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2021.04.23
飲食店プロデューサー、または自称変態料理人である著者がド定番のおいしいものをテーマにそのおいしさや個人的見解による正しい味わい方を次々と熱く語る偏愛エッセイ。これを読めば食事は最高のエンターテインメントになる!
世の中においしいものについて書かれたエッセイは無限にあるが、その中でもこの人の文章はちょっと特別だ。いや、はっきり言って食の変態。としか言いようのないおいしさへの執念を炸裂させている。
変態といってもゲテモノを食べるわけではなく、高級な食材や有名なお店の話をするわけでもない。月見うどんの黄身がどれだけ魅力的かを饒舌に語り、宅配ピザはハーフ&ハーフを食うなストイックに行けと吠え、新幹線の車内では幕の内弁当の食べ順を司る軍師となって迅速にライスマネジメントを行う。ユーモアに満ちた楽しい文章に思わず笑ってしまうのだけど、ふと、これって食べものの本ではなくて感受性の本なのでは? と思う。
当たり前にあるものを前に、どれだけ何かを感じ、味わうことができるのか。それって人生の豊かさにもつながるのではないだろうか。きっとこの本を読んだらもう、スマホ片手に何かを適当に食べるなんてこと、もったいなくてできなくなるはず。
食に取りつかれたオタクたちの2冊
菓子パンについての本なのだが、全体を通してもはや「好き」を超えたマニアックな対談はパン好きなら必読。「何の話をしてるのかさっぱり分からん!」と突っ込ませてくれること間違いなし。
パフェガイドではなく《パフェ学》なのはもちろんあえてのこと。おいしそうな数々の写真の横でアツく展開される「知らんがな」感満載のオリジナルパフェ哲学が常軌を逸していて最高な1冊。
●はなだ ななこ
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。