アーモンド形の神経細胞の塊「アーモンド」が人より小さく、怒りや恐怖といった感情を理解できない男の子・ユンジェの話。
彼を守っていた母と祖母が、痛ましい事件で亡くなるところから物語は始まります。その後ユンジェは、感情は分からないものの、他者から与えられた愛や優しさに誠意をもって向き合うことで成長していきます。
ユンジェの言葉はいつだって素直でストレート。特に、「遠ければ遠いでできることはないと言って背を向け、近ければ近いで恐怖と不安があまりにも大きいと言って誰も立ち上がらなかった。」という彼の言葉は胸を刺さるものがありました。
自分が見えないところで起きた事件などの情報を日常的に多く目にする私たちは、知らず知らずのうちに「共感力」が衰えてしまっているかもしれません。もし、なんとなく自分も?と思った方がいたら、ぜひ「アーモンド」を手に取って欲しいです。私は、自分の手が届かない事象にも想像力を働かせる大切さに気付かされました。