月経中の痛み、周期の乱れ、前後に訪れる心身の不調など、多くの女性が抱えている生理のお悩み。周りの人には相談しづらい不安な気持ちに、婦人科医がアンサー! 後編では、月経前後のモヤモヤ悩みや、おすすめの快適に過ごせるアイテムについてお届けします。お悩み事に項目分けしているから、特に気になる項目がある人は目次からジャンプしてみて!
教えてくれたのは…
京都大学医学部卒業。市立舞鶴市民病院、洛和会音羽病院にて総合内科研修後、産婦人科に転向。現在、京都大学医学部附属病院の女性ヘルスケア外来ほかを担当しつつ、同大学大学院博士課程にて、女性の社会的孤立や月経前症候群による社会的インパクトなどを研究。日本産科婦人科学会専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医ほか。NPO法人女性医療ネットワーク理事長。一般社団法人SRHR Japan代表理事。二児の母。
A.
受精のために分厚くなった子宮内膜が不要になり、血液と一緒にはがれ落ちて排出される
「初潮を迎える頃から、一定のサイクルで卵巣内に赤ちゃんを作るのに必要な“卵胞”が育ちます。この期間は“エストロゲン”という女性ホルモンが多く分泌され、子宮の内側にある子宮内膜が分厚くなります。そして大きくなった卵胞がはじけて卵子が飛び出したあと、黄体期になると“プロゲステロン”というホルモンの分泌量が増えて、基礎体温を上げたり、子宮内膜を安定化させるなど、妊娠のために準備を始めます。
しかし妊娠が成立しなければ、排卵の一週間後あたりからプロゲステロンは減少。それがサインになり、子宮内膜が剥がれます。血液とともに子宮内膜が体外へ流れ出る現象が“生理(月経)”です」(池田先生・以下同)
▼「生理の仕組み」を動画で解説▼
non-noにかかわっているエディターやライターも参加している、心・体・性のウェルネスメディア『yoi』。可愛いイラストで女性の体や生理について学べる人気コンテンツから「生理ってどうして血が出るの?」をご紹介。動画をタップまたはこちらからチェック!
【PMS】生理前にイライラしたり、落ち込んだりする
Q.
生理がくる前はイライラしたり、気持ちが落ち込んだりします。これってどうしようもないですか?
A.
ピルでコントロールするか、“PMS症状日記”をつけてみて
「生理前に起こる精神的あるいは身体的な不調は、“PMS(月経前症候群)”という症状。気になったら婦人科を受診してみてくださいね。治療は低用量ピルや漢方薬、抗うつ剤などのお薬を用いる方法もあれば、お薬を使わずに生活の中で改善していく方法もあります。代表的なのは“PMS症状日記”をつけること! その日に起きた症状や気分を当日中に記録するというもので、以下は私がおすすめしているやり方です。
①毎日記録し続けて、月経が始まった日や期間も書いておく
②症状や気持ちを言語化し、その状態が何点なのかを合わせて記録する
③『イライラと寂しさが混ざり合ってる』、『気分のアップダウンがしんどい』など気持ちの種類はいくつ書いてもOK
④それぞれの気持ちの強さに点数をつける。たとえば一番ひどいイライラを10点、全くイライラしていない状態を0点とするPMS症状日記
このように“PMS症状日記”をつけることで、『全部投げ出したいくらい気持ちが落ち込んだけれど、月経が来て1日経ったらおさまっているな』など自分の状態が俯瞰的に分かってだいぶ楽になります。どのタイミングでPMSが起きるか知っておけば、その時期は無理せず過ごそう、大きな決断は生理がきて数日経ち心が落ち着いた時にしよう、といったセルフコントロールが身につくんです。自分の気持ちを言葉にするだけで人の心は落ち着き、自己理解も進みます。毎日記録をつけることや、気持ちを言語化するのが苦手でない人にとってはいい方法だと思いますよ。
他にも、生理前に眠くなってしまう人は睡眠の質を高める工夫をしたり、日光を浴びて有酸素運動をしたり、自分の機嫌の取り方を知っておくこともメンタルの安定には効果的。いろいろと試して、自分なりのPMS対策を見つけてみてくださいね」