友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載「家具作りの現場で学んだ、もの作りに込められた思い」【 #トモノのモノ語り。】vol.37
2024.06.19 更新日:2024.06.24
こんにちは。フィギュアスケーターの友野一希です。
連載37回目は前回に続き、新居のお部屋作り企画。今回はもっとインテリアや家具について理解を深めるべく、実際に家具を作る工場に見学に伺いました。
お部屋作り計画 #02
家具作りを学ぶ
一人暮らしを始めるにあたって、まず取り組んだのはインテリアの知識をつけること。ファッションと同じように国内外の名作と呼ばれるものの歴史やデザインを学び自分がときめくものを探していく中で心を奪われたのは、木製のイス。シンプルではあるんですけど、その中にもの作りのよさが詰まっているところ、温かみがあるところ……と、好きなところを挙げ出したらきりがないくらい。そのうちYouTubeでイス作りに関する動画まで見始め、いつかイスを作る過程を間近で見ることができたらなあと思い始めていたんです。
そんな僕の夢がさっそく叶い、なんと無垢の木を使った家具ブランド、WOOD YOU LIKE COMPANY(ウッドユウライクカンパニー)さんの工場の見学をさせていただけることに! この日がずっと待ち遠しくて、事前にたくさん勉強してから当日を迎えました。
お邪魔したのはこちら!
WOOD YOU LIKE COMPANY
東京・表参道にお店を構える無垢の木を使用した家具ブランド。大量生産、大量消費の時代に本当の意味での豊かな暮らしを提案したいという思いから家具の製作をスタート。そこから40年以上、世代を超えて長く愛される家具を作ることをモットーに、作る過程だけでなく、作った後にも重きを置いた丁寧なもの作りを行っている。
家具作りの現場でプロの方の手仕事を見学
WOOD YOU LIKE COMPANYは、一つひとつ表情の異なる無垢材の個性を生かした家具作りを大切にするブランド。そのすべてのプロダクトが作られているのが、今回お邪魔した東京・昭島市の自社工場「昭島ファクトリー」。数年前まで夏になると蛍が舞っていたというほど自然豊かな場所にあります。
こちらで働かれているのは、職人の方15人、社員の方6人の総勢21人。お仕事がお忙しい合間にもかかわらず温かく迎えてくださり、家具ができるまでのプロセスを丁寧に説明してくださいました。
案内してくださったのは……
この会社に憧れて入社、ブランドを代表する数々の家具を手がけてきた大ベテラン!
昭島ファクトリー 職人
草苅智則さん
木が持つ力と未来のための取り組み
WOOD YOU LIKE COMPANYの特徴の一つが自然の木をそのまま切り出した無垢材を使用していること。まずは家具のもととなる木材を見せていただくべく、材木置き場に案内していただきました。
当たり前のことなのですが、自分の背丈を遥かに超える高さの木材がずらりと並んだ光景に圧倒されまくり。家具について調べ始めてから実は木ってめちゃくちゃ高価なものなんだと知りまして。その上でこの空間を見ると恐ろしくてちょっと緊張します(笑)。
こんなにたくさんの木材を見るのは初めて!
切り出されたものでも、やっぱり木に触れると自然のパワーを感じますね。
保管されている木材の中には番号が振られているものも。これはどの原木から切り出したものか分かるようにするための目印で、一本の丸太から取り出した板たちのことを「共木(ともぎ)」と呼ぶんだとか。同じ産地の木でも、色や木目、硬さなどに違いがあることから、組み立てる際はできるだけ同じ原木のものを使用するようにしているそう。
ちなみにこの日の天気はあいにくの雨。木材が雨に濡れてしまっても大丈夫なのか心配していると、木材は水分を取るためにあえて水をかけて乾燥させているという意外なお話が。
もともと切った木は、数年かけて自然乾燥させるものですが、それでも15%ほど水分が残るそう。家具の材料として使用される木の水分量はだいたい10%前後。木の外側が乾燥してしまうとそれ以上中の水分が出なくなるため、わざと水をかけ、1か月ほど人工乾燥機にかけて10%にまで下げるという作業を行っているんだとか。
一見矛盾しているように思えますが、含水率を下げるためにそんな工夫がされているなんて初めて知りました。
それにしても乾燥だけでもこんなに長い年月が! そもそも木が育つまでは何十年、何百年とかかりますし、それだけ長い工程を経てここまで運ばれてきていると思うと、ますます愛着がわいてきます。
ここで使用されている木材は、チェリー、オーク、メイプル、ウォルナットの4種類。主な産地は北米ですが、草苅さんによると、将来的に国産材を使用する構想もあるそう。
「WOOD YOU LIKE COMPANYは2021年に事業承継を行い、世代交代をしたばかりの会社。先代からの“誠実で愛される家具作り”を信条としながらも、一歩踏み出して新しいことにもチャレンジしたいという気持ちがありました。
そこで目を向けたのが国産材の使用。日本は世界有数の森林国で、その森林率は先進国の中でフィンランド、スウェーデンに次ぐ第3位。しかしその割には木材自給率が低く、豊富な資源を使い切れていないのが現実。結果、製紙工場で紙にされ、安く売られてしまっているんです。
その背景には、国産材は細くて使いづらかったり、そもそも運搬に手間がかかるため外国産を使用したほうが安かったりという理由がありますが、せっかく森林資源が豊富な日本に生まれたからには、うまく活用しなくてはという思いも。そこで現在は製品化を目指し、実際に山に入り木を選ぶことから始め、いろいろと試行錯誤を続けているところです。」
と、会社全体で資源を守る取り組みに力を入れていることを教えてくれました。
国産材にまつわる課題を知ると同時に、では消費者として自分にできることはなんだろう?と考えるきっかけとなりました。
全工程を一人で担当するこだわりのもの作り
木への理解が少し深まったところで、製品を作る機械場へ。
「少人数の工場なので、使用している機械もベーシックなものばかり。今はハイテクな機械も出ているけど、うちは結構ローテクだから(笑)」と草苅さん。
驚くべきはその生産体制。効率的な分業制ではなく、一人の職人さんが最初から最後まで製作を担当。近いエリアの場合は、そのまま納品まで行うことも。それだけ聞くと大変そうに感じますが、それが作り手さんのやりがいとなり、素敵な製品を作る原動力となっているそう。
こちらでまず行われるのは、家具作りの最初の工程となる「木取り」という作業。
木材のどの部分を使うかを決め、必要な寸法より少し大きめにカットする「荒木取り」を施していきます。
ここでは今の気候に合わせて再度含水率を調整するためにしばらく木を寝かせるというひと手間が。木は刃を入れると動くため、この作業を行わないと後から木がねじれたり、反ったりすることがあるんだそう。そうやって力を一度放出させ、落ち着かせてから再び削ることで、完成した後の精度を高めてあげるんだとか。
暴れる子をいったん落ち着かせてあげる……木はまさに生き物なんですね!
機械場でさまざまな加工を施したパーツを成形、念入りに面取りを行い、いよいよ組み立て。
コンマ1ミリが仕上がりを左右する超緻密な作業の連続。磨き上げた職人技が光ります。
接合には釘を使わず、木材に角穴を空け、そこに収まるように加工した木材を差し込む「ホゾ組」と呼ばれる伝統的な工法が採用されています。手間と高い技術が必要な工法ですが、より強固に接合することができるそう。
そのこだわりは、家具の引き出しを開け閉めした時の“音”にも。動きのスムーズさ、滑り心地、すべてが綿密に計算された上で作られているため、十数年経ってもなめらかでするする動くのが特徴。実際に20年前に作ったドレッサーを見せてもらったのですが、スライドレールを使用していないのにこんなにスムーズに開くなんて。
“神は細部に宿る”といいますが、究極のもの作りの結晶なんですね。
また水で湿らせたタオルで木材を拭いてあげることで、木を毛羽立たせる作業も。このひと手間をかけることで、この後の仕上げでのかんながけがスムーズに進むそう。
そうそう、僕が気になったのは、部屋の隅に置かれた薪ストーブ。作業をする中で出た削り端はこうやって暖を取るのに利用されているんだそう。
同じように削った粉や木くずは近隣の牧場に持って行き、牛さんの寝床になるとか。その後は堆肥となり、牛のえさを育てる畑の肥料になります。
捨てるのではなく、資源を上手に活用し、循環させていく。環境を守る取り組みはこんなところでも実施されているんですね。
イス作り体験で感じたスケートとの共通点
一通り工程を見学させていただいたところで、僕も家具作りに挑戦。
この日はカッティングボードなど小物を作る体験の他、イス好きな僕のために特別にスツール作りも用意してくださっていました。スツールはこの中で一番難度が高いということですが、思い切って挑戦してみることに。
製作するのは、「ひだまりハーフ」
小型のベンチとしても使えるベンチ「ひだまり」のハーフバージョンで、デザイナーは草苅さんご自身。強度を高めるための技術「通しホゾくさび打ち」がデザインのアクセントにもなっている。
まずは予めカットしてくださっていた脚材をかんなでなめらかにしていきます。
毎日に寄り添うものだからこそ、手触りにはかなり力を入れているそう。
「無垢の木を使う会社はたくさんありますが、手触りが全然違うと言ってもらうことが多いんですよ」と草苅さん。それだけに僕も気合いが入ります。
かんな削りは習得に最低3年はかかるものだそう。
上手に削るコツは足を前後に開き、平行を意識しながら体を使って引くこと。最後は飛行機が離陸するイメージで、ふわっと浮かせるように引くのがポイント。
かんなを触るのはもちろん初めて。映像などでは見たことがありましたが、実際にやってみるとめちゃくちゃ難しい!
ちゃんとかんなに力を伝えることができていない時は自分でも分かるんです。体を使って力を伝えていくというのは普段スケートでも意識していることなんですけど、やっぱり全然違う世界。木によって木目も全然違いますし、それを見極める力も必要。職人さんの技術の素晴らしさを改めて感じます。
続いてノコギリを使い、脚と座面を接合させるための切り込みを入れたら再度かんながけ。
削る前と後では、全然手触りが違って感動!
本当につるつるになりました!
かんなをしっかりかけることによって、撥水効果も生まれるそう。
かんなは職人さんのお仕事を支える相棒のような存在。職人の皆さんはそれぞれマイかんなをお持ちで、他の人のかんなだとうまく削れないこともあるそう。それだけに皆さんこだわりがあるようで、有名な鍛冶屋さんのものを選んだり、いい砥石を選んだり。ちょっとスケート靴の世界と似ていますよね(笑)。
似てるといえば、かんながけもそう。フィギュアスケートにも氷の上に決められた図形を描くという、とても地味で……でもすごく大切な基礎練習があるんです。
このシーズンオフはその練習に地道に取り組んでいて、その成果が少しずつスケーティングやジャンプに現れてきたところ。
かんながけも同じように繊細さが求められる作業。一見単調に思えるけど、地道に続けることで完成した時のクオリティに大きな差が出る。
そして気づいたら時間を忘れて無心で取り組んでしまうような不思議な魅力もあって。この二つにはちょっと通じるものがある気がします。
そんなことを考えているうちに、僕の作業もいよいよ大詰め。
座面の裏にブランドのロゴの焼印を入れるという重要な工程。
きれいに押す秘訣は、まっすぐ押し当てた後、印鑑を押印するような感じで上下左右にまんべんなく力を込めること。
失敗できないのでめちゃくちゃ緊張しましたが、なんとか成功!
草苅さんからは「もしかしてどこかでやってました?と聞きたくなるくらい完璧!」と褒めてもらいました(笑)。
時間の関係で、残念ながら僕の作業はここまで!
後の組み立てや仕上げは草苅さんがやってくださり、僕の家まで届けてくださるそう!
完成品は記事の最後で公開しますのでお楽しみに!
愛着がめぐる家具作り
最後に見せていただいたのは、完成品やメンテナンスが必要な家具を保管する製品倉庫。
包み込まれるような木の香り、作り手さんの思いが詰まった端正な家具たち……あまりに素敵な空間に、息をするのも忘れて見入ってしまいました。
木材の段階から見せていただいている分、こうやって美しく並んでいる家具たちを見るとなんだか感慨深いです。
こちらのキュートな鳥のモチーフは、「バードソング」という樹木をイメージした洋服掛けに飾られるもの。ふっくらとした温かみのあるフォルム、肌触りはすべすべなめらか。この鳥は作る人によって微妙に個性が出るそうで、作り手さんに似る傾向があるんだとか(笑)。ハンドメイドならではの味わいがあってとっても素敵だし、玄関に置いたら毎日声をかけてしまうかも。
修繕中のアイテムには40年近く前に作られたものも。それくらいの年月が経つと、エイジングによって色合いに変化が生まれ、メンテナンスをしてあげることでさらに素敵で味わい深いカラーになっていくそう。実際にここでもひときわ存在感を放っていましたし、持ち主の方が使い込むことで、その思い出とともに魅力的に変化していくものなんだなあって。
ここにある家具たちは、作り手さんにとっては我が子のような存在。
同じ図面、同じ工程で作ったものでも、製作者ご本人が見るとちょっとしたエッジの立て方の違いなどで、自分が作ったものだと分かるんだとか。だからこうやってご自身で作った家具にまた出合えた瞬間は、自分の子どもが大きくなって帰ってきたかのような気持ちになるそう。
製品一つひとつに込められた思いを伺っているうちに、僕も見方が変わってきました。今はここにある家具たちがみんな生きているように見えます。
WOOD YOU LIKE COMPANYが目指すのは、「愛着がめぐる暮らしをつくる会社」。
そのために以前から行っていたサービスをアップデートし、メンテナンスはもちろんのこと、長く愛着持って家具を使い続けてもらえるようなアフターケアを実施しています。
たとえば過去に購入した商品をライフスタイルの変化に合わせてリメイク。思い出はそのままに、今の生活に合った形へと変身させてくれるそう。
さらに使われなくなった自社の家具を引き取り、しっかりメンテナンスをした後、次の持ち主へと引き継ぐ取り組みも。使わなくなったものをそのまま眠らせておくのではなく、ヴィンテージとして次のご家庭で愛されるようサポートしてあげるんですね。今は家具も旅する時代なんだ!
家具をめぐる愛着の輪はこんなところにも。
22年前、東京でもこんな丁寧な仕事をしている会社があるんだと憧れを抱き、この会社に入ったという草苅さん。
「自分が一から作ったものを、お客様に直接届けることができる。それがこの会社を選んだ一番の理由であり、最大のモチベーションになっています。作るものに対してさらに責任感と愛着が生まれますし、メンテナンスの際には大切に使っていただいているというのが分かってうれしくなる。お礼を言われた時には自分がお客様に価値のあるものを作ることができたという喜びでいっぱいになります。
実際に暮らしの中でどのように使われているかを見ることで、次の製品づくりに生かすこともできます。もちろん一人でやるのは大変な時もあるけど、やりがいがあるとてもいい会社なんです。」
と語る表情はとても素敵で、このお仕事への愛情と誇りを感じます。
作って終わりではなく、その先まで一緒に歩いていけるようなもの作り。愛着がめぐる暮らしというは、ここで働く職人さんからすでに始まっているんだと気づかされました。
見学を終えて……
今日の感想
―今日は本当にありがとうございました。まさか自分の手でイスを作らせていただけるなんて!
「こちらこそありがとうございました。やっぱり自分で作ったものって後々の愛着が違ってくるので、今日は思い切って難しいこともお願いしました。」
―そうですよね。僕は昔からもともとクラフトマンシップを感じられるものが好きで。最初は服から始まって、一人暮らしを始めてから家具に興味をもつようになって……。人の手がかかったものって不思議な力があるなあって今日改めて実感しました。
「そう言っていただけるとうれしいです。」
―服も家具も使う人によって美しく経年変化していくものに惹かれるんです。傷も含めて愛着がわくというか。
「わかります。以前スケボー好きのお父様がいらっしゃるご家庭にメンテナンスに伺ったことがありました。お話を聞いたところ、お父様がご自宅で練習されている最中に転んでしまい、家具にすごく傷がついてしまったと……。もちろん大変なことなんですが、そんなお話をご家族で笑いながら話している光景を見たら胸にこみあげてくるものがあって。端から見たらただの傷なんですが、その家族の間でしか共有できない大切な思い出になってるんだなって。」
―すごくいいお話ですね。家具って暮らしに根付くものだから、その人の人生まで乗せて運んでくれているような感じがします。
「それってすごいことですよね。無垢の家具というのは、丁寧に作ればお孫さんの代まで使ってもらえるものなんです。友野さんも今日作ったスツールとこれからたくさんの思い出を作ってくれたらうれしいです。」
今日は職人の皆さんの愛をたくさん感じた一日でした。家具やもの作りに対してだけでなく、木や自然、そして使う人とその未来……あらゆるものに向けられた愛情が伝わってきました。今日見たもの、聞いたもの、すべてがもの作りの本質だった。何でも手に入る時代だからこそ、こういった何にも代えがたいものの価値を大切にする人が増えてほしいです。
そして僕も連載を通して少しでもその魅力を伝えるお手伝いができたらと思いましたし、これこそが「トモノのモノ語り。」の本質のテーマなんじゃないかなって。
もの作りへの愛と尊敬の心を再確認し、いろいろなことに気づかされた学びの多い一日になりました。見学を快く受けてくださったWOOD YOU LIKE COMPANYさん、本当にありがとうございました! すっかりブランドのファンになってしまったので、次はお店にも伺うことができたらいいな!
完成したスツールがこちら!
シンプルで洗練されたルックス、木の香り、なめらかな手触り……とあらゆる感覚に訴えかけてくるスペシャルなスツール。目が合うたびに素敵な気分にさせてくれる超お気に入りの子です。スツールとしてだけでなく、サイドテーブルとして使用するなど使い勝手も抜群! すでに友野家になくてはならない大切な家族になりました。経年変化とともに世界に一つだけのオリジナルになっていくのが今から楽しみです!
最新メッセージ
このオフもたくさんのアイスショーに出演させていただき、あとは『Fantasy on Ice』静岡公演と、『ワンピース・オン・アイス』を残すのみとなりました。
出演したすべてのアイスショーでとても充実した時間を過ごすことができ、特に『氷艶hyoen 2024 -十字星のキセキ-』は新たな経験になりました。こちらについては次回以降の連載でたくさん語ることができたらなと思っています。
そしてグランプリシリーズのアサインも出ましたし、『Fantasy on Ice』が終わったらいよいよ振付に取り掛かります。例年よりは少し遅くはなるんですが、作った後はバチンと切り替えて一気にシーズンに入る予定です。全日本合宿、さらにチームの合宿もありますし、8月に入ったら試合にも出場する予定です。
アイスショーでは貴重な思い出がたくさんできましたが、やっぱりショーを重ねていくと、試合に向けて頑張りたいなという気持ちが強く芽生えたので、7月からは競技モード全開で頑張ります!
Staff Credit
語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美
Profile
2022-23シーズンは全日本選手権で初の表彰台、自らの力で世界選手権出場を果たし自己ベストを更新するなど確実な成長を示した1年に。オフシーズン中はありとあらゆるアイスショーに出演。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮。初めてキャラクターを演じた「ワンピース・オン・アイス」での熱演も各界で話題の的となった。
成長を求め自分のプライドをかけた戦いへと臨んだ今シーズン。あえて強みを封印した挑戦のフリー「Halston」は、試合を重ねるごとに輝きを増し、これまで地道に磨いてきたものが結実したプログラムに。昨年12月の全日本選手権では、芸術性を極めたフィギュアスケートの真骨頂ともいえる演技で美しく崇高な世界観を作り上げた。
その進化はアイスショーを経てさらに加速し続け、高橋大輔さんプロデュースのアイスショー『滑走屋』ではショースケーターとしての本領を発揮。さらに6月の『氷艶hyoen 2024 -十字星のキセキ-』では歌に演技にと新境地に挑み、競技の枠に留まらない真の表現者としての地位を確立した。
オフシーズンは、スケーティングの原点に立ち返り、コンパルソリーを一から学び直す姿はどんな時でも基本を重んじる実直な彼ならでは。その努力は来シーズンの4回転ジャンプで花を咲かすに違いない。エンターテイナーでありながら、その素顔は常に冷静沈着で、飽くなき探求を続ける真のアスリート。これまで何度も自分と対峙し成長を遂げてきた彼が、来るシーズン新しいプログラムとともにまた新しい壁を自らの力で乗り越えていく姿に注目したい。
Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
- #Tag
- Share