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友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.23「2023-24シーズン開幕インタビュー」<フィギュアスケート男子>
フィギュアスケーター友野一希選手の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載がスタート! 最近買ったもの、気になっていることのほか、競技に関することや、近況などを貴重なオフショットとともに報告!
友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載「新生活を共にする新しい趣味と、チャレンジカップ」【 #トモノのモノ語り。】vol.35<フィギュアスケート男子>
2024.03.26 更新日:2024.10.24
こんにちは、フィギュアスケーターの友野一希です。
久しぶりにフル構成でお届けする連載「トモノのモノ語り。」第35回目です。
今日は僕の新しい趣味のお話と、今シーズン最後の試合となったチャレンジカップ、最近の練習の様子についてお話ししています!
それからもうまもなく4月になりますので、カレンダーを購入してくださった方は飾るのをお忘れなく! それでは最後の「お気楽お悩み相談室」までじっくりお楽しみください!
レコードのある生活、始めました!
一人暮らしをしたらやりたかったこと。
いつの間にやら桜も咲き始め、いよいよ春本番ですね!
4月から新生活が始まるという方も多いと思いますが、僕も年明けからついに一人暮らしを始めました。理由はとにかく一人暮らしをしたかったから。それに尽きます(笑)。
そして僕には一人暮らしをしたらずっとやってみたかったことがあって……それはレコードで音楽を聴くこと。以前京都のジャズ喫茶で聴いたアナログの音がとても心地よくて、いつか家でもレコードを楽しみたいと夢見ていたんです。
愛用のレコードプレイヤー
まずは調べに調べてターンテーブルを決定。相棒に選んだのは、日本のオーディオメーカーTEAC(ティアック)のエントリーモデル「TN-280BT」。黒をベースとしたシンプルな見た目にマットな質感という洗練されたルックス。
僕は手持ちのスピーカーに有線で繋いで使用していますが、このプレイヤーはBluetoothによるワイヤレス接続にも対応しているため、対応のスピーカーやヘッドホンにさくっと繋いで誰でも手軽に楽しめるのが魅力。アナログなつくりに最新の技術が融合されたバランスがよい一台です。
ゆくゆくはもっといい音で聴きたいとなるかもしれないから、スピーカーやアンプを買い足すことも視野に入れつつ、環境をアップデートしやすいものを選んでみました。
レコードと過ごす毎日。
レコードが家にやって来てから、僕の生活にはたくさんの変化が。
まずは音楽を聴くこと自体の解像度が上がり、聴く音楽に合わせて手段を選ぶように。
今はサブスクでもかなり音質がよくなって再現度が上がってるけど、結局当時のもので聴くのが一番なんじゃないかと思うから、当時アナログでリリースされたものはレコードで聴きたいんです。逆にデジタルのものはデジタルで聴きたいので、家にCDプレイヤーも欲しいなと思い始めて。
それからいつでもどこでもサブスクを開けば音楽が再生されるという状態から、実際にお店に足を運ぶようになったことで、音楽を選ぶ行為自体が体験の一つになりました。店員さんの愛が詰まった手書きのポップを熟読して学びを得たり、思わぬ掘り出しものを見つけたり。CDショップやレコードショップってめちゃくちゃ楽しい場所だったんだっていうのが最近の発見です。
サブスクのおすすめ機能だとどうしても自分の好きなジャンルに偏ってしまうけど、ショップに行くと幅広いジャンルに触れることができるし、そのジャンルを知るためにまず聴くべき名盤がピックアップされているから、初心者にも優しくて。服と同じで、その道に詳しい店員さんのおすすめはすごく勉強になるし、ネットのまとめ記事だけじゃ得られない情報もあって。少し手間をかけるからこそ、音楽への愛着も増す一方。ちゃんと足を運ぶっていい時間の使い方だなって気づけました。
そんな理由から、これまでは練習が終わるとよく服を買いに行ってたんですが、最近はレコードショップに寄って帰るのが日課に。特にブックオフでディグって500円でいいものを手に入れることができた日はとてもハッピー。こんな風にお安い値段でポンポン買っているので、ちょっとずつコレクションが増えてきました。
MY BEST RECORDS 5pick!
ということで、最近手に入れた中からお気に入りのレコード5枚をご紹介。
まだ聴き始めたばかりなので王道ばかりなのですが、どれも最高! 自信をもっておすすめしますので、ぜひ参考にしてみてください!
山下達郎『SPACY』
まず初めは……でん! 山下達郎さんの『SPACY』。
昨年、1976~1982年に発売されたアナログ盤の最新リマスターコレクションがリリースされたのですが、これはその一つ。
昨年からシティポップにはまり始めて、その代表格・山下達郎さんの曲を聴きたいなと思っていたんです。サブスクを解禁していないので、まずは『FOR YOU』をCDで購入。スマホに入れてドライブのおともにしていたんです。
だからレコードプレイヤーを買った時は、彼の音楽をアナログで聴くのが楽しみで仕方なくて。たくさんある中でこの2ndアルバムを選んだのは、このアルバムを好きな人が多いってよく耳にしていたから。そんな単純な理由でしたが、聴いたらやっぱりそのすごさがわかるっていうか。音楽はもちろんジャケットも素敵だし、自分で購入して音楽を聴く行為ってやっぱいい!そう心から思えたし、 買って一番テンションが上がったレコードです。
このアルバムは、聴くシーンも時間も選ばない、朝も昼も夜も全部いける名盤。家に(木科)雄登や(大島)光翔や(森口)澄士がよく遊びに来るんですが、そのメンバーたちにも好評で。雄登もよく「達郎いいな~」って言っています。こんな風に友達が来るといつもレコードをいい感じに流して、ジャズ喫茶ならぬ、“友野喫茶”を開店させているんです(笑)。
今持っている山下達郎さんのレコードは、これと5thアルバム『RIDE ON TIME』の2枚だけですが、これからどんどん聴き込んでいきたいと思っていて。今日本のシティポップって国内だけでなく海外の方にもすごく人気だから、なかなかいいものに出合えないんですが、ショップを巡る中で偶然見つけることができたらいいな。
Michael Jackson『Thriller』
続いては……じゃん! 世界一売れたアルバムとしても知られる マイケル・ジャクソンの『スリラー』です。
昔から彼の音楽が好きで、小学生の頃はYouTubeで振付を覚えて、『Beat It』や『Smooth Criminal』、『BAD』なんかをずっと踊っていました。
そんな思い出もあって、改めてレコードで聴きたいなと思ってたところ、ちょうどミーシャがこれを見つけてプレゼントしてくれたんです。もらった時は思わず「テレパシーかな」って(笑)。
最初アナログで聴いた時はめちゃくちゃ感動しましたね。トラックリストを見ると誰もが知ってる有名な曲ばかり。例えば 『Beat It』、『Billie Jean』、『Thriller』……と、もうこのラインナップおかしいもん(笑)。1曲目の『Wanna Be Startin’ Somethin’』も好きだし、初期の軽快なサウンドがめっちゃ好み。今後はさらに遡ってもっと初期のアルバムを集めていきたい!
Norah Jones『Come Away with Me』
3枚目は……ドン!
ド定番ではあるのですが、本っ当に大好きなノラ・ジョーンズのデビュー作『Come Away with Me』です。
ジャズをたくさん聴いていく中で、初めてボーカルで射貫かれたアルバムがこちら。最初は全然知らないままに聴いていたんですけど、後から調べたらどちゃくそに名盤だったみたいで。詳しくなくてもいいものってやっぱり分かるものだし、そりゃそうだよなって納得しました。
一時期ずっと車で聴いていたほど気に入ってるアルバムなので、レコードを聴く環境を整えて一番に購入した特別な一枚。このきれいなジャケットを見るだけで、名盤たるゆえんが伝わってきます。
音もレコードで聴くと段違いによくて。アナログの音は温かみがあるから、スッと耳に入ってくるし心地いいなあって。服と同じで王道だからこそのよさがありますし、音楽の世界でも名作に少しずつ触れていきたいですね。
The James Taylor Quartet 『It Doesn’t Matter』
4枚目は……ででん!
初めてレコード屋さんに足を運んで買ったLPであり、ジャケットにしっくりきて買った初のジャケ買いレコードがこちら。事前情報が何もないので、家に帰ってどんな音なんだろうとわくわくしながら針を落としたら、どんずば好み!
イギリスのジャズファンクバンドらしいのですが、本当にイメージした通りのサウンドで、ジャケ買いもいいもんだなあと。
後から調べてそのアーティストを知る楽しさもありますし、これからもどんどんお店に足を運んで、直感で素敵なレコードを見つけたいな。
僕にとってジャケ買い大成功となった記念すべき一枚。話をしてたらまた聴きたくてたまらなくなってきた!
George Benson『Breezin’』
ラストは、アメリカのジャズギタリストであり歌手のジョージ・ベンソンの作品。聴くとみんな「あーっ!聴いたことある!」ってなる曲ばかりの歴史的名盤。
もともとはサブスクで聴いていて、せっかくならレコードで聴きたいな~と思っていたところ、タワレコで見つけて嬉しくて即買い。ちなみに大阪のなんばパークスにあるタワーレコードは練習後に寄りやすい僕的ホットスポットです。
彼はアドリブで歌う意味をもたない歌唱「スキャット」を得意としているのですが、その歌声やギターの音色がすごく心地よくてすっかり虜に。これをきっかけに自分は弦の音色が好きなんだと知ることができました。ぜひ皆さんにも聴いてもらいたいおすすめのレコードです。
音楽のおかげで生活が豊かに
周りから「一人暮らし大変じゃない?」と心配されることもありますが、大変だってことがなくて、全然苦じゃない。自炊もできるようになったし、レコードを流しながらだと料理や家事が捗るという新発見も。
そんなこんなで、今は生活の楽しさを実感する毎日。家で過ごす時間が格段に増えて、夜一人で音楽を聴きながらぼーっとするのが至福のひと時。音楽を通して生活が一気に豊かになってきましたし、今後連載内でも色々トピックが公開される予定なのでお楽しみに。
それにフィギュアスケートって音楽とは切っても切れない関係にあるものだから、今は半分趣味でも、今後演技につながるものがあるんじゃないかな? だからこそ今後は色々なジャンルを開拓していきたくて。
近頃はUKロックや王道のThe Beatles、クラシックや映画のサントラが気になるように。それ以外にもジャズ喫茶で気になった曲をメモして探したりと、ウォントリストが増える一方。
といってもまだまだ知らないことだらけなので、読んでくださっている皆さんにも色々お聞きしたいな。フィギュアスケートのファンの方って深い知識を持っている方が多そうなので、もしかしたらマスターがいらっしゃるかも。 おすすめのものがあればぜひコメント欄で教えて欲しいです(笑)。
(編集部より:コメント欄の代わりに、ぜひXで「#トモノのモノ語り。」のタグを付けておすすめをポストしてください)
いただいた口コミを参考にしながら、これから素敵なレコードライフを送れたらと思います! 新しいことを始めるのにぴったりなこの時期。皆さんもぜひレコードのある生活を!
近況報告/チャレンジカップ
滑走屋の余韻とともに迎えたチャレンジカップ
ちょっと間が空いてしまい、はるか昔のことにも思えますが、シーズン最後の試合、チャレンジカップが終了。結果は3位でした。
終始動きっぱなしだった滑走屋の直後ということで、体はすこぶるいい仕上がり。ショーの勢いのまま試合に臨めるという状態で現地入りしました。
もちろん試合ということで、気持ちはしっかり切り替えなきゃと思ってましたし、滑走屋に全身全霊で取り組みながらも「まだ試合が残っている」というメンタルではいたんです。でもやっぱり滑走屋の余韻がすごすぎて。10日以上経っているというのに頭の中でずっと滑走屋のプレイリストが流れている状況でした。
でもそれはいい効果ももたらしてくれて。実は、滑走屋での「Cry Me A River」からの「Halston」という流れがとてもよかったということもあって、試合でも演技直前に「Cry Me A River」を聴き、その流れでフリーを滑るようにしたんです。滑走屋では常に冷静でいることを心掛けていたので、あの時と同じ流れで滑ることで、あまり緊張することなく演技に入ることができたと思います。
試合内容について
ただ滑走屋では完成度を高めるためジャンプを3回転にしていたので、4回転の練習はほとんどできておらず、それが少し心配でもありました。でもいざ滑ってみるとショート、フリーともに4回転トーループ+3回転トーループのコンビネーションが入らなかったというミスはありましたが、内容自体はそんなに悪くなかった。これまでずっと練習してきた貯金をうまく使えたかなと思います。
優勝した(ミハイル・)シャイドロフくんは今シーズン4回転がすごく安定して、さらに強い選手に。今後も怖い存在の一人です。2位のたっちゃん(壷井達也選手)もとても上手だったし、最近は本当に一つのミスも許されない試合が多くなってきたと感じますね。ミスして勝てるっていう状況が少なくなってきたというのかな。それだけ全体のレベルが上がっているんだなって思うと同時に、自分も安定感や細かい部分までのボディコントロールを改善していかなきゃと改めて考えさせられた試合になりました。
今シーズンの振り返り
今シーズンを振り返ってみると、なかなかパーフェクトな演技をし切れなかった1年でした。ショートは完璧な演技をして終わりたかったですし、悔しさが残ります。
一方フリーはシーズン後半以降安定してきていたので、今後は小さなミスをなくすことを重点的に。来シーズンの目標はひたすらプログラムの安定感をアップさせることで、そのためにはやっぱり4回転の心配をなくさなきゃいけない。
僕の場合、冒頭2本のジャンプの成功確率が極端によくない傾向があって。3本目以降は切り替えてなんとかなるけど、2本続けて降りられることがとても少ない。降りられたとしてもよろけたり、オーバーターンになったり。その傾向がショートでもろに出てるんだと思う。
それを克服してショートで降りることができるようになれば、フリー冒頭のジャンプのミスもなくなるはず。今シーズンはフリー後半ではほとんどミスをしなかった。だからショートの2本のジャンプを決めさえすれば、両方ともノーミスの演技が見えてくると思うんです。
世界観を守り抜くという表現者としての強い意志が、後半のジャンプの安定感につながった
今年は4回転トーループの感覚がよくなかった分、後半のジャンプは絶対に成功させると決めていて、そのための練習に注力していました。それに後半が崩れちゃうと、プログラムの世界観が完全に壊れてしまうことも分かっていたので。絶対に「Halston」の世界観を守り抜く。そういった意識が試合に出ていたんじゃないかなと思います。
今シーズン爆発力は足りなかったかもしれないけど、得点源となる後半のジャンプをきっちり決めることができたことについては、自分をちゃんと褒めてあげたいです。
試合終了後は、オランダ・ティルブルフの街を満喫
試合が終わった後のお話も少し。
オランダでの試合は10年ぶり。前回めっちゃ楽しかった思い出があったので、とても楽しみにしていました。
実際に行ってみたら、ここまで楽しいB級試合は久々!って言えるくらい大充実の派遣に。メンバーもかおちゃん(坂本花織選手)、(青木)祐奈ちゃん、たっちゃん(壷井達也選手)、ゆなすみ(ペアの長岡柚奈選手・森口澄士選手組)と、なじみ深いほっこりメンツ。時間がたくさんあったので、しっかり観光もできました。町全体をお散歩しながらクレープを食べたり、雑貨屋さんを巡ったり、お茶タイムをしたり。
ちょうどホテルの目の前にいい雰囲気のパブがあったので、試合が終わってからはちょっとだけお酒を楽しんだり。現地ならではの空気を味わいながら、ゆったりとした時間を過ごせました。 会場の雰囲気も温かったし、改めてオランダ最高だって思えたし、素敵なシーズン納めになりました!
最近の練習について
基礎練習での思いがけない収穫
さて、最近の僕の様子はというと、オフに入ったということで大好きな基礎練習に励む日々を送っています。実は今シーズンで一番じゃないかってくらいジャンプの調子がよくて。「いや遅いだろっ(笑)」って自分につっこみながら過ごしています。
好調の背景にはある要因がありました。
それは、このオフから本格的にコンパルソリーを始めようと、専門の先生に教わるようになったこと。以前からやっていましたが、今回は最初の一歩をつまさきから乗せるのか、かかとから乗せるのかといった、これまで意識していなかった基礎の基礎から学び直すことにしたんです。
そうやって原点に立ち返ったら、僕は足元にすごくブレがあることに気が付いて。たとえば1歩目が揺れてしまったり、踏み出しや乗り換えがうまくいかなかったり。特にバックアウトやインの右足に乗るのがすごく苦手で。それでよくよく考えたら、トーループジャンプを跳ぶ時にも同じように右足のバックアウトで踏み込みをするんですよね。
それでトーループが苦手な理由は足元が安定していなかったからということに気づくことができました。
反対に、サルコーなら調子が悪い時でも安定して跳ぶことができていたんですが、それはきっと踏みかえがもともと得意な足だったから。
今までは跳び上がりや上半身の使い方に問題があるんじゃないかとか、回転速度や回し方が足りないのではと思っていたんですが、原因は足元のブレにより、上半身に力が伝わってなかったことにありました。
実際に足の乗り換えをする時はいつも同じ位置に乗るというのを意識した途端、ジャンプに安定感と高さが出てくるようになったんです。
これまでジャンプを跳べる時と跳べない時の差が激しくて苦戦してきたけど、この発見で一気に世界が変わりました。やっぱり基礎練に時間をかけるといろいろと収穫がありますね。
今後ジャンプの調子がよくない時は、ちゃんと乗り換えが確認すればいいし、それができていないなら体の調子が悪いってこと。そんな風にジャンプに対する考えが整理され、よりシンプルに考えられるようになりました。
そういえばかつて町田くん(町田樹さん)は、いつもコンパルソリーをやってからジャンプに繋げるという練習をされていました。僕も見よう見真似でやりながらも「一体どういうことなんだろ~」と思っていたんですけど、今、その意味と大切さにようやく気がつくことができました。
以前はループ玉を描く練習をしていたんですけど、今はひたすら八の字サークルで、そこからジャンプに繋げるという練習に励んでいます。ただ真っすぐ乗るだけなんですけど、意外と難しくて。飛び級するんじゃなくて、一から学ぶってこんなに大事なことだったんだなと身をもって知りました。
おかげでバッククロスから何から乗り方が変わり、力を逃すことなく体全体に伝えることができるようになりました。トップ選手のジャンプを見ていると足元のふらつきが少なくて、ビタッって跳んでる感じがあるんです。僕も足元の繊細さを高めていけば、さらにいい発見があるのではないかと。今後も基礎練を大事にして、体にしっかり定着させていくこと。それがこのオフの一番の課題になりそうです。
今後の予定など
有難いことに今年もたくさんアイスショーに呼んでいただいて、オフ期間も皆さんとたくさんお会いできそうです。でも練習の時間もしっかり確保できているので、あまり心配しないでくださいね。
そうそう、今回の「スターズ・オン・アイス」は憧れのカート・ブラウニングさんが振付をされるということで、うれしすぎて即決でした。世界選手権を終えて参加するスケーターが多いので、そういった雰囲気も感じながら楽しみたいですね。
世界選手権といえば今年もすごい大会になりそうだなっていうのは今日の女子の試合を観ていても感じましたし、男子も最終グループで滑るスケーターの名前を見ているだけでもわくわくしました。まあ見るのも楽しみなんですけど、来年は僕もしっかりその舞台に戻れるように、「スターズ・オン・アイス」でもいろいろ吸収していきたいと思います。
そして6月には「氷艶2024 -十字星のキセキ-」にも出演させていただきます。今まで経験したことのないショーですし、ここでもたくさんのことに挑戦しながら成長していくつもりです。
新プログラムの振付については、ショートもフリーもまだ調整中。またお伝えできる時期がきたらご報告いたしますので、それまで楽しみにお待ちくださいね!
出演予定のアイスショー
つらいのは推しを身近な存在だと思っているからかも? いっそ推しを神聖なものとして崇拝してみては?
これまでの相談室でも僕が他人に興味がないっていう話は何度も出てきたかと思うのですが、このお悩みなんてまさにそう。僕って自分が輝くのが好きだから(笑)、他の誰かを推すことがない。
もちろん男子だから異性のアイドルを見て「うわー可愛い!」と思うことはありますよ、だって男の子だもん。でもそれ以上の気持ちが芽生えることはなくて。だから申し訳ないことに苦しくなるくらい有名人を好きになるという気持ちが分からないんです。
でもね、推しの存在って人を幸せにするっていうし、有難いことに僕だって推されている側になるのかもしれないから、自分なりに真剣に考えたいと思います。
———考え中——–
ただ恋は盲目っていいますし、自分を見失ってしまうこともあると思います(笑)。
実際に有名人に対して「好きすぎてつらい」と思うほど気持ちが高まっているのは、この症状なのかな。だからまずは一旦立ち止まって、自分がなぜその人を好きなのか見つめ直す時間を作ってみてはどうでしょう? 客観的な視点をもつことはどんな場面でも大切。冷静になることで思いをコントロールできるようになって、自然と適度な距離感を保てるようになるのではないでしょうか。
今の世の中はSNSを通じて有名人との距離を近く感じてしまいがちで、これも今回の悩みの背景の一つかも。だからここは推しをあまり身近な人だと思わないで、いっそ神として崇拝するのがいいのかなって。だって神様に近づこうなんて誰も思わないじゃないですか。同じ人間ではなく、神聖な存在だと思うくらいがちょうどよい場合もあるかもしれない?
でもでも相手が僕の場合はそうしないでくださいね。矛盾するかもしれないけど、僕は自分のことを特別視してほしくない。みんなにとって身近な人物でありたいっていつも思っています。それはファンの方を信頼してるからっていうのが一番にあるかもしれないですけど。
それにしても僕が誰かのファンにならないのは、スケートのことで頭がいっぱいで他人を応援する余裕がないからなのか?なんて最初は考えてたんですけど……。よく思い返してみたら幼い頃からずっとでした。たとえばアーティストを好きになったとしても、気になるアルバムを全部聞いたらもうそれで満足。僕の好きは「知りたい」という欲求を満たす作業で、欲求が満たされた瞬間、感情がなくなって、それ以上好きになることはない。過去の好きだったものとして保存されて、また次のものに興味が移っていくんです。
でもなんで推しているのかって冷静になって考えても分かんないな、だって気づいたら好きになっちゃってたんだもん……。ああもしかして相談者の方のお悩みってこういうことだったんですね? 自分で頭がこんがらがってしまったので、きっと理屈じゃなくて、好きってそういうことなんでしょうね……。すみません、謎はますます深まるばかりでした……。
(迷惑をかけなければ、自分の気持ちとの付き合い方に正解はないと思います!)
語り/友野一希 構成/轟木愛美
Profile
フィギュアスケート選手 |
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。自分らしいスケートを追求し、唯一無二の武器へと変えてきた25歳。観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
日本フィギュア界の“いい兄ちゃん”的存在で、後輩からの信頼も厚い。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年競技以外で見せる魅力にも大きな注目が集まる。
昨シーズンは全日本選手権で初の表彰台、自らの力で世界選手権出場を果たし自己ベストを更新するなど確実な成長を示した1年に。オフシーズン中はありとあらゆるアイスショーに出演。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮。初めてキャラクターを演じた「ワンピース・オン・アイス」での熱演も各界で話題の的となった。
成長を求め自分のプライドをかけた戦いへと臨んだ今シーズン。あえて強みを封印した挑戦のフリー「Halston」は、試合を重ねるごとに輝きを増し、これまで地道に磨いてきたものが結実したプログラムに。昨年12月の全日本選手権では、芸術性を極めたフィギュアスケートの真骨頂ともいえる演技で美しく崇高な世界観を作り上げた。
年明けの国スポでは全日本選手権で見せた珠玉の4分間を再演。揺るぎない実力と表現力を示した。さらに高橋大輔さんプロデュースのアイスショー「滑走屋」では、時にプロデューサーの右腕として、時にスケーターたちを引っ張るよき兄として、練習から本番に至るまで存在感を発揮。ショースケーター友野一希としての姿を印象付けた。
今シーズンの後半からは、2026年のオリンピックを見据え、さらにパワーアップするための修業期間に突入。スケーティングの原点に立ち返り、コンパルソリーに励む姿はどんな時でも基本を重んじる実直な彼ならでは。その努力は来シーズンの4回転ジャンプで花を咲かすに違いない。エンターテイナーでありながら、その素顔は常に冷静沈着で、飽くなき探求を続ける真のアスリート。これまで何度も自分と対峙し成長を遂げてきた彼が、また新しい壁を自らの力で乗り越えていく姿に注目したい。
Interview
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フィギュアスケーター友野一希選手の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載がスタート! 最近買ったもの、気になっていることのほか、競技に関することや、近況などを貴重なオフショットとともに報告! 第4回は特別編として、2022-2023シーズン開幕インタビューをお届けします!
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権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。
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趣味は古着屋さん巡りや革靴を愛でること。フィギュアスケート界きってのファッショニスタで知られる友野選手の最近のお買い物事情からファッションのこだわり、さらには最近ハマっていることについてたっぷり聞いてみました! こだわりの詰まった私服コーデも公開!
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友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.19「山本草太さん、島田高志郎さんが語るカズキトモノ」<フィギュアスケート男子>
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Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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