読書好き女子大生が今年出会えて良かった個人的マイベスト本を10冊紹介!
各出版社が出しているあらすじや購入リンクのあるページリンクも貼っています。
読みやすくて面白い本ばかりなので冬休み、テストが終われば春休みと休みが続くこの季節に読む本の参考にしていただけたら嬉しいです♡
人気作家、朝井リョウが現代に送る作家生活10周年を記念して書き下ろされた作品。
ミスコンを運営する大学生、不登校の子を持つ検事、ある秘密を抱える店員。三人の登場人物がの視点が描かれ、ある事件の背景が明らかになっていくのだが―。
読み進めるたび事件について感じたことが覆され、目を背けてきた現代の姿をひしひしと感じさせられる、今年一番の衝撃作。2023年には新垣結衣さん、稲垣吾郎さん出演で実写映画公開も決定しています。
正しさとは、多様性とは、「正しい」「欲」と書く「正欲」というタイトルの重みにうなされてください。
キャバ嬢、腐女子、ホスト⋯ユーモアな登場人物と死生観恋愛観
『ミーツ・ザ・ワールド』 著;金原ひとみ 出版;集英社
「私は男の人と付き合ったことがないんです」焼き肉を擬人化したBL漫画を愛する腐女子の由嘉里は、合コン帰りに酔いつぶれていたところを美人のキャバ嬢のライに助けられる。そんなライは「私死ぬの。だからお金あげるよ」と言ったり死にたがり。彼女をどうにか生きさせたい、救いたいと思う由嘉里だったが⋯。
刺さる言葉も多く、登場人物がキャラ濃くてユーモアがあるのに、内容や題材は死生観や恋愛と重めで読み応え抜群。
ノンノモデルの馬場ふみかさんもおすすめ。特に女子大生といった10代20代にぜひ読んでもらいたい一冊。
人との出会いと別れを描いた優しい気持ちになれる直木賞受賞作
コロナ禍、婚活アプリで出会った恋人がいる主人公。もうこの世にはいない双子の妹の彼氏との交流を通して人との出会いと喪失を描く「真夜中のアボカド」のほか、いじめられている女子中学生が幽霊となったお母さんとの親子の姿と側にいる人がいるということの強さを描いた「真珠星スピカ」、父の再婚相手と上手くやれず居場所のない少年が、ある人と出会ったことで前を向いていく「星の随に」のほか「銀紙色のアンタレス」「湿りの海」を収録した星座モチーフの短編集。
人と離れ離れになったコロナ禍だからこそ読みたい人との喪失、人間関係で起きる傷と癒しを描いた誰かとかかわれることの良さを感じられる一冊。
人と自然との関係を“香り”の視点から壮大に描くファンタジー長編
飢餓の世に奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという神<香君>の元で発展してきたウマール帝国。しかし、稲に虫害が発生。帝国は再び危機に瀕してしまう。そんなある日、一人の特殊な嗅覚を持つ少女が都にやってきて⋯。
運命を託された少女は香りで未来をどう開いていくのか。『獣の奏者』『精霊の守り人』などで知られる上橋菜穂子さんが送る待望のファンタジー長編。
言葉一つ一つ好きになって心地よい時間を過ごせる詩集
『さっきまでは薔薇だったぼく』 著;最果タヒ 出版;小学館
今人気の詩人、最果タヒさんの最新詩集。「冬の薔薇」「指」「惑星」「生理詩」「猫戦争」「才能」「飛ぶ教室」「ぼくたちの屍」「無人駅」「春の薔薇」など全43篇を楽しむことが出来ます。
中でも私がお気に入りは、「合わせ鏡の詩」。あとがきの言葉までも必読!
織り成す言葉一つ一つ大事に胸にとどめておきたくなるような一冊。
食×職場。可愛い表紙とのギャップと登場人物の人間味がたまらなく最高
『おいしいごはんが食べられますように』 著;高瀬隼子 出版;講談社
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
同じ職場で過ごす、何でも器用にこなすサラリーマン二谷と、二谷の彼女で、料理作りが得意で守ってあげたくなるような存在の芦川、まっすぐで頑張り屋な押尾の三人。食を描いたほっこりあたたかい物語かと思えば、ある日、芦川の机の上に捨てられた彼女の手作りスイーツがきれいに置かれていたのが発見される。二谷の美味しくなさそう芦川の手作りお菓子を食べる描写も必見。
三人それぞれの食の描写からわかる人間味がたまらない芥川賞作品!
ずっと頭から離れない奇妙な世界観を沢山味わえる短編集
大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店で働き始めた主人公はメモを読むことで接客を順調にこなせるようになる。しかし新たな女が働き始めてしまい⋯(「とんこつQ&A」)の表題作のほか、「嘘の道」「良夫婦」「冷たい大根の煮物」の4篇を収録した短編集。
日常的な題材の物語なのに、可笑しさと不気味さが漂い、癖になる話ばかり!
今村さんの作品はどれも独特の世界観があり癖になるので、この作品が好きな方は長編の芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』(朝日文庫)や『こちらあみ子』(ちくま文庫)なども読んでほしいです。
悲しいけれど愛おしい新たな人間関係を描いた納得の本屋大賞受賞作
お父さんもお母さんもいなくなって家に帰りたくなかった更紗を誘拐してくれた文。恋人でもない、家族でもない、外から見たらわかってくれないような繋がりだけれども、彼だけが一緒にいたい存在だった。
15年の時を経て再開した二人の運命は―。新しい人間関係の形を描いた悲しくて切なくて、だけれどもとても愛おしい物語。
「報われてほしい!」「なんでみんなわかってくれないの!」と何度心の中で叫んだことか。
テレビの前で見ていても音が聞こえなくなるほど没頭してしまう本屋大賞受賞作
生きづらい、優しすぎるあなたに寄り添ってくれる本とぬいぐるみ
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 著;大前粟生 出版;河出書房新社
大学2年生の七森はぬいぐるみに話しかけるサークル通称「ぬいサー」に所属している。
ぬいぐるみに話しかけることで、誰も傷つけない世界で暮らしている彼達。
そして過去に傷を抱えている七森は、恋愛が分からずも、みんなのように彼女が欲しいと思いサークルの先輩と付き合うようになる。
しかし好きが恋愛としての好きなのか自信を持てず別れてしまう。
優しすぎる彼らが導き出し、歩み始めた道とは―。個人的に共感が多くて電車の中で救われた大切な一冊。
思わず一気読み。運命で導かれる二人の四半世紀を描く物語
『光のとこにいてね』 著;一穂ミチ 出版;文藝春秋
ある日、住む場所も、家庭も、学校も、何もかも環境が違った同い年の女の子二人が団地で出会う。
一目ぼれに近い出会いをしてからお互いが運命に導かれるようにして、別れを繰り返しながらも高校生、社会人と再びめぐり逢う奇跡のような二人の物語。
「光のとこにいてね」の祈り、願いに近い一言がタイトルに身が沁みます。
長編だけれど一気読みしてしまう読みやすさと面白さ。きっとこの本を読んで誰かをふと思い出すはず。