インタビュー

【モーニング娘。’25】生田衣梨奈卒業記念WEB連載 第四回:ファンに対してのブレない思い、コロナ禍を経てリーダーを任されるまで

2025.07.01更新日:2025.07.14

7月8日(火)に日本武道館で開催される「モーニング娘。’25 コンサートツアー春 Mighty Magic DX~生田衣梨奈を見送って~」をもってモーニング娘。及びハロー!プロジェクトを卒業する生田衣梨奈さんの卒業連載。第四回目は活動していく中で一貫して大事にしていたファンへの接し方や思い、ハロー!プロジェクトのOGや後輩メンバーとの関わりやエピソード、コロナ禍で感じたことなど、2019年から2023年までの思い出を振り返ってもらいました。

待望の新メンバー加入、グループ史上最大規模のステージに立った思い出

帽子と手袋をつけ、レトロな雰囲気の衣装のモーニング娘。’25生田衣梨奈さんのアップ写真

里保が登場した時の歓声がすごすぎて、本当にびっくりでした。イヤモニをしていても分かるぐらいの反応だったので「私の同期、さすがすぎる!」と誇らしい気持ちになりましたね。『Only you』は9〜11期でパフォーマンスしたので、切磋琢磨しながら一緒に頑張ってきた時代を思い出して懐かしい気持ちにもなったし、いつかの未来をお見せできたような感覚もあって。

会場で大きな歓声を浴びたり、「こんなモーニング娘。を見たかった」「このパフォーマンスを待ってた」みたいなことをファンの方たちからたくさん言ってもらったんですが、自分の中にもどこか同じ気持ちが生まれたんですよね。おこがましいかもしれませんが憧れのプラチナ期さんがそろっている光景と、里保が9~11期の真ん中にいる自分たちの姿が重なったような気がして、すごくうれしかったんです。もちろん全員がそろったわけではなかったのですが、憧れの存在にちょっと近づけたような、夢が叶ったような感覚もありました。

リハは2回ぐらいしました。楽屋とかでは当時のままというか、本当にこれといったエピソードがないぐらい里保がいた頃のいつも通りという感じで(笑)。でも当日、里保の楽屋でみんなでネイルを9期カラーにしたんです。不在だった同期の(鈴木)香音ちゃんにもそのことで連絡をしました。9期のLINEグループがあってそこでいつでも連絡を取れるんですけど、基本誰も送らないので久しぶりのやり取りに(笑)。(譜久村)聖が毎年加入日にグループ名の頭にあるデビューからの年数の部分を変更してくれるんですけど、あとはお誕生日おめでとうのやり取りをするぐらいで、ここ数年はそれさえもちょっと怪しいぐらい稼働してないです(笑)。

新垣さんとはずっと仲よくさせていただいているので、久々の共演をすごく楽しみにしていました。新垣さんが卒業するまでは純粋に先輩後輩という関係性だったのですが、卒業後はどちらかといえばお友達みたいな感じに変化していって、プライベートの話などもする仲に。そうやって新しい関係性を築いた上で、改めて一緒にパフォーマンスできたことがうれしかったです。9期は後輩として過ごした時間が短かったので、先輩といることで久々にステージで後輩っぽい一面を見せられたと思うし、一緒に活動をしていた時期があるからこそ、敬意を込めたパフォーマンスもちゃんとできたのではないかと思います。その後にあった“ひなフェス”でもまたご一緒できて、道重さゆみさんや里保も一緒に『Fantasyが始まる』をパフォーマンスしたこともすごくいい思い出です。

2年ぶりの新メンバーだったこともあり、みんなすごく可愛がっていました。でも15期は先輩たちと経験の差が大きかった分、慣れるまでは本当に大変だったと思います。それぞれ抱えている課題が違って、北川(莉央)だったらダンス、(岡村)ほまれは体力、(山﨑)愛生ちゃんは研修生出身だから何事も同期の二人よりも高いレベルでやらないといけない、という。それぞれ頑張ることも違って、覚えなくてはいけないことも多かったので、怒られている姿もたびたび見かけました。でも私自身は怒った記憶がないんですよ。なぜなら3人が頑張っている姿をちゃんと見ていたので。新メンバーができないのは当たり前じゃないですか。だから成長のために怒る人も必要だけど、できた時にちゃんと褒めてあげる人も同時に必要だなと感じていて。やるべきことをやっていなかったら、もちろん怒ったり注意をすることもあると思いますけど、15期はそれがなかったんですよね。

北川は未経験メンバーではあったけれど雰囲気が大人っぽいこともあって、最初の頃から先輩チームに振り分けられることも多かったイメージ。本人がそれをどう思っていたか分からないですけど、私的にはその状況はすごいことだし、昔の自分を考えると羨ましさもありましたね。歌もトークもできて頼もしい部分もある一方、特技だという利き水が全然当たらない、みたいなおもしろい一面もあって(笑)。人前に出ると緊張してうまくできないのも分かるので、当時は見守っていたんですけど、今思えばその時にもっとツッコんだほうがおもしろくできたのかな、と思ったりもしました。

ほまれは、他の二人に比べて控えめな印象だったので、まず本人のキャラを確立することが急務だと思いました。それで「ほまたん優勝」と言うキャッチフレーズを、事あるごとに発信するように。ほまれの可愛さをキャッチーに表現したいなと思って考えたんですけど、今でも使われるぐらい定着してうれしいです。そういえば最初の15期イベントの特技披露タイムで、ほまれはブリッジを披露する予定だったのに、坂道でブリッジの練習をしていたらケガをしてしまったらしく、当日急に文具紹介をしていたのもすごく印象に残っています。めちゃくちゃ子どもっぽくて可愛いエピソードですよね(笑)。

愛生ちゃんはとにかくパンダさんが好きと言うことだったので、「発言は全部パンダさん絡みにしていこう」とアドバイスしました。愛生ちゃんのキャラ的にもそうしたほうが引き立つのかなと思って。そして15期初シングルのZDA(全国同時握手会)で同じチームになったんですけど、最初だからこそいい思い出にしてほしくて、とにかく愛生ちゃんのことをたくさん知ってもらうために「#めいちゃんを愛でる会」とハッシュタグをつけてSNSで発信をたくさんしました。それも好評でうれしかったです。

『人間関係No way way』は一度レコーディングした後、タイトルから歌詞まで全部変わって再録になったんです。歌詞が変わると自然と歌い方も変わってきて、歌詞の力ってすごいな、と思っていたら「実はもう一曲、同じメロディだけど歌詞と振り付けが違う曲(『LOVEペディア』)があります」と言われて、「……え⁉︎」となりました(笑)。先輩でも混乱するような状況だったのに、15期は加入してすぐそんなハードルが高いことを求められて本当に大変だったと思います。ちなみに個人的には『LOVEペディア』のMVがめちゃくちゃ可愛くて気に入っています。15期の可愛さもめちゃくちゃ出てますよね。

あのヘアスタイルは盛れていましたよね(笑)、自分でもすごく気に入っています。アリアナ・グランデさんっぽいということからエリアナ・グランデというネーミングもついて、何かとキャッチーでした。でも実はBLACKPINKのLISAさんにインスピレーションを得て挑戦したスタイルなんですよね(笑)。長さがあるエクステを付けるスタイルなので、ステージ上で激しく動いても取れないかどうかちゃんと検証した上で臨みました。あと個人的に2019年の時の自分の顔が結構好きなんです(笑)。

GRASS STAGEは東京ドーム一個分ぐらいのキャパだと聞いていたので、不安もありましたが、当日はたくさんの方が来てくださって、相当気持ちがアガりました。ファンの皆さんが乗っていたツアーバスが渋滞で遅れてしまうなど、ハプニングもあったものの、いつも来てくれるファンの皆さんの姿が見えて心強かったです。どんな会場でも一番後ろにいる人たちまで届くように意識しながらパフォーマンスすることも大事だと思うけど、私はロッキンなどの大型フェスでは逆にファンの皆さんをまず大事にしたいという気持ちがすごくあって。モーニング娘。にかけてくれている時間や思いもやっぱり違うし、すごく支えてもらっている存在だからこそ、たとえば前方エリアにいるファンの方々にまず目線を送ったり、しっかり満足して帰ってもらいたいなと思っています。でももちろんこれから新しくファンになってくれる人を獲得することもフェスでは大事なので、サイドの前方にいる、ちょっとでも前に来たそうにしている人たちを見つけたら狙ってファンサするようにしています。

そうですね。ライブ会場には基本的に自分たちのファンの方しかいないので、どんなに端っこの席の方でもできるだけ楽しんで帰ってもらえるように頑張ろうっていう気持ちが常にあります。実際に会場でパフォーマンスを見られてうれしいけれど、席の場所によってモチベーションが左右されちゃうことって結構あると思うんです。だからこそ、できるだけいろんな人の近くに行くことを意識してパフォーマンスするし、端の席のファンの方から見えない位置に移動する時は、これから見えなくなる席にまず目線を投げてから移動するなど、自分なりの工夫をしています。そしてライブの時にいつも心がけているのは、自分のファンだと分かる人には一人一回ファンサをすること。でも「モーニング娘。’25 コンサートツアー春 ~Mighty Magic~」の最後の凱旋公演だった福岡では、ありがたいことにあまりにも自分のファンの方がいすぎてちょっと焦りました(笑)。

コンペはずっとしたかったのですが、実現までの道のりが結構大変で、動き出してから開催するまでに一年ぐらいかかってしまいました。ハロプロでは他にないぐらいファンと距離が近いイベントではあるんですけど、ゴルフ未経験者はNG、テレビに映る可能性ありと、参加するためのハードルが高かったこともあり、最初は「何このイベント⁉︎」みたいな声もありましたね(笑)。開催が決まってから練習を始めてくれて「未経験者じゃないです」という方がほとんどだったので、第一回目は本当に全然打てない方が多かったんですよ。でもそこから毎年開催するにつれ、皆さんの成長が本当にすごくて……!普段は応援される側ですが、このイベントではまったく逆の立場になって自分がファンの皆さんを応援して、成長を感じたりすることができてうれしかったです。そしてえりぽんカップは一人で申し込むと初対面の人とペアを組むシステムなのですが、そこで男女関係なく友情関係を築いてみんなでゴルフに行ったりしている人たちの姿もすごく印象に残っていますね。結果本当に素敵なイベントを開催することができてよかったなと心から思います。

コロナ禍で始まった新しい試み、充実していた個人でのもの作りの話

チュールスカートを揺らすモーニング娘。’25の生田衣梨奈さん全身

2018年ぐらいから聖に卒業の意思があることは聞いていたので、私もそこまでは一緒に頑張ろうって思っていました。でもコロナ禍に入って、いろんな制限が生まれてしまい……。会社の意思もあって仕切り直しをすることになりました。ちなみにコロナ禍で中止になってしまった春ツアーは神セトリだったので、すごく残念で。セットも衣装も可愛かったんですよね。でもそんな中、ハロプロはいち早く制限付きではありますがライブ活動を再開することになり、2020年はあっという間に過ぎていきました。

ハロー!プロジェクトの曲ではない曲を一人で歌い切るというスタイルが斬新で。今までは一つのパートに命をかける感覚で、そこで魅せないといけないという思いでやっていたけど、改めて丸ごと一曲となると結構いろいろなことが変わってくるなと感じました。毎回公演があるたびに反省点を見つけては改善するみたいな感じで、自分なりに頑張っていたのでちょっとは成長できたんじゃないかと思います。

YouTubeに関しては自分で上げたいコンテンツがある場合、編集まで自分でやってくださいという感じだったので、私は思いきってソフトを買って。頑張って練習しました。大変なことも多かったけど、そこでYouTubeって楽しいなと思うようになりましたね。編集まですることで「ここをカットしたほうがいいな」「こうしたほうがおもしろいな」など気付きもたくさんありました。あとはこれは自分で編集したのではないのですが、小田(さくら)と「えりってなんでも覚えてるよね」という話になって、前のツアーのセトリのダンスを覚えているかいきなり踊ってみる、というコンテンツをアップしたりもしました。ちょうどコンサートDVDが出るタイミングだったので、宣伝としてもおもしろいかなっていう話になって。

Instagramはずっとやりたかったので解禁された時はうれしかったです。でもInstagramを始めてからは同時にブログの更新も怠らず、毎日書くことを意識していましたね。義務感からではなく、この頃には自分の卒業も視野に入っていたので、自分のことを好きになってくれた人たちの思い出になったらいいな、という思いからそうしていた気がします。あとは個人的にルールを決めると頑張れるタイプなので、それも大きかったかも。Instagramは毎日更新するわけではないけど、頑張って投稿するとそれをメディアの方々がニュースにしてくれるので、つい頑張りすぎちゃうみたいな感じでした(笑)。せっかくなら話題にしてもらいたいので、この頃はトレンドを常にチェックしていました。

やはり一番はできるだけ外出しないようにしていました。コンビニなどにも極力行かないように気をつけていましたね。体調管理のためもあるけど、どこで誰が見ているか分からないですし、外にいて「遊んでた」と言われることもモーニング娘。としてよくないのではと思って。そしてコロナ禍で初めてインドア生活の楽しさを知ることになりました。それまでは超アウトドア派で、休日でも10時には身支度を完成させて家を出るのが普通、みたいな感じだったんですけど、この当時はNintendo Switchがあれば生きていけるみたいな感じになっていたと思います(笑)。あとはコロナ以前から実践していたことなのですが、マヌカハニーは好物なこともあり常備していて、ちょっとでも喉に異変を感じた時はより意識して摂取するようにしたりもしていました。

そうです!私のやりたいことをいつも叶えてくれた『生田衣梨奈のVSゴルフ』チームの方々には本当に感謝しかないです。毎回期待して応援していただけることがありがたくて、もっと頑張ろうって気合いが入ります。でも実際に服作りに関わって感じたのは物作りの難しさでした。プロデュースすることは好きだけど、自分の頭の中にあるイメージを分かりやすく言語化して、相手に分かるように伝えるというのは未体験の出来事で。さらにそれを商品化するところまで持っていくことが、自分にとって新しいチャレンジになりました。そうやって皆さんにサポートしていただきながら完成した最初のコレクションは、初日の売り上げがすごくよかったみたいで、頑張ってよかったなと心から思いましたね。ファンの皆さんが自分の作った洋服を着て、個別イベントに来てくれたりするのもすごくうれしくて。グッズなどを作る時はモーニング娘。のお仕事として考えるけど、「ELEYVS GOLF」に関しては完全に個別でのお仕事だったので、そこで何かを達成できたことも自信に繋がりました。

当たり前のことですが、サイン会では字だけでも伝わるようにより丁寧に書くことだったり、映像を通してでも「ちゃんとあなたに向けて届けてるよ!」と伝わるように頑張って伝えることを意識したりはしていました。名前だけだと同じ名前の方もいたりして伝わらない場合もあるから、できるだけその方の具体的なエピソードも合わせて発信したり。個別イベントは時間を使って会いに来てくれたり、応募するためにCDを購入して来てくださっているので、できるだけ同じモチベでお返しがしたくて。アクリル板ありの個別会は最初戸惑うことも多かったけど、とにかくギリギリのラインを狙って頑張っていました(笑)。会話がNGだったら自分が一方的に話すぶんにはセーフかなとか、チェキ会ではアクリル板があるからこそ手を合わせてハートのポーズを堂々とできるぞ! みたいな感じで。そうやって自分なりに工夫をしていたらそれが好評だったみたいで、よかったです。

「花鳥風月」はとにかく楽しかったです。自分が配属された月グループが好きすぎて。毎週みんなに会うのが楽しみで仕方なかったです。それぞれチームに特色があったと思うんですけど、月チームは平和に頑張ろう〜みたいな感じでした。でも自分含め先輩メンバーの竹内朱莉ちゃん、金澤朋子ちゃんがちょっと巻きたがるところがあって、「今日はどれだけ巻けるか」みたいなことをよくしていました(笑)。他グループと触れ合うことで新しい気付きもあって。特にJuice=Juiceの松永里愛ちゃんの印象がすごく変わりました。憧れの先輩が(佐藤)優樹ちゃんということは知っていたので、やんちゃな感じなのかなと思っていたんですけど(笑)。誰よりも早くリハ会場に入るし、リハが始まる頃には場位置から振り付けまでメモを持たずにしっかり入っていて、完璧なんですよ。そんなふうにすごくまじめにやっているのに、それがあまり知られてないことがすごくもったいないと思って、機会があったら伝えようって思いましたね。

本当に時間がなくて、その中で覚えなくてはいけないことがあるので大変でした。10年以上やっている私でも大変に感じたので、当時アンジュルムに入りたてだった為永幸音ちゃん、川名凜ちゃん、松本わかなちゃんの3人などは本当に大変だったと思います。川名凜ちゃんは同じ月チームだったので近くで見ていたんですけど、ダンス練習にも遅れることなくしっかりついてきていて感心しました。秋の「続・花鳥風月」から参加することになったつばきファクトリーの河西結心ちゃんもすごく頑張っていましたね。グループに関係なく頑張っている子の姿を見るとうれしい気持ちになるし、同時に支えてあげたいという気持ちが生まれてきます。フルメンバーがそろわないこともあったけれど、他グループの曲でパフォーマンスができたことも楽しかったです。モーニング娘。のメンバーでは(牧野)真莉愛とちぃ(森戸知沙希)が一緒だったんですけど、この時は3人ともラメメイクにハマっていて。みんなで同じグリッターを使って、目元がギラギラでした(笑)。空き時間に月チームのみんなでゲームしたのも楽しくてすごくいい思い出です。

後輩が多いので自然と聞き役になることが多いですね。自分のグループについての話は全体として話せるような内容は話すんですけど、あまり話さないです。それと私が個別のメンバーについて話すと先入観を与えることになってしまったり、自分の思いとは違った感じで別のグループに伝わってしまうこともあるかなと思うので、基本しないように気をつけていました。その代わり、めちゃくちゃ自分の話はします(笑)。ただ卒業発表のことは解禁まで誰にも言わなかったので、BEYOOOOONDSのさやりん(江口紗耶)とかほのぴ(小林萌花)には、発表当日「やめないって言ってたじゃないですか!」って怒られましたね(笑)。13期の横山(玲奈)とかもそうなんですけど、最近の後輩は私たちのいる時代のモーニング娘。が好きでハロプロに入ってきてくれていたりもするので、そのことは純粋にうれしいですし、でも改めて考えるとちょっと不思議な感じもします。

名前をあげられると「見られている!」と緊張しちゃうんですけど(笑)、好きでいてもらえることは純粋にうれしいしありがとうって思います。乙輝ちゃんは自分でバースデーイベントのチケットを取ってきてくれたりするんです。最後のバーイベもすごく楽しみにしてくれていて、可愛い。もしかしたら卒コンの日はバタバタで時間が取れないかもと思って、最後のハロコンの時に「一緒に写真撮ろうか」と声をかけて撮ったりもしました。

卒業が続き、グループが変化する中で感じたこと

帽子と手袋がクラシカルなチュールスカート姿のモーニング娘。’25生田衣梨奈さんが♡ポーズをしている様子

長年一緒に活動をしてきて多分、優樹ちゃんによく思われてないかもしれないな、と感じていた時もありました(笑)。でも周りの大人に「生田さんのいいところを教えてください!」と聞いたりして、私のことを好きになろうとしてくれている感じはすごく伝わってきていたんです(笑)。それで何か本人的にすごく腑に落ちたことがあったらしくて、そこから急激に距離感が近くなった気がします。でも切り替えのタイミングってそうやって急に訪れるものじゃないですか。2021年の秋にあった「~The Ballad~」では同じユニットだったんですけど、優樹ちゃんがそのユニットをすごく気に入っていて、体調の波がありながらも休まずに頑張って参加してくれて、それもすごく印象に残っています。「生田さんの優しさがわからない人はバカチンですよ!」発言についてはちょっとよく分からないんですけど(笑)。

イベントはめちゃくちゃ楽しかったです。東京ではDVDの撮影があったのでちゃんとしたことを言っていたんですけど、何も入っていない大阪では好きにやらせてもらったりも(笑)。参加したファンの皆さんもSNSでのネタバレなどを自粛してくださったり、そういう信頼関係あっての砕けたムードがうれしかったし、すごく楽しくて。9期イベントをまたやりたいなって思わせてくれる大きな出来事になりました。

「~The Ballad~」や「花鳥風月」の経験を経て、メンバー全員歌がうまくなったなと思いました。モーニング娘。の活動だけでは身につかないような技術だったり、魅せ方をそれぞれが身につけていて、その状態で再びチームとして集まれたことがうれしかったです。みんながすごくキラキラして見えました。

森戸が入ってすぐのツアーでの思い出が一番強烈ですね。過去一大変な内容だったんですよ。メドレーが9個あって、一気に50曲ぐらい覚えないといけなかったので。しかもツアーだけじゃなく、「ナルチカ」というセットリストが全然違う、別のライブもあったりしましたし。長年やっているメンバーでもすごく大変だったのに、新メンバーとして同じ内容をこなせたのは森戸だったからだと思うし、尊敬しかないです。ただ、結果として森戸がすごく頑張ってくれて成功したのはよかったですけど、どう考えても可哀想だったなとは思います。あと森戸との思い出とは少し違うんですけど、母親同士が仲よくなって、今でもごはんに行ったり、モーニング娘。のフェスのステージを一緒に見にきたりしているんですよ。親同士仲がよいことで、自然と知ることができる部分みたいなものもあって、本人にそれを言ったりすることはもちろんないんですけど、そんな不思議な感覚もありました。

櫻井は最初から全然物怖じすることなく、何を言われても「分かりました!」みたいな感じで。分からないことまで「はい!」みたいな感じだったから、「分かってないやーん!」と言いたくなることも多々ありました(笑)。最近はできないことでも「できます」と言ってやっていったほうがいい、みたいな風潮もあると思うんですけど、モーニング娘。の場合はできないところは「できない」とはっきり言ってくれたほうがいいので(笑)。でも櫻井自身アイドルが好きだからこそ、頑張って乗り越えてきてくれました。ただ最近は経験を重ねて分かってきたことが多いからこそ、逆に自信をなくしているような一面も見えて心配しています。そういう気持ちを救ってくれるのは内側からの何かではなく、ファンの皆さんからの声援しかないと思うので、櫻井の自信をもっと引き出すために、皆さんにはもっともっと応援を頑張ってもらえたらうれしいです。

グループをこれから引っ張っていく存在だったメンバーが卒業したことは、やはり大きい変化でした。でも加賀には明確にやりたいことがあったので、「そうか、決めたんだね」という気持ちでした。早いタイミングで卒業して次の夢を叶えているメンバーもいたし、自分の人生は他人が背負えないからこそ、自分が思った時に行動したほうがいいんだろうなと。だからこそ加賀が次のチャレンジをする決断は今なんだ、と理解しました。なので、この時は聖が先に卒業を決めていたのですが、加賀の意志もあって先に加賀が卒業することになりました。

細かい経緯を皆さんに伝えたりする機会ってないですし、誰の本心も本人以外は、それこそメンバー同士でも分からないと思うのですが、憶測と憶測で論争が生まれてしまって。だからこそ、そういう時期に自分からする発信はできるだけシンプルに、事実だけを伝えることを意識していましたね。

聖はずっと卒業するタイミングを待っている状態だったので、やっと言えたという気持ちだったと思います。そしてそのタイミングでは私の卒業も決まっていて、時期の調整をしていたんです。同時に(石田)亜佑美ちゃんが卒業を決めていることも知っていました。

「任せたい」と言われたからリーダーになった

モーニング娘。’25生田衣梨奈さんの横顔のアップ

この時は窪田七海ちゃんとすごく仲よくなりましたね。窪田は「生田さんと仲よくなりたいです!」って言葉でしっかり伝えてくれる子だったので、自分的にもすごくやりやすくて。ステージ上ではキュルルンッ♡ビーム!とセクシービーム対決をしたりしましたし(笑)、プライベートでは(山﨑)愛生ちゃんも交えて夢の国に遊びに行ったりもしました。キュルルンッ♡ビームについての相談も結構受けていて、もともと自分発信のものではないからどうやって使うのがいいか悩んでいたみたいで、そこで昔自分の持ちネタだった魔法の話をずっとしていました(笑)。でも考えたら愛生ちゃんのパンダさんパワーの時にもまったく一緒の話をしていて。やっぱり最初の設定をちゃんとしておかないと、何を伝えたいか分からなくなってしまうので、そこは徹底的に教えました。自分が今までバラエティで培ってきたものがここで役に立ちました(笑)。

OCHA NORMAが『Mr.Moonlight〜愛のビックバンド〜』をパフォーマンスすることになったんですけど、めちゃくちゃ怒られていて大変そうで。OCHA NORMA自体にもまだたくさん課題があったり、私たちと比べられることになってしまって。私自身比べられたりするのがすごくイヤなので、オチャのメンバーの気持ちを思うとつらくて。でもそういう状況だったからこそ、話しかける機会が自然と増えたし、結果仲よくなれたのでそれはよかったのかもしれないです。オチャのメンバーもきっとモーニング娘。ってこんな感じだったんだ、といい意味で近い存在に感じてもらえたのではないかなと勝手に思っています。対バン形式のライブじゃなかったら、こんなふうに仲よくなれなかった気がするのでいい機会でしたね。モーニング娘。は体育会系みたいなイメージが強いし、私も先輩という立場になって長いので、普段はなかなか若いハロプロのメンバーと仲よくなるような機会が少ないんですけど、オチャのメンバーとは結構連絡先を交換したりして。自分にとってそれって新鮮なことだったんですよね。

9期の加入発表があって、初めてモーニング娘。を生で見ることになった大事な場所だったので、本来であれば中野サンプラザで卒業発表をしたかったんですよ。でも間に合わないことがこのタイミングで分かっていたので、残念でしたね。憧れの先輩たちが多数パフォーマンスをしてきた場所でもありますし、歴史がある場所だからこその風合いじゃないですけど、そういう部分も含めて大好きでした。初めてモーニング娘。のパフォーマンスを目の前で見て、その時の『I’m Lucky girl』に感動したことが自分の活動の原点にあるからこそ、卒業ツアーにも入れさせてもらったんです。

久しぶりに声援を聞いた時は泣きそうになりました。やっぱりモーニング娘。のライブにファンの皆さんの声出しは必要不可欠だなと思うので。声をもらえるとパフォーマンスの力になるし、煽りがいもすごく感じられるし、幸せな気持ちになりましたね。

9月にハロプロのOGの皆さんも多数集結した「Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT」があり、さらに聖の卒業前日に行われた横浜アリーナでのコンサートにも、たくさんのモーニング娘。OGの皆さんが出演してくださいました。中でも安倍なつみさんのステージは今までなかなか見られる機会がなかったので、リハから見させていただいて。フリなどの細かい部分を含めてすべて覚えようと思って目に焼き付けました。そしてどうやったら安倍さんに今のモーニング娘。を見てもらえるか、気に入ってもらえるかということも一緒に考えていて。いろんな思いを抱えながら見学をさせていただいていたんですけど、一番前で見ていたのでそこから自然と「生田ちゃん、ここの振りってどうだっけ?」など自然な流れで会話できることになって感動しましたし、あの“なっち”が目の前にいることですごくモーニング娘。を感じました。

そして先輩方の『シャボン玉』も本当に感動しました。自分たちができていないという話ではなくて、TVで見てた人たちがやってる!という感覚だったり、卒業して先輩方一人一人が人生で積み上げたものがあっての強さだったり、そこで集合している感じもまたすごくて。いつか自分もこうなりたいと思いました。そして『晴れ 雨 のち スキ ♡』で安倍さんからの矢口(真里)さんへのパートが生で見られたのもめちゃくちゃうれしかったです。「あのパートがやばかったです!」と矢口さんに直接何回も言いました(笑)。

私は今のメンバーの中ではやはり先輩たちとの交流が一番あると思うんですけど、こういう部分を途切れさせたくないなと思うし、退所はするけれど後輩に繋いでいけたらいいなと思いますね。でも私は私のやり方で先輩たちと距離を縮めようとしているけど、やり方は一つではないので、後輩には自分らしいやり方を見つけてほしいという気持ちもあります。

会社の方とお話する機会があった時に、「次のリーダーをやりたいですか」と聞かれたことがあったんです。いろいろな考え方があると思うのですが、私個人の考えとしては、リーダーというのは会社でちゃんと話し合った上で、やってほしい人に託す、というのが正解だと思っていて。だからその考えを伝えた上で、「リーダーをやりたいとは言いません。でもやりたくないということでもなくて、話し合いの結果、生田をリーダーにすると決まったのであれば、会社から任されるということなのでやります」と答えました。それから後日、改めて「次のリーダーをお願いします」というお話をいただいたので、「任せたいと思ってもらえたのなら頑張ります」と返事しました。

でもいざリーダーをやるとなると、聖の抱えていたものもすぐ傍で見ていたので、不安も大きかったです。それまではサブリーダーで、リーダーがやりやすいように、リーダーが引き立って見えるようにサポートするのが仕事だったので、それは自分の性格的にもすごく合っていたと思うんですよ。やっていることもそれなりにあったけど、それを表立って言うのは私の思うサブリーダーとは違うと感じていたので。

本当に何もしてないわけじゃないんですよ(笑)!でも伝わる人には伝わるし、伝わらない人には伝わらない。いろいろあるのが人生なのかなって思います。

自分らしくいこうと思っていたんですけど、リーダーになって最初のツアーでは、直前に歌っていたのが『Be Alive』というのもあって、かしこまった挨拶をしようとしがちでした。慣れないことをする大変さを噛み締めましたが、そのためにさらに周りを見るようになった気がします。そしてメンバー個人について触れる時は、その子のファンがどう感じるか、という部分を重視して考えることが多かったですね。逆に今の卒業ツアーは、私もメンバーも挨拶の途中から普段のおしゃべりみたいになったりすることもあって、みんなでのびのび話せました。

モーニング娘。’25のInformation

モーニング娘。'25『気になるその気の歌』初回生産限定盤Aジャケ写

『気になるその気の歌/明るく良い子』

7月2日(水)発売となる、75枚目の両A面シングルにして、生田衣梨奈さんのラストシングル。初回生産限定盤SPに付属するBlu-ray Discには「COUNTDOWN JAPAN 24/25」(2024/12/30 幕張メッセ国際展示場)の映像と、話題になった「THE FIRST TAKE」の歌唱映像も収録。

Profile

●いくたえりな 1997年7月7日生まれ、福岡県出身。2011年に9期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2014年にサブリーダーに就任、2023年11月よりリーダーを務める。愛称はえりぽん、メンバーカラーは黄緑。特技はゴルフでベストスコアは85。確固たるアイドル観を持ち、情に厚く、ストイックな一面も。身体的能力も高く、バク転などアクロバットをパフォーマンスに生かすことも。ノンノ本誌にもたびたび登場し、バラエティ番組などでも活躍する多彩な才能の持ち主。

衣装すべて/スタイリスト私物

撮影/山越翔太郎 ヘア&メイク/𠮷﨑沙世子(io) スタイリスト/佐藤朱香 取材・原文/武内亜紗

モーニング娘。

モーニング娘。’25生田衣梨奈卒業記念連載

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