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No.003 まきのブログ

No.003 まき

No.003 まき

大学3年生/東京都出身

身長:154cm
推し:読書、JO1

楽しいもの、可愛いもの、面白いもの。
エンタメ中心に、大学生目線で情報をお届けしていきます!

朗読してもらいたい文章に、素朴でリアルな胸キュン。『少女は卒業しない』の魅力

こんにちは!
non-no大学生エディターズNo.003のまきです。

今回は、先日映画も公開された朝井リョウ先生の『少女は卒業しない』の魅力をご紹介します!
私は朝井リョウ先生の作品で初めて読んだのがこの本で、先生の作品の中で特に好きな小説の一つです…!
伝えたい素敵なところがたくさんあるので、ネタバレなしで紹介させていただきます!

大まかなあらすじ

この本は7つの短編小説から成り立っています。
どのお話も、舞台はある高校の卒業式。
その高校は卒業式の翌日に廃校することが決定していて、
いろいろな意味で生徒にとってその学校で過ごすのは「最後の日」。
そんな「最後の日」を迎える卒業生の男女、7つのお話です。

今回は、その中でもお気に入りの2つのお話を紹介します。

今まで読んだ本の中で、一番きれいだと思う物語・「エンドロールが始まる」

1話目は、図書館の管理をする先生と、その先生が好きな女の子。

いきなりですが、私はこの物語が一番好きです!!
お伝えしたい魅力はたくさんあるのですが、厳選しました。
それは、「この物語の朗読劇があったら絶対行きたいなあ」と思うほど、文章がきれいなこと。
自分で心の中で話しながら読むと、何回でも繰り返したくなるほど、文章ひとつひとつが好きです。
この冒頭の文章で絶対に心をつかまれてしまうはず。

「伸ばした小指のつめはきっと、春のさきっぽにもうすぐ届く。」

なんでこんな文章が思いつくんだろう、と引き込まれていったのを覚えています。
何回も読むと、なんだか心の中がきれいになっていく感じがしませんか?
また、一番好きなのはこの場面。

「今日が卒業式だなんて、やっぱりそんなのうそみたいだ。
 カバンの底で、文庫本が動いた。」

卒業式の朝、式が始まる前に、女の子は先生に借りていた本を返さなくてはなりません。
そのため、朝早く先生と学校の近くで待ち合わせをして、二人で学校に向かいます。
これはその道中の場面の文章で、
今日が卒業式だと思いたくない主人公。だけど、「卒業式の今日」返さなくてはいけない文庫本の存在がしっかりカバンの中から伝わってくるので、嫌でも卒業式当日であるということを実感させられた。
のではないかなと個人的に思いました。
こんな感じでちょっと立ち止まって読むと、物語全体にせつない気持ちがちりばめられている気がするんです。
だから、文章全体が静かな雰囲気で、
と同時に「早朝」で「高校への道のり」という朝の外の冷えた空気も伝わってきて…
先生と主人公が二人歩く映像が、頭の中に自然と出てきてしまいます。
「エンドロールが始まる」というタイトルがどのような意味なのか、ぜひ最後まで読んでみてください。

リアルなキュンが詰まった、かわいい恋物語・「四拍子をもう一度」

私の中で、先ほどの「エンドロールが始まる」は静かできれいな物語、という印象。
こちらの「四拍子をもう一度」はコメディタッチに始まります。
主人公は軽音楽部の元部長。式は終わりこれから軽音楽部の卒業ライブが始まるのですが、事件発生。
トリをつとめるビジュアル系バンド・「ヘブンズドア」のメイクや衣装がなくなってしまったのです。
「ヘブンズドア」は、奇抜で派手な衣装とメイクでつくられるライブがウケて人気のバンド。
バンドメンバーや主人公は、学生服の今のままではステージに立てないと大慌て。
バンドのリーダー・森崎(バンドの中の名前は「刹那四世」)はなぜか落ち着いていて、
主人公との間では

「ちょっと森崎!何してんのよ!衣装とメイク道具なくなってんのよ?」
「神田杏子、俺のことは刹那四世と呼べ。もうライブ、いや神の集会が目の前に迫っ」
「だからその刹那四世になるための道具が全部なくなってんだって!!」

と、笑ってしまう会話がずっと繰り広げられます。

森崎のボケっぷりが面白いのはもちろんですが、それだけではありません!
お前らなんかバンドじゃない、と他のバンドの同級生に言われてしまったとき。
何で何も言い返さなかったの、と怒る主人公に、森崎は練習室の鍵の管理を自分にやらせてほしいと頼みます。
そして、森崎は誰よりも遅くまで練習室に残って練習するようになるのでした。

そんな森崎の大切な秘密、そして衣装たちを隠した犯人が明らかになる時…
私の初めの感想は、「何このかわいい物語!」です。そして森崎が大好きになりました…笑
出てくる男の子たちの中で、森崎が一番好きかもしれません。

最後、森崎がステージで歌いだすとき。
その横顔を舞台袖で見ていた主人公は、どのような気持ちだったのかな…と、想像してしまいます。
この最後が本当に好きで、森崎が歌いだす瞬間と、それを見つめていたであろう主人公の映像が自分の中で鮮明に流れるんです。
さて、最後の森崎は「刹那四世」の姿なのか、学生服のままなのか?ぜひ結末を読んで確かめてみてくださいね。

その他の物語も、魅力がたくさん!

他の5つの物語も、素敵なところはたくさんあります!
まず、どれも出てくる登場人物のやり取りが魅力的だということ。
ドキドキな胸キュン、というよりは、
コトン、と心が動くリアルで素朴な胸キュンやせつなさ…が詰まった物語です。
脳内でその絵を思い浮かべると、ニコニコしてしまうのが止まりません…!

もう一つは、登場人物たちがまっすぐに自分の思いを出し切って物語が終わることかなと思います。
読み終わると、まっすぐでみずみずしい物語が一番好きだな!と思わせてくれる短編集ではないでしょうか。
読んでいて顔がほころぶラストもあれば、鼻の奥がつんとなる、悲しくなるラストもあります。
それでも、全員が思いを残さずに言葉にして出し切った姿に、ラストの悲しさは吹き飛ばされて暖かさをもらえるんです。

この短編集は実は様々な個所がつながっているので、一回読んだ後もう一度読み返すと面白さが倍増します!
そこも何回も読み返してしまう魅力かなと思います。
ぜひ、読んでみてください!

では、今回はここまで。
最後までよんでくださり、ありがとうございました!

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