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2021.05.23
もしも自分の性欲が世間の考える多様性からも外れていて、想像さえもされていないとしたら――。一つの事件から逆算するように、世間から「いなかったことにされている」人たちの苦しみと心の叫びを複数の視点から描く究極の問題作。
最近、多様性という言葉がよく使われる。セクシャルマイノリティーの人、障がいのある人、大勢と異なる生き方を選ぶ人。少数派の人たちに光があたり、それまで生きづらさを抱えていた人が生きやすくなることはほんとうにいいことだと思う。けれど、私たちが多様性を語るとき、私たちは自分の想像できる範囲のことしか語ることができない。
生まれてからずっとその外側にいると感じている人たちにとって、その言葉はさらなる絶望になってしまうのかもしれない。所詮、上辺だけのポジティブな語りに自分たちはカウントされていない、と。
不登校の小学生YouTuberや大学のミスコンなど、現実世界の旬な問題を取り入れながら、登場人物たちはそれぞれの正義、孤独、厭世を抱え、それでも誰かとつながりたいと切望して生きる。
正解はない。人によっては今まで信じていたものがガラガラと崩れるような衝撃を感じるかもしれない。それでも読んでよかったと思える、そんな本だ。
善悪を根本から揺さぶる衝撃の2冊
畜産と食肉解体を長年取材し続けた著者が、3匹の豚を自らの手で育て、自分で食べるまでを描いた体当たりルポ。かわいそう? それとも食べることは愛? 著者の真摯な思いが伝わる1冊。
性暴力に苦しんだ経験を持つ著者が、ドイツにて犬や馬をパートナーとする動物性愛者たちと寝食を共にしながら彼らを丁寧に取材した1冊。これまでの常識や偏見がぐらぐらと崩れ、覆される。
●はなだ ななこ
HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE店長。著書に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』がある。