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2022.11.02更新日:2022.11.22
この秋にモーニング娘。加入10周年を迎えた小田さくらさんを、non-no webが直撃インタビュー。歌姫と呼ばれる圧倒的な歌唱力、隙のない完璧なパフォーマンス。常にストイックな姿勢でグループを引っ張り続ける彼女の知られざる内面の部分についてフォーカスした、スペシャルなインタビューをお届けします。前編ではコロナ禍を経ての活動を通して感じた変化や最新のモーニング娘。の魅力について語ってもらいました。
――今日の撮影はいかがでしたか?
「一人でこういう撮影をする機会があまりないので新鮮で楽しかったです! メンバーの中にはモーニング娘。の活動と並行して雑誌などでも頑張っている子たちがいるんですけど、私はステージ上でのイメージが強いほうだと思うんですよね。だからきっと皆さんも新鮮だと感じてくださるのではないでしょうか。大好きなお花と写真を撮ってもらえたこともうれしかったです! 黒い洋服とお花の組み合わせもすごく素敵でした」
――撮影中に、黒い服はステージ以外でなかなか着る機会がないとおっしゃっていましたが、詳しくお話を聞かせていただけますか?
「はい。モーニング娘。は強くてカッコイイ曲が多いので、ステージ用に作っていただく衣装だと黒系のものが結構多いんです。その対比だと思うんですけど私服っぽい衣装ではカラー系という感じで、全身黒というのはほとんどないんじゃないかな。加えて私は普段の洋服選びでもついグループのことを考えてしまうクセがあるので、『13人もいるから重い印象になる洋服はやめておこうかな』と敬遠しがちな色なんですよ」
――完全にプライベートな時も黒い服を着ないんですか?
「そうですね。なんとなく私のイメージとして明るい色を着ていたほうがいいのかなと思うところもあって。身につけるものに関しては好きなものより似合うものを選んでいることが多い気がします。でも今日は黒を着てすごく似合うと言っていただけたのでうれしかったです! ヘアメイクも普段はしないナチュラルな感じで、自分の顔がすごく新しく感じました。撮影が終わって落とすのがもったいなくてポイントメイクだけは残してくださいってお願いしたんです」
――現在は秋ツアーの真っ最中とのことで是非そのお話も聞かせてください。
「実際に来てくださった方はもうご存じだと思うんですけど、セットリストの半分ぐらいまでMCがないんです。ステージに出たらとにかく半分はパフォーマンスをし続けているという(笑)。その中にはメドレーも入っていますし、いつもだったら後半に入れるような盛り上がる曲も詰め込まれていたりするので、初日は本当に体がキツかったです。私だけではなくメンバーたちも『これから大丈夫かな……?』という状態だったと思います(笑)。
でも不思議なことに1回、また1回と公演を重ねるにつれ、どんどん楽に感じるようになっていくんですよね。コロナ禍で以前に比べて踊る機会が少なくなって、私の場合はそこにちょうど年齢的に体力のピークがを迎え、下降していく時期が重なったというのもあると思うんですけど。でも、だからこそよくも悪くも変化というものを感じることができましたし、もっともっと進化していきたいなと改めて思いました」
――ハードなセットリストということでお客さんの反応も気になります。
「引き続き着席しての観覧、マスク着用で声も出せないという状況ではあるんですけど、沸いてくださっている感じはすごく伝わってきます。ちょっとネタバレになってしまうかもなのですが、今回のメドレーはメモリアルな曲たちで構成されているんですね。初日でも勘の鋭い方だとすぐに気づいてくださったり、2曲目に入った瞬間に『……だよね⁉︎』って顔をしている方を見かけたりしてうれしくなりました。
私たち、コロナ禍の活動でマスクをしているお客さんの表情を読み取るという力を身につけてしまったんですよ! マスクを外して声も出せる環境に戻ったらファンの方たちの気持ちが分かりすぎるんじゃないかって今からちょっと心配です(笑)」
――(笑)。それだけお客さんのことを見ているっていうことですよね。
「そうです。すっごく見てますし、なんなら位置まで覚えていますから(笑)。今までの経験の積み重ねで備わった能力とも言えるのかもしれませんが、私は純粋にファンの方に興味があるんですよね」
――今回は新メンバーの櫻井梨央さんが加入して初めてのツアーでもありますね。
「最初は本当にどうしようって感じで、いろんなメンバーが個人的に櫻井と話をしに行ったりしていました。私たちは本番通りのことを本番前にリハーサルスタジオで1回、本番の会場でもう1回と全部で2回やるんですが、櫻井はそのどちらも途中から動けなくなっちゃったんですよ。もう本当に櫻井と一緒に全員で『どうしよう!』となってしまって(笑)。
でも本番に入ってからはそんなこと1回もなく最後までパフォーマンスできていて、びっくりしました。やっぱりたくさんの候補者から選ばれた子なだけあるな、これぞモーニング娘。だなって改めて思いましたね」
――モーニング娘。は特にライブの構成がハードなので、新メンバーにとっては大きな試練ですよね。
「そうですね。しかもらいりー(櫻井)はコロナ禍で加入してきたメンバーということもあって、そこからいきなり単独コンサートというのはかなり厳しかったんじゃないかと思います」
――櫻井さんは小田さんと同じ単独での加入メンバーですが、思うことはありますか?
「先日卒業したちぃちゃん(森戸知沙希)も単独加入ではあったのですがかなり特殊なケースではあったので、改めてらいりーの環境みたいなものを理解できるのは自分しかいないんだなと思います。実際に『そうだよね、そうなるよね』っていう場面にも何度か遭遇しましたし」
――その場面について詳しく教えていただけますか?
「私的に一番『自分もそうだったな』と思うのは、“同期がいない=比べる相手がいない”という状況の難しさ。たとえば同期ができて自分ができないと焦ったりすると思うんですけど、周りがすべて先輩だと、先輩はできて当然だから自分への焦りみたいな気持ちが薄れがちなんです。なんなら自分も一緒にできているぐらいに思い込んでしまうというか。
だからこそ『新人はそうじゃダメなんだよ』っていうことをハッキリ伝えるようにしています。なぜなら昔の私も同じで、新人には新人の流れがあるということを知らずに時間をゆっくり過ごしてしまったことがあるんですよね。後からそのことを後悔しているので、らいりーには同じ思いをしてほしくないと思って。
苦労していったほうが本人のためになるという意見もあるとは思うんですけど、私はそういうのって時間のムダな気がするんです。クリアできる問題はできるだけ早くしてもっとできることを増やしていってほしいなと」
――単独加入で今まで頑張ってきた小田さんだからこその視点ですね。
「ありがとうございます。でも私は一人で加入したのが逆によかったとも思います。先輩しかいない環境だったからこそ、慢心することなく頑張り続けることができたのかなって。人って満足したら終わりというじゃないですか、まさにそれです。でもそういう過酷さが負担になるケースもありますし、あくまで自分の場合はという話ではあります。だから後輩に対しては目線は同じにしつつ、押し付けたりはせず、サポートしていきたいとは思っていますね」
――今のモーニング娘。はすごく新メンバーのケアをしている印象があります。
「そうですね、やっぱりグループとしての方向性がフォーメーションダンスへと移行していったのが大きいと思います。昔は楽曲もそうですし個人が目立ってこそ!という空気感があったと思うのですが、最近のモーニング娘。は全員で一体となって感動を作っていきたいという感じなので。だからちゃんとメンバー同士で会話をして心を一つにしないと成立しないですし、ちょっとしたことも指摘していかないと揃わないので、自然とコミュニケーションが増えていった部分はあると思います」
――ここ数年は特にグループとしての一体感もありつつ、個性も際立っている印象を受けますが、何か変化があったのでしょうか?
「わぁ、そう思っていただけるのはすごくうれしいです! フォーメーションダンスを取り入れて“揃える”ということだけに徹した結果、壁にぶつかってしまった時期があったのですが、それを乗り越えて今に至るのかなと思います」
――そのお話、もっと詳しくお聞きしてもいいですか?
「はい。このままじゃダメだという空気が生まれたのは結構前で、2015、16年ぐらいでしょうか。約12年在籍した絶対的なリーダーの道重さゆみさんが卒業して、現在一番上の9期さんでも、まだ加入して3、4年の新しいモーニング娘。の体制になった時です。当時はとにかく皆が必死で言われたことをマジメにやっていたのですが、その結果、なんだか個性がなくなってしまったんです。
そこで真っ先に「ノー」とアクションを起こしたのが、昨年卒業された10期の佐藤優樹さんという方なんですけど(笑)。集団と個人って全く違う視点じゃないですか。だから当時はメンバー間で混乱もあったし、噛み合わない部分もありましたけど、時を経て両方のいいところだけが残ってそれが今の形になっていったという感じですね。最近のメンバーはそれぞれが表現すること、揃えることというのは別という意識を持って活動できている気がします」
――今のモーニング娘。は先輩後輩関係なく仲がいいイメージもありますが、そこにも繋がっていそうですね。
「メンバー間での愛情は年々深まっていっている感じがします。そしてそれは紛れもなくリーダーの譜久村(聖)さんの影響なんですよね。今のモーニング娘。は譜久村さんがすべてと言っても過言ではないと思います! それぐらいグループにとって大きな存在なんです。さっきお話しした大変だった時期というのは譜久村さんの大変だった時期にもすごくかぶるんですよね。加入して数年で道重さんからリーダーを引き継ぐというのは本当に大変だったと思います。そもそも道重さんと譜久村さんのリーダー像というのが全然違うので」
――小田さんが思う譜久村リーダーの個性や、すごい部分はどんなところですか?
「道重さんは一人で全員を引っ張っていってくれるタイプだったのですが、譜久村さんは上下関係なく皆で一緒に頑張ろうっていうタイプ。広い視点で物事を捉えられる、柔軟でフラットなところを尊敬しています。リーダー自ら『上も下も関係ないよ』って言ってくれて柔らかいムードを作ってくれるので、私たち後輩もすごく気持ちが楽なんです。
グループが譜久村さんに影響を受けるというのは、言い方を変えるとメンバー全員がそれほどに譜久村さんのことが大好きっていう意味でもあって。だからもし譜久村さんを傷つけるようなことをする人がいたら私は絶対に黙ってはいません! ちょっと極端な言い方ですけど、これは本当に心から思っていることです(笑)」
――素敵な関係性ですね。そして小田さんの後輩にあたるメンバーたちもかなり先輩の風格が出てきた気がします。
「そうなんです、私の次に入った12期も気づけばもう上から数えたほうが早いという……! そして12期は本当に進化しました。特に(牧野)真莉愛ちゃんはこの一年ですごく変わった気がします。彼女は昔から何事にもこだわりがあって、それがすごく素敵なところなんですけど、それで自分が大変になってしまっているようなことも結構あって。でも最近は自分の個性を保ちつつすごく柔軟になったんですよね。
なんだろう、自分をすごく大切にしていた真莉愛ちゃんが同じように他人の大事なものを大事にするようになったというか。それが12期全体にもすごくいい影響を与えていて、あかねちん(羽賀朱音)や野中(美希)もすごくどっしり構えられるようになってきたと思います。12期が堂々として輝いている姿を見ると私もすごくうれしいんですよね」
――後輩から影響を受けることはありますか?
「すごくあります! 私、加入した当時の気持ちもいまだに忘れていないので、他人を見て羨んでみたり、嫉妬したくなるような感情というのもちゃんとあって。今まさに私をそんな気持ちにさせてくれるのが、15期の(北川)莉央ちゃんです。歌も上手でカッコよさも出てきているし一生懸命だし。でも新人にしか出せない勢いもまだ持っていて、すごい子なんですよ」
――でもその嫉妬心はポジティブな気持ちという意味ですよね?
「そうです! 私は結構世話焼きな部分があるので、後輩に自分の技術とかについて細かく教えちゃったりするんですけど。そういう時に莉央ちゃんはすごく向き合ってくれるんですよ。そして私だけじゃなく、いろんな先輩から教えてもらったことも含めて、自分に必要なことを取捨選択して吸収していく器用さも併せ持っていて。これからはそこに、どんどん自分らしさが加わっていくのかと思うと楽しみすぎます。私も負けずに頑張ろうって思いますね」
●おだ さくら
1999年3月12日生まれ、神奈川県出身。2012年に開催された「モーニング娘。11期メンバー『スッピン歌姫』オーディション」に合格して同年9月に11期メンバーとして加入。愛称はおださく、さくら。メンバーカラーはラベンダー。特技はフラダンス。猫好きとしても知られる。加入当初から歌唱力への評価が高く、公式YouTubeチャンネル(モーニング娘。)に投稿されたMISIAの『逢いたくていま』をカバーした動画は178万回再生を記録するなど大きな話題を集める(2022年10月現在)。今回の撮影では小田さんの内面の美しさが引き立つモードなブラックの衣装、表現力を引き出す植物を用意していつもとはちょっと違った大人っぽさを表現してもらいました。
ブラウス¥47300(ティート トウキョウ)・スカート¥42900(クリエイトクレイル)/THÉ PR カチューシャ¥9900・ヘアピン[4本セットで]¥7700(Mikshimai)・イヤリングとしてつけたピアス¥13200(YIE YIE)/SHOWROOM CHRMR 靴¥10900/CHARLES & KEITH JAPAN(CHARLES & KEITH)
小田さくら『逢いたくていま』カバー
モーニング娘。’22
『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』
通算72枚目となるモーニング’22の両A面シングル『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』が12月21日にリリース決定。新メンバー櫻井梨央が加入して初の作品であり、12月10日に卒業することを発表している加賀楓にとってはラストシングルとなる。
12月13日をもってモーニング娘。’21を卒業する佐藤優樹さんが、音楽への思い、メンバーへの思いを語りつくしたロングインタビュー。
2021年12月13日をもってモーニング娘。’21を卒業する佐藤優樹さんが、音楽への思い、メンバーへの思いを語りつくしたロングインタビュー
モーニング娘。’22を6月20日に卒業する森戸知沙希さん。14期メンバーとして加入した当時の気持ちや、メンバーへの愛を包み隠さずnon-no webに打ち明けてくれました。前編では2グループを兼任していた怒涛の日々、カントリー・ガールズのこと、そしてこれからのことについて伺います。
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