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【友野一希選手独占インタビュー】「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る【フィギュアスケート男子】
“ベテランと言われる年齢になったけど、今スケートがとても楽しい”。そう話すのは、今シーズン極上の演技で自己ベストを何度も更新し、メダル争いに食い込む選手へと成長を遂げた友野一希選手。
権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。
友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.5「サウナにハマったきっかけから、おすすめのサウナの入り方&怒涛のアイスショー」<フィギュアスケート男子>
2022.08.08 更新日:2023.12.22
vol.5 語り出したら止まらない! 熱いサウナトーク
こんにちは、フィギュアスケーターの友野一希です。
僕の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載、第5回目は、満を持してのサウナ回!
サウナ道に入ったきっかけから、初心者の方におすすめのサウナの入り方、お気に入りの過ごし方など、じっくりたっぷり語っていきますよ!
すべての始まりはここから。僕がサウナ道に入ったきっかけ。
2年位前、ドラマやYouTubeを見て僕もやってみようと、練習後に関空アイスアリーナの近くの「岩塩 りんくうの湯(以下、りんくうの湯)」(大阪・泉佐野市)に行ったのが最初のきっかけ。
まだ世間でいう“ととのう”という感覚がないままに通っていたある日のこと。
その日は(木科)雄登と二人で行って、ロウリュ(熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、体感温度を上昇させること)をやってから、水風呂に入りたいと思うまで12分くらいしっかり我慢してみたんです。
そしたらその後に入った水風呂がずっと入れちゃうんじゃないかなってくらいめっちゃ気持ちよくて。出て休憩スペースに腰かけてたら、 初めて体が宙に浮いてるような、「何も考えたくな~い」っていう感覚が訪れて。雄登と二人でひたすら「やばいな!」って大興奮。
忘れもしない、この初めての体験が僕たちのサウナ道の始まりだったんです。
そこから関空アイスアリーナで練習があるたびに「りんくうの湯」へ通って。
いい日もあれば、あんまりっていう日もあって、毎回試行錯誤しながらお互いのサウナを極めていきました。
「だいたいのスケーター、初めてととのったのりんくうの湯説」があるくらい、他のスケーターたちを連れていく機会も増えて。
そのうち「りんくうの湯」だけじゃなくて、泉佐野市にある銭湯系はほぼ全部制覇しましたし、サウナ遠征にも行くようになって、一気に経験値が上がりました。
でもいろいろなところに行ったからこそ、「りんくうの湯」がめちゃめちゃいいところってことに最近改めて気づいて。
湿度も高いし、水風呂も初心者でも気持ちよく入れる17、18℃。だから最初の“ととのう”をここで体験できたのは、僕のサウナ人生にとってめちゃくちゃよかったなって思うんです。
いいことたくさん、サウナで“悟りを開く”とは?
最初はサウナに新しく行く度に「ここいいな」とか、「ちょっといまいちだったかな?」 とか言ってたんですけど、最近はそうじゃないなって。
いい悪いとかじゃなくて、サウナが僕の生活の一部みたいになってきて、どんな状況でもいいなと思うようになってきたし、“ととのうことだけがサウナじゃない”と思うようになりました。
僕にとってのサウナは自分を見つめ直し、自分と対話する場所。瞑想していくうちに、感覚じゃなくて“気持ち(脳)でととのう”こともあるんです。
目をつぶって呼吸に集中していると、どんどん頭の中が真っ白になっていく感覚があって、それを僕は“悟りを開く”って呼んでいます。
雑念が消えて心がリセットされることで競技にもいい影響が出るし、いやなことがあった時はストレス発散にもなる。悪い結果だって受け入れて、次頑張ればいいやと気持ちを切り替えることができますし。
ただサウナは汗もかくし運動してるのと同じくらい体への負担も大きいので、余裕のある時しか行かないようにしてて。結局のところサウナに行った後いい感じに眠れるっていうのは、体が疲れるからなんですよね。
僕にとってサウナの目的は、あくまでメンタルのリセット。
本当に疲れた時は、体が緩む熱いお風呂と水風呂の交代浴にして、サウナとうまく使い分けています。
初心者の方は、まずは経験者と一緒に!
布教のかいあって最近サウナにハマるスケーターが続々と増えて、僕としてはうれしいばかり。
初めて行く場合は、経験者と行って、その人のペースに合わせるのが一番いいかな。だから僕も連れて行く時は「今日は接待しますんで!」とか、「俺について来い!」って感じで、無理なく過ごせるペースをレクチャーしています。
僕の好きなセルフロウリュ(自分自身でストーンに水をかけ温度を上昇させること)のやり方や入るタイミングなど、サウナでの立ち回りを教えてあげる。そしたら勝手に一人で行くようになって、だいたいハマってくれるんで。
僕流・サウナのおすすめの入り方
1. サウナ
温度や湿度、体調にもよりますけど80℃以上だったら、だいたい6~12分。
最初のセットは自分が「もう出たい!」と思ってから、30秒~1分ほど無理のない範囲で我慢してから出るのがベスト。
2.水風呂
水風呂は掛け湯をしてから一気に肩までつかるのが大事。冷たくても5秒くらいじっとしてるとだんだん大丈夫になってくるので、その感覚を楽しみつつ、体の先端がピリッとしたら出るのが◎。
サウナで一番楽しいのは水風呂に入る瞬間。
だからいかに気持ちよく水風呂に入れるかに重点を置いて行動すると、自分のなかで勝手に「いいサウナ」が出来上がっていくんです。
3. 休憩
その後は思い思い好きな過ごし方で休憩。「りんくうの湯」は、休憩スペースが広くてゆったりできるのがいいんです。
過ごし方は季節にもよりますね。僕はちょっと肌寒いくらいの季節が好きで、そんな時は水風呂を早めに上がって、外の空気に触れて夜景を見ながら外気浴を楽しんだり、室内でゆっくりしたり。それぞれ好きな過ごし方を見つけるのもサウナの醍醐味。
4. まだまだある! サウナの楽しみ方
しっかりサウナを堪能した後は、サウナ飯も外せないですよね。
僕は梅田の「大東洋」(vol.2参照)のちゃんぽんと、「神戸サウナ」のカレーがお気に入り。 サウナ後はとにかくカレーがうまい。あとはラーメンとか体に染みるやつがいいすね!
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友野選手おすすめのちゃんぽんとカレー。オロナミンCとポカリスエットを混ぜたサウナーの定番ドリンク「オロポ」も忘れずに(友野選手提供)
好きなサウナのオリジナルグッズを買うのも楽しみの一つで、僕はタオルとステッカーを集めてます。
特にタオルはかなりコレクションしてて、その日のコーデを決めるみたいに「今日はどこのサウナのタオルで行こうかなー」って選ぶ瞬間がテンション上がります。
持っていくのはお風呂の中で使う用と、上がってから体を拭く用の二つ。
今はもうだいたい行きたいサウナのタオルは所持済みですが、昔は行きたいサウナのタオルを持ってる人を見たら「うわ、あそこのサウナのタオル持ってる! かっけえ!」ってなってましたね(笑)。
タオルを持って堂々と腕組んでサウナに入ってる姿を見て「かっこいいな! あんな風になりたい」って雄登と話しながら入ってたのもいい思い出です。
だめだ、まだ全然話し足りない……!
次回の「トモノのモノ語り。」、延長戦でもいいですか?
vol.6では僕が実際に行った全国のおすすめのサウナなどをご紹介します。
怒涛のアイスショー月間!
7月はとにかく忙しい! 「Dreams on Ice」が終わってシニア合宿、「プリンスアイスワールド」に「THE ICE」とショー続きでしばらく家に帰れない生活が続いています。
こんなにたくさんのショーに出るのは初めてで、心配されることもあるんですけど、この7月はもう最初から覚悟を決めてたし、何より楽しさが勝っているので大変ではありません。
今はショーを通して受けたたくさんの刺激を8月以降にぶつけるための準備期間。来る時に向けて心の充電をためているところなんです。
現在は「THE ICE」の真っ只中ですが、普段試合で戦っているメンバーと一緒にショーを作り上げていくってのがほんとに楽しくて! (宮原)知子ちゃんが英語を喋れるので、わからないことを聞きながらみんなと話したり、ごはんに行ったりと仲を深めているところです。
名古屋では空いた時間を利用してホテルの近くにあるサウナに行きました。
新潟にはめっちゃいいサウナがあるらしいと聞きましたが時間がなさそうで……。でもラーメンが有名みたいなのでそこに行ったり、地元のご飯とかを楽しんだりできたらいいな。
フリー&エキシビション初披露!
「THE ICE」はコラボレーションや怒涛のフィナーレなど、見どころが盛りだくさん。特に(宇野)昌磨くんとネイサン(・チェン)のコラボは、「もうこんなん泣くだろ」ってくらい感動してしまいます。
僕はショートとフリーを披露。
特にフリーは初披露で不安もありましたが、思った以上の反応をいただけて自信がつきました。
ポージング一つ一つや、シーンの切り替わり、ステップのスローパートを見てもらえたら。まだまだできることがたくさんあるので、これから改善していきたいです。
そうそう、その前の「プリンスアイスワールド」ではエキシビションナンバーを滑りました。
ロックナンバーなので最初はカラーワックスとスプレーを使って髪をめっちゃ赤くしてたんですけど、一緒に出演していた(大島)光翔に「赤いのかっこいいけど、眉毛と色をそろえたほうがさらによくない?」って言われて(笑)。後半は黒さを残した暗めの赤にシフトしてました。髪を毎日染めるのは衣装に付いちゃったり大変でしたけどね。
今シーズン新たな表現に挑戦しているエキシビションナンバー。その振り幅の大きさに度肝を抜かれた人も多いはず。(写真:アフロ)
あとは今回メイクに初挑戦したことで、新しい発見も。
メイクして鏡を見た瞬間、プログラムに入り込める感覚があって、自信も生まれて。メイクには特別な力があるっていうのがよくわかりました。
今後これを海外でも披露できたらと思いますし、今シーズンも全試合でエキシビションに参加できるように頑張りたいです。
グランプリシリーズは、フランス杯とNHK杯に出場!
10月から始まるグランプリシリーズは、フランス杯とNHK杯に出場することが決まりました。国際試合としてのNHK杯はかなり久しぶりなので、出場することができてほんとにうれしいです。
フランスは先シーズンの世界選手権で行った国なので縁起がいいし、フリーのリベンジに燃えています。そしてなにより(山本)草太と一緒っていうのには鳥肌が立ちましたね。やっと一緒に戦えるって。
草太は昔からの目標としていた存在で、シニアの国際試合で戦うことは長年の夢でもありました。
最近の合宿でも調子がよさそうだったし、初戦もよかったみたいで。草太はやっぱり実力のある選手だし、僕にとっては一番怖い存在でもある。だから今シーズンはめっちゃ草太を意識しながら戦うことになるんじゃないかな。
とはいえ試合ではまず自分に集中することを大切に、一緒に切磋琢磨していけたらと思います。
語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美 写真/アフロ
※こちらは7月末時点の内容です
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Profile
フィギュアスケート選手 |
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。
“浪速のエンターテイナー”の異名をもつ、表現力豊かな唯一無二のスケーター。
層の厚い日本男子の中で、地道に積み重ねてきた努力が先シーズン開花。四大陸選手権2位、世界選手権では世界歴代6位の記録でショート3位につける大躍進を遂げ、今後ますますの活躍が期待される選手。
▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
Interview
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Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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