。の活動においても加賀さんに当てはまるキーワードですよね。
あまり自覚はないんですけど、確かにそう言っていただけたりします。引っ張っていくけど引っ張りすぎないタイプというか
―― 研修生の時代から後輩に教えるという機会が多かったからというのもありますか?
それはあると思います。研修生の頃は1日リハーサルをやって、その日言われたことが次にできないと怒られる環境だったので、そうならないために私も後輩に結構厳しく言ったりしていました。怒るのが本当に正しかったのかと言われると今はそうじゃないかもしれないですけど、誰かが先生から怒られるだけでリハの空気も悪くなるし、いいことはないのであえて厳しくしている部分はありました。研修生は本当に子どもが入ってくる場所だから、そういう意味でも大変なことは多かったです(笑)。モーニング娘。に加入してからの後輩は、時代的に達観した子たちが多かったので、昔のように怒ったりすることはなくなりました。基本的なあいさつとか礼儀はもちろん教えますけど、自分で足りないものを見つけてやってくる子が多いので、私も見守っている感じですね