【モーニング娘。’22】加賀楓卒業記念インタビュー前編 ℃-uteのバックで学んだこと、デビューして見えたダンスの課題と自身の変化

2022.12.05更新日:2022.12.07

【モーニング娘。’22】ダンスをキーワードに見る、ハロプロ前夜の加賀楓と研修生期間、デビューを経て変化したこと。【加賀楓】

モーニング娘。’22加賀楓①

2022年12月10日(土)に日本武道館にて開催されるモーニング娘。’22コンサートツアー最終公演をもってグループおよびハロー!プロジェクトから卒業する加賀楓さんに、non-no webが直撃インタビュー。クールなルックスに、隙のないパフォーマンス、真面目で愛すべきキャラクター性など、“かえでぃー”の魅力をふんだんに盛り込んだスペシャルな内容でお届けします。前編ではラストシングルについて、ハロー!プロジェクトに加入して始まったというダンスの歴史やダンスへの思いについて、語ってもらいました。

ラストシングルは自分の気持ちに重なるような楽曲

モーニング娘。’22加賀楓②

―― 今日の感想を教えてください。

衣装が可愛くてテンションが上がりました! 普段雑誌などの撮影だとパンツスタイルが多いので、ロングスカートとブーツの組み合わせというのが新鮮で。ヘアスタイルもいつもと違う分け目にしてもらったんですけど、新しい自分になれたような気がしました。プロの手で素敵にしてもらえて楽しかったです!

―― 撮影ではダイナミックなポージングにもチャレンジしていただきました。

つらかったら言ってくださいね、と皆さんから声をかけていただいたんですけど、全然。むしろ楽しかったです。普段からライブなどで常にダンスしているので体力には自信があるんですよ(笑)!

―― ではここから本題に入っていきたいと思います。まずは加賀さんにとってラストシングルとなる『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』について、注目してほしいポイントを教えてください。

『Swing Swing Paradise』は最初に私が一人で踊る部分があるんですけど、そこに注目していただきたいです。片足重心で実は必死だったりもするんですけど、カッコよく見えるように頑張っています

―― 最初に曲を聴いた時の印象も教えてください。意外だったことはありましたか?

自分に対してのメッセージというより、曲を聴いているあなたに届けたいメッセージという印象を受けました。私も自分より人のために動きたいと思うタイプなので、結構重なる部分があるというか、感情としては歌いやすかったです。意外だったのは曲調ですね。最初はタイトルの通り、スウィングベースの曲なんだろうなーと思っていたんですよ。メンバーともそんな話をしていて。でも、そうやって見せかけておいて実は違うんじゃないか説も浮上してきて……。つんく♂さんが作る楽曲だったら全然ありえる話じゃないですか(笑)! それで実際に小田(さくら)さんがつんく♂さんに、メンバーの間では今そんな話になってますとLINEで伝えたら「分かってるね」みたいな返事がきたらしいんですよ

―― でも実際はスウィングベースだったという(笑)。

そうなんですよ。転がされているな〜、と思いました(笑)

―― (笑)。先ほど自分より人を優先させがちとおっしゃっていた加賀さんですが、卒業を発表したことで中心に立つ機会が増えたのではないでしょうか。

中心に立つのはまだ全然慣れないです! ラストシングル曲に関してもこんなに場位置移動が少なくていいの?と戸惑いました。そもそも0番(ダンスのポジションの中央)で立って踊るということ自体に慣れていないので緊張しちゃうんです。初披露の時なんかは特にそうでしたね

―― 見ている側にはそんな緊張は全然伝わってこないのがさすがです。

いえいえ! でもいざパフォーマンスが始まってしまえば、歌やダンスを楽しんでいる自分がいるので、緊張している部分はあまり見せていないのかもしれないです。ステージ上でというよりは、レッスン中に鏡を見てソワソワするタイプなんですよ(笑)

メンバーカラー“赤”の系譜のプレッシャーと、“イタリアンレッド”への思い

モーニング娘。’22加賀楓③

―― 『Swing Swing Paradise』は加賀さんのメンバーカラーである赤系の衣装も印象的でした。

そうですよね、シングルでの赤い衣装は確か加入したばかりの時の『BRAND NEW MORNING』以来じゃないですかね? たまたまなのか、そうしてくださったのかはちょっと分からないんですけど。でも『Happy birthday to Me!』の方ではあえて赤い衣装を選んでもらったんです。2パターンの衣装があって、他のメンバーはあえて違う色を選んでカラフルな感じにしているんですけど、私はあえて両方とも赤でいこうと思って

―― 加賀さんにとって赤とはどんな色ですか?

モーニング娘。の歴史を知っている方には共感してもらえると思うんですけど、今まで赤をメンバーカラーにしていたメンバーがとにかく偉大な方ばかりじゃないですか。だからそこに並ぶみたいな感じになると自分としてはどうなのかな……と思ってしまうんです。でも私の正式なメンバーカラー名はイタリアンレッドなんですよ。だからイタリアンレッドに関しては私しかいない!という気持ちでいます。もしいつか同じカラーを継いでくれる後輩メンバーが現れたら、私という存在を思い出してもらいたいですね

―― 今回は加賀さんの個性である“ダンス”にフォーカスしたお話も聞かせていただきたいなと思っています。今までの活動を振り返ってダンスにまつわる印象的な思い出や、なにかのきっかけになった出来事はありますか?

実はハロプロ研修生になるまでダンスを習ったことがなかったんです。初めてダンスに挑戦したのは℃-uteさんの『Danceでバコーン!』でした。イントロで両手を広げる振り付けがあるんですけど、家族のみんなが『これできる? できなくない?』って騒いでいる横で私はすぐできてしまったんです。当時の自分は『それって普通のことじゃない?』と思っていたのですが、今考えると結構特殊能力だったのかも。人がどうやって体を動かしているのか見て考えて、それを自分の体に反映させるのが昔から得意だったんです

―― それはハロプロ研修生に加入する前の話ですか?

そうです。その後にモーニング娘。11期オーディションを受けたのですが、課題曲だった『What’s Up? 愛はどうなのよ~』も見よう見まねで覚えました。でも当時は“とにかく踊っていた”という感じなので、単純にフリを入れて踊れていただけという感じですね

―― ハロプロ研修生になってダンスを本格的に始めたことで何か変化は生まれましたか?

研修生の時には℃-uteさんのツアーに帯同させていただくことが多かったんですけど、そこで本当にたくさんの刺激をもらい、意識が変わりました。℃-uteさんはダンスがうまいのはもちろんなんですけど、そこに可愛いだったり美しい、カッコいいなど表現の幅がすごくあるんです。そこで自分はこういうスタイルが好きなんだな、とか手の出し方一つとってもこういうやり方があるんだなとか、いろいろ学びました。そして℃-uteさんは限られた時間のなかでも、研修生ととにかくコミュニケーションをとってくれようとしてくださる素敵な先輩だったんです。研修生発表会の時に、℃-uteさんが研修生の曲を踊っているVTRを作ってくださったり、温かいなって何度も思いましたね

―― 研修生を経てデビューしてからは、ダンスに対して求められるレベルが変わってきたと思いますがどうでしたか?

そうですね、研修生の時は自分たちの発表会は別として普段はバックダンサーをすることが多かったので、先輩を輝かせるためにはどうすればいいか、ということばかり考えていました。でもデビューしてからは自分たちがライブを盛り上げていかないといけないので、そこはまったく違う意識へと変わりました。主役だからこそ一番頑張らないと周りもついてきてくれないじゃないですか。頭ではなんとなく分かっていたことでしたけど、エネルギーの使い方が全然違うな、と改めて感じましたね

苦手を克服しては見えてくる新しいダンスの課題や理想

モーニング娘。’22加賀楓④

―― 活動中にダンスで大変だった思い出はありますか?

ダンスに関しては分かりやすく挫折を感じたような経験はあまりないのですが、逆に『今の自分輝いているな』と思った瞬間もなかったなというか。常に『あぁ、今のここがダメだったな』と思い続けていました。挫折もなければ成功もなかったというか……。苦手なものがハッキリしている方なので、一つ克服してはまた次の課題が出てくる。その繰り返しでここまで来たっていう感じです

―― 具体的に苦手なものを克服したエピソードもお聞きしていいですか?

はい! デビューして最初の頃は自分の手先が嫌いだったんです。研修生の時のダンスってとにかく大きい動きや元気さが求められるので、すごく力を入れて踊るクセがついてしまっていて。そうすると手先だったり指の関節が反っちゃうので美しく見えないんです。あと私は猿腕でもあったので、できるだけ矯正して美しく見えるように微調整をずっと続けていました。力んでいないけど美しい表現というのは、℃-uteさんのツアー帯同で学びましたね

―― お手本になる先輩の存在はとても素敵なことですよね。加賀さんがストイックなのは理想がすごく高い位置に設定されているからなんじゃないでしょうか?

うーん、どうなんでしょうか。自分の理想が常に固定されていないというのもあると思います。常に更新されていくんです

―― ℃-uteの皆さんの他に刺激を受けたハロー!プロジェクトのメンバーはいますか?

私がモーニング娘。のオーディションを受けるきっかけにもなった鞘師里保さんの存在は大きいです。一緒に活動する機会はほとんどなかったので、コンサートなどで一方的に見ているだけだったんですけど。本当に刺激を受けました

―― 鞘師さんのどんなところに惹かれていたのでしょうか?

なんでしょう……。ダンスが上手と言われる方ってアクセントが体の外にはっきりと出るような人が結構多いのかなと思うんですけど、鞘師さんの場合は逆で。常に体の内側にアクセントとリズムがあるというか。それって個性や好みの問題でもあるんですけど、個人的にその鞘師さんの体幹やグルーヴがすごく『カッコいい!』って思っていて、憧れます

―― ハロー!プロジェクトには最近ダンスが得意なメンバーが増えていますよね。

ありがたいことにそう言っていただける機会が増えたのですが、それは見え方という部分も大きいのかなとも思います。昔はコンセプト重視の楽曲や、分かりやすいフリが多かったので、ダンスのうまさみたいなものがあまり伝わりやすくなかったのかな、と。実際にダンスが上手な方は昔からたくさんいらっしゃいましたし。でも確かに鞘師さんがモーニング娘。に加入したタイミング辺りで変わった部分はあるのかなと思います

―― 加賀さんにとってダンスはずっと得意という部分であると思うのですが、モーニング娘。になって新しく得意になったことはありますか?

それはメイクですね(笑)。それまでは一切していなかったので。興味さえなかったですし。だから研修生になってもとにかくメイクが憂鬱で(笑)。学ぶこともしなかったですし、とにかくファンデーションとお粉をはたいて、アイシャドウとアイラインをパパッとする、みたいな感じだったんですけど、ある時に雑誌のメイク特集を読んで『自分全然ダメじゃん』って気づきました(笑)。モーニング娘。はメイクにすごくこだわりがある人が多いので、そこでもいろいろ学んで、本当に最近やっと上達したっていうレベルではあるんですけど(笑)

―― メイクの師匠はいますか?

それはもう小田(さくら)さんですね。分からないことがあったらとりあえず小田さんに聞きに行きます。『なんか今日、私目が小さい気がするんですけど……』って相談しに行ったら『かえでぃー(加賀)はその色を使っちゃダメなのよ。だからこの色を目の下に塗ってみて! 涙袋に影を足すのもかえでぃーの場合は逆効果になっちゃうからダメ』などかなり具体的に教えてくれるんですよ。実際に試したら本当に自分の顔が見違えるので、一回教えてもらったことは忠実に守り続けます(笑)

―― モーニング娘。はセルフメイクが多いからこそ、メイクも仕事の一部ですもんね。

そうなんです。自分の顔をちゃんと理解するというのも、すごく大切なことだと思うようになりました。ライブで自分を可愛く見せるのも、アピールとして大事な部分じゃないですか。だから未だに得意ではないですけど頑張ってはいます!

―― 最近の加賀さんのメイクポイントはどこですか?

目尻のアイラインですね。黒目の外側の部分から目尻にかけてのみ黒のラインをひくのがこだわりです。内側には薄くブラウンで足すぐらい。そのバランスが自分の目の形を一番引き立ててくれる気がします。あとは最近、ハイライトが好きです。新しいハイライトパウダーを見つけるとすぐ試したくなっちゃうぐらい。まさか自分がこんなことをする日が来るとは思っていなかったです(笑)

―― オフの日でもメイクはしますか?

します。しないと無理!って感じるまでに成長しました。メイクが上達するほど、常にその上手にメイクできた状態でいたいって思うようになったというか

―― 素敵なことだと思います。卒業に向けて今頑張っていることは?

今までできなかったことをなるべくしたいと思って頑張っています。アイドルっぽいファンサみたいなことだったり、客席のお客さんと目を合わせたりすることも、今までは恥ずかしくてなかなかできなかったんですけど、最近はより意識して頑張っています。ファンの方からすれば、最初からやってよという話だとも思うんですけど……(笑)。そして卒業までにファンの方と一対一で話す機会がもうないので、できるだけインスタライブなどをして、皆さんとコミュニケーションはとっていきたいなとは思っていますね。モーニング娘。になって本当にコミュ力が上がりました

―― 外見も内面もそれぞれ変化が訪れたということですね。

今思うと昔は頭が硬かったな〜と思います。柔軟に物事が考えられなかったので、合わない人は合わない!みたいな極端な部分もあったんですけど、世の中にはいろんな人がいるということを知ったので、だったら私がうまくやればいいということにやっと気づいたんですよね。そうすることで自分だけじゃなく相手も楽しく過ごせますし。最近は結構周りからも雰囲気が変わったね、と言われたりするようになりました

―― コロナ禍で行われた『花鳥風月』はハロー!プロジェクトの各グループのメンバーを4チームに分けたコンサートツアーだったので、特にコミュ力が必要とされたのではないでしょうか。

私のいたチーム「風」は年齢の幅がすごく広くて、一番上と下では10歳差ぐらいあったと思うんですけど、ゲーム好きという共通点ですごくまとまっていました。本番や練習はもちろん集中するんですけど、オフは一緒にゲームするみたいなメリハリがすごくあって、不思議なバランスで成り立っていましたね。仲がいいからこその気遣いもあって、いいムードでした。私は年齢でいえば先輩にあたるほうのメンバーだったんですけど、自分の立場的にバランスを取る側に回ってチームを支えようって思ってやっていましたね

―― 支えるというのはモーニング娘。の活動においても加賀さんに当てはまるキーワードですよね。

あまり自覚はないんですけど、確かにそう言っていただけたりします。引っ張っていくけど引っ張りすぎないタイプというか

―― 研修生の時代から後輩に教えるという機会が多かったからというのもありますか?

それはあると思います。研修生の頃は1日リハーサルをやって、その日言われたことが次にできないと怒られる環境だったので、そうならないために私も後輩に結構厳しく言ったりしていました。怒るのが本当に正しかったのかと言われると今はそうじゃないかもしれないですけど、誰かが先生から怒られるだけでリハの空気も悪くなるし、いいことはないのであえて厳しくしている部分はありました。研修生は本当に子どもが入ってくる場所だから、そういう意味でも大変なことは多かったです(笑)。モーニング娘。に加入してからの後輩は、時代的に達観した子たちが多かったので、昔のように怒ったりすることはなくなりました。基本的なあいさつとか礼儀はもちろん教えますけど、自分で足りないものを見つけてやってくる子が多いので、私も見守っている感じですね

Profile

●かが かえで

1999年11月30日生まれ、東京都出身。2012年にオーディションを経てハロプロ研修生になり、2016年12月に13期メンバーとしてモーニング娘。に加入。長い研修生期間を経てのサプライズ加入は大きな感動を呼んだ。愛称はかえでぃー。メンバーカラーはイタリアンレッド。特技はダンスでモーニング娘。公式TikTok(@morningmusume_uf)に投稿されるダンスもたびたび話題に。公式YouTubeには加賀さんがモーニング娘。の既存曲に新たな解釈で振付を行い、自ら踊った動画もアップされている。クールなイメージとは裏腹にアニメ好きという一面も。今回の撮影ではスタイルのよさや内面の強さが引き立つ大人っぽいモードな衣装と世界観に挑戦してもらいました。

ジャケット¥121000・スカート¥88000/THÉ PR(ティート トウキョウ) ピアス¥22000・シルバーリング¥33000・ストーンリング¥29700/warmth ルミネ新宿店(ルフェール) 靴¥15900/CHARLES & KEITH JAPAN(CHARLES & KEITH)

Information

モーニング娘。'22  『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』

モーニング娘。’22

『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』

通算72枚目となるモーニング娘。’22の両A面シングル『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』が2022年12月21日にリリース決定。16期メンバー櫻井梨央が加入して初の作品であり、加賀楓にとってはラストシングルとなる。両曲ともつんく♂が作詞・作曲を手がけた。

モーニング娘。’22『Swing Swing Paradise』Promotion Edit

人気曲『SONGS』を加賀さんがつけた振りで石田亜佑美さん、小田さくらさんとともに踊った動画。他に『The 摩天楼 ショー』を加賀さんソロで、『セクシーキャットの演説』を15期メンバーが踊る動画も。

  後編はこちら! 

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