紺野彩夏の「こん酒場」

栃木県の『ココ・ファーム・ワイナリー』でワイン造りの工程を見学!【紺野彩夏のこん酒場】Vol.10(前編)

2025.02.01 更新日:2025.02.05

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non-noモデルいちのお酒好き・紺野彩夏のnon-no web限定連載「こん酒場」。連載第10回は、栃木県足利市にあるぶどう畑と醸造場『ココ・ファーム・ワイナリー』へ! 2025年はワインを極めたい♡ というこんちゃんとともに、100%国産ぶどうを原料にした日本ワインができるまでを見学してきました! 前編はワイナリー見学の様子をお届け♪

山を背景に手をあげる紺野彩夏

平均斜度38度!急斜面にあるぶどう畑は圧巻

「連載立ち上げ当初から行きたいと思っていた、ワイナリー見学へ! やってきたのは栃木県足利市にある『ココ・ファーム・ワイナリー』。収穫祭が終わったばかりの広大なぶどう畑や、敷地内にある醸造場をガイドツアーに参加して見学させていただいたよ」

斜面に広がる葡萄畑

スキー競技に使われるくらいの斜度だという、平均斜度38度の急斜面には驚くこんちゃん。急斜面で水はけがよく、また南西向きで陽あたりもいいため、ぶどうにとっては良い条件なんだそう。ここで栽培している品種は様々で、いずれも北関東の気候風土にあったワイン用葡萄を栽培しているんだって。

ココ・ファーム・ワイナリー』のはじまりは1950年代

山の前を歩く紺野彩夏

ワイン造りのはじまりは1950年代のこと。中学の特別支援学級の教員だった先代・川田昇さんがこの山を購入、川田さんと特別支援学級の生徒たちが中心となり2年かけてぶどう畑を開墾したのだとか。1969年には、ぶどうと椎茸の栽培を中心にした農作業を通して生徒たちの心身の成長を目指す「こころみ学園」を設立。さらに1980年にはこころみ学園の考え方に賛同する園生の保護者たちと共に「有限会社ココ・ファーム・ワイナリー」を立ち上げ、1984年には果実酒醸造の免許を取得、ワイン造りをスタート。ぶどう畑の草刈りや石拾い、傘かけ・つる切り・収穫、醸造作業、ラベル貼りや梱包など……さまざまな仕事を園生たちが担い、これまでワイン造りを支えてきたのだとか。

すくすく育つワイン用ぶどう。広大な土地での豊かな自然を感じて

ぶどうを触る紺野彩夏

ぶどうの自家畑では、マスカット・ベーリーA、リースリング・リオンなどの日本固有の品種や、プティ・マンサン、ノートン、タナ、ヴィニョール、アルバリーニョなど、気候変動を鑑みた世界的な品種を栽培しているそう。いずれも北関東の気候風土にあったワイン用品種なのだとか。そんな話を聞きつつ歩いていると、エントランスにあるぶどうの樹の枝についた、収穫時期の実を発見。さっそく一粒食べさせてもらうと……「口のなかに豊かな香りが広がって甘酸っぱい〜! こんな風に季節ごとのぶどうの姿を間近に見られるのもガイドツアーの醍醐味。自然豊かな環境が、おいしいワインを育むことを実感!」とこんちゃん。

ぶどうを持つ紺野彩夏

大きなタンクが並ぶ醸造設備はワインの香りでいっぱい

続いて案内してもらった、醸造作業が行われているという場所には8000L以上の容量の大きなステンレスタンクがずらり。

「醸造設備に入ると、ふんわりとぶどうの香りが! 赤ワインと白ワイン、その違いはどこで産まれるんだろう?この大きなステンレスタンクから何本のワインが造られるんだろう……?」

ワインの醸造タンクを見上げる紺野彩夏

ぶどうを収穫した後、最初に行われるのは、茎と実に分ける作業。房から茎を取り除く「除梗(じょこう)」、そして果実を軽く潰して果汁を出す「破砕(はさい)」という作業を行うよ。赤ワインと白ワインの大きな違いは……ぶどうの果汁だけで造られるのが「白ワイン」、ぶどうの果汁・果皮・種子を使って造られるのが「赤ワイン」なのだとか。除梗をすることで過剰な渋みを防いで、破砕によって果汁を搾りやすくし、赤ワインは果皮と種子を一緒に、白ワインは果皮や種子を取り除いて、その後はステンレスタンク内で主発酵プロセスへ。

主発酵とは、ワインの風味や色合い、骨格を決定づける非常に重要な工程。通常発酵は2週間前後続いて、この発酵によりアルコールが生成されるそう。ワインの種類によって、発酵や熟成させる期間はさまざま。ぶどうの糖分が無くなると、発酵は自然に止まります。糖分がすべてアルコールになるまで発酵すると辛口ワインになり、 糖分を残した状態で酵母の活動を止めると、甘口ワインになるのだとか。

豊潤な香りに満たされた静かな熟成庫でひっそりとデビューを待つワインたち

貯蔵庫に入る紺野彩夏

「醸造場のそばにある山には何やら気になる扉が……。テーマパークのアトラクションのようでどきどき! 扉の中に入るとまずはワインの豊潤な香りが♡ 中を開けるとトンネルがあり、ひんやりした空気に包まれた巨大な空間に樽がずらり! 樽に詰められたワインは、16℃前後、湿度60%程度に保たれるこの場所で、ゆっくりとなめらかな味わいに変化するそう。樽で熟成させる期間が長ければ長いほど、中身のワインが蒸発してしまうみたい。……それを“天使の分け前”と呼ぶんだって。なんておしゃれなネーミング!」

人の手で丁寧に行われるルミアージュ作業

ワインは、ぶどうの皮などについている酵母が糖をアルコールに変えながら分解して、二酸化炭素と熱を出す仕組み。分解する糖がなくなって発酵を終えると澱(おり)となって沈殿するから、瓶内二次発酵によるスパークリングワインは定期的にある一定の角度に瓶を傾けて何度も瓶を回して、それを瓶口近くに集めて取り出すという気の遠くなるような作業が必要なのだとか。冷蔵室内で1〜3ヶ月、毎朝毎晩欠かさずビンを45度ずつ手でごろごろ回して澱をきれいに瓶口に集める作業が、フランス語で「Remuage ルミアージュ(動瓶)」。ルミアージュ作業を機械に頼っているワイナリーも多いなか、『ココ・ファーム・ワイナリー』ではすべて手作業でルミアージュを行っています。一方、瓶詰めされたワインボトルの底に溜まった沈殿物やフワフワと浮かんでいるものが澱(おり)と呼ばれるもので、熟成した良質な赤ワインに多くみられる“うま味”のもと。

柔軟性と弾力性があり、気体や液体を通さない性質をもつコルク。ワインは酵素と触れると劣化してしまうため、空気に触れさせずに長期熟成ができるコルクはワインボトルの蓋にぴったり。もちろんコルクの打栓も、1本1本手作業。手動の機械を使いながら、丁寧にコルクを詰めていきます。写真は打栓前のコルク(写真左側)と打栓後にワインボトルの飲み口に合わせて圧縮したコルク(写真右)。

「そうして時間と手間暇をかけることで、ようやくおいしいワインが完成! 丁寧な手仕事で造られたワインの味わいに興味津々。早くテイスティングしたいな♡」

後編では待ちに待ったテイスティングの様子をお届け予定♪

今回のお店はココ

ワイナリーの入り口に立つ紺野彩夏

ココ·ファーム·ワイナリー

「1980年に誕生した『ココ・ファーム・ワイナリー』は、1984年からワイン造りをスタート。化学肥料や除草剤は一切使わず、醸造場での発酵も天然の野生酵母や野生乳酸菌が中心の100%日本のぶどうでできた「日本ワイン」はとっても貴重! ワイナリー見学は1日3回 (10:30、13:00、15:00/費用1人¥500)実施されているよ。生産背景を知ったうえで飲むワインは格別とあって、是非参加してほしい! ワインショップではテイスティングも体験可能。併設のカフェでは自家製ワインと季節のとれたての食材を使った料理のマリアージュを楽しんで♡」(byこんちゃん)

住所:〒326-0061 栃木県足利市田島町611
TEL: 0284-42-1194
営業時間:
ショップ:10:00-18:00
カフェ:平日11:00〜16:00(15:30L.O)
土日祝日11:00〜17:00(16:00L.O)
詳細はココ・ファーム・ワイナリーWebサイト

Staff Credit

撮影/峠雄三 ヘア&メイク/鈴木かれん スタイリスト/石田綾 タイトルイラスト/とも 構成・文/大塚悠貴

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