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デベロッパー志望の女子大生がスナックを事業承継するまで。【普通の就活以外の仕事の見つけ方】

2025.02.16更新日:2025.02.20

不安も憧れも両方抱えて、自分らしい一歩を踏み出した先輩たちの話 普通の就活以外の仕事の見つけ方

将来を考えた時、何を優先するのが自分らしいのか分からなくなることもきっとあるはず。最終的に「普通の就活」からではなく、今の道に進んだ先輩4人に、夢を叶えるまでに考えていたことを聞きました!

デベロッパー志望がスナックを事業承継

株式会社水中代表取締役
坂根千里さん

中学生の頃、東日本大震災の復興支援をする大人たちを見て"まちづくり"や"都市開発"の仕事を知った坂根さん。デベロッパーに入社するべく就活をしていたが、当時アルバイトをしていた地元・東京都国立市の「すなっく・せつこ」を事業承継し、今は「スナック水中」を経営。大きな方向転換に見える選択にあったのは一本の軸でした。

株式会社水中代表取締役 坂根千里さん

坂根千里さんの経歴

19歳

地域活性化プログラムに参加。ゲストハウスサークル立ち上げ

20歳

ゲストハウスをオープン。「すなっく・せつこ」に出合いアルバイト開始

21歳

1年休学。カンボジアのホテルで経験を積む

22歳

「すなっく・せつこ」のママから、事業承継の打診を受ける

24歳

株式会社水中の代表取締役に就任。「スナック水中」をオープン

浪人してまで入学したことが間違いでないと証明したかった

 坂根さんは、都市開発を学びたいという思いを抱え、一浪して一橋大学・社会学部に入学。

 「浪人中の1年は勉強づけだったので、大学では知識だけでなく、まちづくりのための経験が積めると勝手に期待していました。しかし実際には座学が多く、入学から半年後にはすでに授業が退屈に。浪人までして選んだ道は間違っていなかったと証明したくて、夏休みに入ると地域活性化プログラムで、奄美大島と島根県雲南市に約2週間ずつ滞在しました。そこで、世界一周を経て奄美に移住した女性ITエンジニアの自由な働き方や、起業を目指す行動力ある同級生に出会って。私も『自分から動かなきゃ何も始まらない』と、ゲストハウスサークルの立ち上げを決意! 夏休み明けにはネットで“地元名 まちづくり”などと検索し、そこで見つけた方々に話を伺うため、次々にメールでアポイントを取りました。そのなかで特に私に関心を持ってくださった方が協力してくれることに。ただその時点ではサークルのメンバーの当てすらなし(笑)。構内のビラ配りで6名の部員を集めるところから始まり、大学のOB・OG会に参加したり、SNSで関心を持ってもらえそうな方にDMを送ったり。体当たりのクラウドファンディングで資金を募るなど、試行錯誤しながらゲストハウスのオープン日を迎えました」

自由な働き方を選択する女性に出会った奄美大島

自由な働き方を選択する女性に出会った奄美大島

ゲストハウスの内装はサークルメンバーでDIY

ゲストハウスの内装はサークルメンバーでDIY

「すなっく・せつこ」は、走り続けた私の休憩場所

 経営している「スナック水中」の前身「すなっく・せつこ」に出合ったのは、大学2年の冬。見慣れた街にこんな素敵な空間があったのかと衝撃を受けた。

 「なんとかゲストハウスをオープンした頃、『すなっく・せつこ』で打ち上げをしたんです。私にとっては初スナック! 最初は緊張しましたが、お店にいる人はみんな笑顔で開放的で。次第にそんな世界観に引き込まれました。ママも大学生の私が新鮮だったのか、その日のうちに『ニコニコして楽しそうだから、この仕事に向いているよ』と冗談半分でアルバイトに誘ってくれたんです(笑)。突然言われたのでびっくりしましたが、こんな楽しい気持ちにさせてくれた世界をもっと知りたいと思い、直感で受けることを決めました」

株式会社水中代表取締役 坂根千里さん2
コミュニティ作りのきっかけにするため、坂根さんとお客さんセレクトの書籍があちこちに。

コミュニティ作りのきっかけにするため、坂根さんとお客さんセレクトの書籍があちこちに。

不安は冷静に分析し解消させ、替えがきかない直感のワクワクを優先

 大学3年に進級する頃、1年休学しカンボジアに留学。現地のホテルで接客や経営管理を経験した。

 「帰国後、本格的に就活が始まる時にママからスナックの事業承継を打診されました。私の直感は『やってみたい』。でもそれと同時に、スナック経営で食べていけるのか、親は納得するのか、入学時に思い描いていた都市開発の仕事は諦めるのかなど次々に不安が襲ってきたんです。それでもこの道を選んだのはシンプルだけど自分の胸の高鳴りを優先させたかったから不安をノートに書き出し、それを解消させるために3年分の事業シミュレーションや、利益率を計算したエクセルシートを作成。その資料を使って親を説得しました。都市開発の夢も、みんなが笑顔になれるスナックというコミュニティを自分らしく進化させれば叶えられると判断。すると、不安は方法しだいで解消できるけれど、ワクワクする気持ちは代替できないと気づき承継を決めました。就活を辞めてからは、1年かけて承継後の『スナック水中』のコンセプトを熟考。オープンに向けて準備を進めました。今はスナックに対しての偏見を解消し、自分のように不器用に生きる女性にとっても憩いの場になるようにしたいという思いで奮闘中です。今後の目標は、私らしいスナックを百店舗運営すること。最初は一店舗からの挑戦でも、このゴールを見失わなければ、自分しだいでコミュニティ作りの可能性を広げられる気がします!」

当時考えたスナック水中のコンセプトを店先に

当時考えたスナック水中のコンセプトを店先に

2025年3月号掲載

Staff Credit

撮影/上村透生 取材・原文/宮田彩加 web構成/轟木愛美 web編成/ビーワークス

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