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フィギュアスケート
2026.06.23
5月30日、31日と千葉・幕張イベントホールにて開催された『Fantasy on Ice 2026』。オリンピックで活躍した選手をはじめ、国内外のトップスケーターが氷上で華やかなパフォーマンスを披露した。
non-noでは、30日昼公演の模様をフォトギャラリーと共にお届け。
安田章大さん、家入レオさんがゲストアーティストとして登場し、さらに青木祐奈選手&友野一希選手による「ラ・ラ・ランド」など、豪華なコラボレーションも実現した【第2部】のプログラムをご紹介。
休憩時間を挟み、第2部はFaOI Special Bandによる生演奏で幕開け。エレガントな音色にのせて氷上の物語が動き出す、音楽とスケートが響き合う『Fantasy on Ice』ならではのオープニングに。
チャ・ジュンファン/佐藤駿/中田璃士/田中刑事 「NOROSHI」with 安田章大

第2部のゲストアーティスト一人目は、安田章大さん。真っ赤な衣装に身を包み、スケーターたちとハイタッチを交わし披露したのは、SUPER EIGHTの「NOROSHI」。

氷上にはチャ・ジュンファン選手、佐藤駿選手、中田璃士選手、田中刑事さんという、世代も立場もさまざまなスケーターが集結。力強いビートにのせて、それぞれの個性が際立つエネルギッシュなナンバーを届けた。


衣装は、黒を基調に、ネオンカラーのグラフィック柄を効かせたデザイン。シアー素材や光沢のある切り替えが、力強いナンバーにモードなきらめきを添えた。

田中刑事さんが「本当にきつい」と語ったというこのナンバー。跳んだり、弾んだり、全身でビートを刻み続けるような振付で、冒頭から氷上に圧倒的な熱量が立ち上がる。“全身全霊”の歌詞通り、安田さんの力強いボーカルとスケーターたちのエネルギーがぶつかり合い、音楽と滑りがひとつになって会場を大きく揺らした。


なかでも、客席へ指をさしながらロックなムードをまとって滑る佐藤選手の姿は、普段とはまた違う魅力をのぞかせ、鮮烈な存在感を放った。


熱気さめやらぬ中、続いて披露されたのはSUPER EIGHTの代表曲「ズッコケ男道」。大阪出身の織田信成さんが、誰もが思わず体を揺らしたくなるあのメロディにのせて、会場を一気に笑顔で包み込んだ。

ヒョウ柄シャツをまとい、軽快なステップでリンクを駆け抜ける織田さん。ムービングステージでリンク中央へと移動した安田章大さんと掛け合うように滑り、歌とスケートの息もぴったり。手拍子の中、会場全方位とコミュニケーションを取り、リンク全体を明るく盛り上げていく。

途中には、中井亜美選手のエキシビションの振付や、トレードマークとなった首をかしげるキュートなポーズも取り入れるコミカルな一幕もあり(ご本人の承諾済み)、織田さんならではのエンターテイナーぶりが炸裂。
フルコーラスでジャンプまで入れ込む運動量たっぷりのナンバーを滑り切り、フィニッシュ後にはステージに倒れ込むパフォーマンスも。最後の最後まで全力で楽しませる、織田さんならではのショーマンシップが光るパフォーマンスとなった。


「ファンタジー・オン・アイス」初登場。
結成2年目を迎えた“いくこう”カップルは、第1部の「Faith」とは全く異なる雰囲気の「Freya」で、表現の幅を存分に披露。
先ほどまでの明るくにぎやかな空気をガラリと変えてみせ、モダンでコンテンポラリーな世界へと観客を誘った。 二人の織り成すケミストリーに酔いしれる濃密な時間に、演技後には大きな拍手と歓声が送られた。

開催前から話題を集めていた、青木祐奈選手&友野一希選手による「ラ・ラ・ランド メドレー」。両選手のコラボレーションは昨年のクラシックなEDMナンバーに続き2度目。
互いにリスペクトし合う二人が今回届けるのは、それぞれの代表作として多くのファンに愛されてきた「ラ・ラ・ランド」を掛け合わせたスペシャルメドレー。「ファンタジー・オン・アイスでならできるのでは?」という両者の思いが実現した、まさにここでしか見られない特別なプログラム。振付監修は鈴木明子さんが手掛けた。

静けさの中、スポットライトに照らされて青木選手が氷上に現れる。そしてステージには、主人公のセブさながらに物憂げな表情でピアノに向かう友野選手の姿。アナウンスなしで静かに物語が動き出す、まるで映画のワンシーンのようなドラマティックな幕開けだ。

滑りで観る人の心を躍らせる名手である二人。
前半は、映画のストーリーのごとく、最初は別々だったそれぞれの人生が交差していく過程を細やかに表現。後半では、それぞれの名プログラムから象徴的なパートを取り入れた振付で、このコラボレーションを心待ちにしていたファンを歓喜の渦へと誘った。

青木選手のプログラムをもとにしたパートでは、二人のエレガントなステップが夢へと踏み出すような心弾む高揚感を描き出す。
そして友野選手のパートでは、胸が高鳴るような躍動感で観客をぐいぐいと引き込み、その勢いのままエンディングへ。代名詞ともいえる爆発的なコレオシークエンスも、二人で滑ることでさらに力を増し、会場中を巻き込む大団円となった。


上から見ると、ふたりの描く放物線がリンクを少しずつ物語の色に染めていくようで、その軌跡までもが作品の一部のように映った。
氷上に映画の世界が立ち上がり、この幸福な時間がずっと続いてほしいと願わずにはいられない、甘くほろ苦い余韻を残した。
第1部では、ソン・シギョンさんの歌声にのせて甘く美しいコラボレーションを届けたチャ・ジュンファン選手。
第2部で披露したのは、より深く曲の世界に身を沈めていくような「Mr/Mme」。振付を手掛けたのはギヨーム・シゼロン選手で、シングルとアイスダンス、それぞれのトップスケーターの研ぎ澄まされた感性が響き合う、一編の芸術作品のようなナンバーだ。

「Mr/Mme」は、歌声とピアノを軸にしたミニマルな楽曲で、装飾をそぎ落とした音の中に感情の起伏や揺らぎが繊細に浮かび上がる。そこに指先まで意志の通ったスケーティングが重なることで、氷上に純度の高い芸術が結晶していく。
手で顔を覆うような仕草をはじめ、一つひとつのムーブメントには、切実で率直な感情が宿る。それでいて、氷上を滑る身体はどこまでも自由でしなやかで、透き通るような美しさに、気づけば心を掴まれていく。

後半に向かうにつれて、ハイトーンの歌声が突き抜け、音楽が劇的に跳躍していく。それに呼応するように、表現も一気に広がりを増し、身体を大きく使いながら、内側からあふれる衝動をのせていく。そして「Merci」の歌詞と共に、それまでの重力から解放されたかのように天を仰ぎ、慈しみを宿した滑りから美しいイナバウアーへと繋がっていく。
演技後には、張り詰めた世界からふっと戻ってきたかのように、はじける笑顔を見せたジュンファン。その余韻は、客席にいつまでも冷めない胸の高鳴りを残していった。

「Fantasy on Ice」を彩る3人目のアーティストとして登場したのは、シンガーソングライターの家入レオさん。2024年公演でも、感情豊かな歌声で楽曲の世界観を会場いっぱいに広げ、スケートの新たな表現の可能性を引き出す存在感を放った家入さん。2度目の出演となる今回は、中井亜美選手とのコラボレーションで「僕たちの未来」を披露した。

アーティストとのコラボレーションはこれが初めてという中井選手。キラキラと輝く照明の下、等身大の笑顔で軽やかに舞う姿に、これから先へと続く明るい未来が重なるパフォーマンスとなった。

シングルスケーターとアイスダンサーという異なるフィールドで表現を磨いてきた二人が、鏡のように互いの存在を映し合う、美しくも異色のコラボレーション。

一方がムービングステージに腰かけ、相手を見つめるように佇む姿は、鏡に映るもうひとりの自分と静かに対話しているかのよう。二面性を映し出すような演出の中で、ふたりの表現が繊細に呼応し、「Mirror」の世界観を氷上に浮かび上がらせた。

毎シーズン、アーティストとしての高みを更新し続ける宮原知子さん。第1部ではフラメンコダンサーたちとの共演で新境地を開いたが、第2部で披露したのは、NHK『映像の世紀』のテーマ曲としても知られる「パリは燃えているか」。
振付は、スケーターとしても表現者としても共鳴し合うステファン・ランビエル氏が手掛けた。

演技冒頭は、音楽の色や形、その奥行きまでも氷上に描き出す圧倒的な表現力で、世界が一瞬にしてモノクロームに包まれたかのよう。観る者はその神秘的な世界に引き込まれ、気づけば一挙手一投足に心を奪われていく。
“森羅万象の美しさ”をテーマに作られたというこのプログラム。祈りにも似た静けさと、内側から立ち上がる強さが交錯する演技は、表現者・宮原知子の凄みを、観る者の胸に深く刻む時間となった。

「ファンタジー・オン・アイス」に欠かせない存在、ステファン・ランビエルが披露したのは、「A Wanderer In The Sleeping City」。コロナ禍によって人々の姿が消えた“眠れる都市”を思わせる楽曲で、失われた日常へのまなざしと、それでも前へ進もうとする静かな願いが込められた一曲。

ピンクのシャツを翻しながら滑り出すランビエルの姿に浮かぶのは、静まり返った夜の街をひとり歩くような情景。どこかノスタルジックな空気をまといながら、漂うように氷上をゆく姿やスピン一つひとつに、彼ならではの洗練された美意識が宿る。

失われた日常への郷愁と、静まり返った街をさまよう孤独。それでも楽曲の奥には、いつか世界がふたたび動き出すことを願うような希望が灯る。
宮原知子さんの「パリは燃えているか」に込められているという“混沌とした世界の中でも、人は前進して生きていく”というメッセージとも、どこかつながるものを感じさせる時間だった。

再びステージに登場した安田章大さんが歌うのは、エッジの効いたサウンドと熱いメッセージが胸を打つ「象」。披露するスケーターは、ソロにグループナンバーにと引っ張りだこの田中刑事さん。


ワイルドな魅力を全開に、氷上を力強く駆け回る田中さん。スピード感あふれる動きの中でも音を的確にとらえ、安田さんのパワフルな歌声と呼応するように熱量を高めていく。途中には、安田さんが「刑事ー!」と叫ぶ場面もあり、会場のボルテージはさらに上昇。運動量の多いナンバーでありながら、後半へ向かうほど滑りはさらに力強さを増し、その中に艶やかな魅力ものぞかせた。

ラストは田中さんがステージに上がり、安田さんと共にフィニッシュ。手を握り合い、拳を大きく突き上げる姿に、音楽とスケートが真正面からぶつかり合うような熱い余韻が残った。

坂本花織さんが披露したのは、SUPER EIGHTの代表曲「凛」。東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせてリリースされ、応援ソングとして愛されてきた一曲だ。
今回は安田章大さんと家入レオさんによるダブルボーカルというスペシャルバージョン。SUPER EIGHTの楽曲でスケーターが滑るのは今回が初めてで、安田さんは同じ神戸出身の坂本さんとの共演に特別な思いを寄せていたという。
また、家入さんと坂本さんとのコラボレーションは2年ぶり2回目。前回の「Shine」で見せたフレッシュな輝きとはまた違う、しなやかな強さを宿した表現で、新たなステージへと歩み出す姿を見せた。

内に秘めた強さや覚悟を感じさせるメロディと、力強くもしなやかなスケーティングが重なり、まさにタイトルの通り“凛”とした美しさに。安田さんの芯のある歌声と、家入さんの伸びやかなボーカルが響き合い、坂本さんの新たな一歩を鮮やかに照らし出した。

大トリを飾るのは、アイスダンスカップルのロランス・フルニエ・ボードリー&ギヨーム・シゼロン。
「ファンタジー・オン・アイス」は、1年前二人がカップルとして初めて出演したアイスショー。そんな思い出深い場所に、ミラノオリンピック金メダル、世界選手権金メダルという輝かしい結果を携えて帰ってきた。
披露したのは、結成1年目にして破竹の勢いで駆け抜けた先シーズンのリズムダンス「Vogue」。
今回はアイスショー仕様に、360度どこからでも楽しめるようアレンジが加えられた特別バージョン。日本にいながら世界最高峰の技術と二人の織り成す世界観を目の当たりにできる、スペシャルな時間となった。
フィナーレには、バンドT風のグラフィックタンクにチェック柄を効かせた、ロックなムード満点の衣装に身を包んだ全スケーターが登場。
安田章大さんと家入レオさんが歌う「LIFE~目の前の向こうへ~」にのせて、それぞれが晴れやかに氷上を舞った。
今年の「ファンタジー・オン・アイス」は、アーティストによる生歌唱や生バンドとのコラボというショー本来の魅力を改めて打ち出す原点回帰の構成に。そこにファンが待ち望んだスケーター同士の夢の共演、さらには予想を超える組み合わせが加わり、一つひとつの楽曲の物語が氷上で鮮やかに花開いていった3時間。
長く愛される「ファンタジー・オン・アイス」ならではの魅力を再度実感する公演となった。
『ファンタジー・オン・アイス2026』セットリスト
【第1部】
オープニング①
オープニング②「Kaleidoscope」with ソン・シギョン
櫛田育良&島田高志郎 「Faith」
織田信成「The Gospel」
中井亜美「La Strada」2025-2026SP
田中刑事「THE LONELIEST」
宮原知子&SIROCO「Homenaje a Poeta~詩人への賛辞~」
友野一希「Surf Rider」
中田璃士「Give Me Love」
チャ・ジュンファン「Every Moment of You」with ソン・シギョン
宮原知子&ステファン・ランビエル「糸」with ソン・シギョン
青木祐奈「The South London Lover Boy」
佐藤駿「火の鳥」2025-2026FS
ロランス・フルニエ・ボードリー&ギヨーム・シゼロン「She」with ソン・シギョン
坂本花織「Feeling Good」
【第2部】
チャ・ジュンファン/佐藤駿/中田璃士/田中刑事 「NOROSHI」with 安田章大
織田信成 「ズッコケ男道」with 安田章大
櫛田育良&島田高志郎 「Freya」
青木祐奈&友野一希 「ラ・ラ・ランド メドレー」
チャ・ジュンファン 「Mr/Mme」
中井亜美 「僕たちの未来」with 家入レオ
青木祐奈&ロランス・フルニエ・ボードリー 「Mirror」with 家入レオ
宮原知子 「パリは燃えているか」
ステファン・ランビエル 「A Wanderer In The Sleeping City」
田中刑事 「象」with 安田章大
坂本花織 「凛」with 安田章大&家入レオ
ロランス・フルニエ・ボードリー&ギヨーム・シゼロン 「Vogue」2025-2026 RD
フィナーレ「LIFE~目の前の向こうへ~」with 安田章大&家入レオ
グランドフィナーレ
『ファンタジー・オン・アイス2026』公演概要
太陽生命 Presents Fantasy on Ice 2026 in MAKUHARI

Men:ステファン・ランビエル、織田信成、田中刑事、佐藤駿、友野一希、チャ・ジュンファン、中田璃士
Women:宮原知子、坂本花織、中井亜美、青木祐奈
Ice Dance:ロランス・フルニエ・ボードリー/ギヨーム・シゼロン、櫛田育良/島田高志郎
■アーティスト:安田章大(第2部出演)、ソン・シギョン(第1部出演)、家入レオ(第2部出演)
■Fantasy on Ice Special Band : 鳥山雄司(Gt.)、NAOTO(Vn.)、安部潤(Key.)
■Satoko MIYAHARA Flamenco Collaboration
SIROCO(バイレ)、El Nino Cagao(カンテ)、高橋綾(カンテ)、徳永健太郎(ギター)、森川拓哉(バイオリン&ピアノ)、平山織絵(チェロ)、高木亮太(パーカッション)
■演出:金谷かほり
■振付:宮本賢二、鈴木明子
「ファンタジー・オン・アイス2026」放送予定
■5月30日(土)昼公演
放送予定:6月20日(土)よる7:00~
■5月31日(日)昼公演
放送予定:7月4日(土)19:00〜
Staff Credit
photo&text/轟木愛美 ⒸFantasy on Ice 2026

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轟木 愛美
non-no web Director
可愛いものに目がないISTP。旅先では、その土地で長く愛されてきた純喫茶や心ときめく手土産を探すのが楽しみ。史跡、ミックスジュース、『名探偵コナン』、『こち亀』など、幼少期に好きだったものが今も心の拠り所。愛用カメラはRICOH GR IIIx、Kodak FZ45、Nikon D。

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