友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載「#氷艶2024 と共に過ごしたキセキの日々」【 #トモノのモノ語り。】vol.39
2024.07.01
こんにちは。フィギュアスケーターの友野一希です。
連載第39回は『氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-』スペシャル! ここでは稽古合宿から本番までの濃密な日々の思い出をたっぷり振り返ります。
出演決定までのエピソードは現在発売中のnon-no7・8月合併号でお話ししていますので、そちらと併せてお楽しみください!
氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-
6月8~11日に横浜アリーナにて開催された『氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-』に出演させていただきました。 セリフあり、歌唱ありと僕にとって初めてだらけの貴重な経験となりました!
『氷艶hyoen 2024-十字星のキセキ-』とは?
スケート×日本文化をテーマとしたアイスショーの第3弾。宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を現代版に再解釈したストーリーをゆずの楽曲にのせ、氷上に描いた壮大なエンターテインメント。スケーター、俳優やアーティストなど、異なるジャンルのプロフェッショナルの融合と、新しいフィールドでの挑戦も見どころの一つ。
物語の軸となるのはカケル、トキオ、ユキの幼馴染3人。カケルは主演の高橋大輔さんが、そしてその少年時代を友野一希さんが熱演。スケーターからは、荒川静香さん、村元哉中さん、島田高志郎さんらの他、『滑走屋』で活躍したメンバーも多数出演。
青春みたいなきらめきを放った『氷艶』での日々
前回の連載でもお話した通り、このオフシーズンもたくさんアイスショーに出演させていただきました。その後、『氷艶』が始まるまでは意外とスケートと向き合う時間を確保できまして、基礎に立ち返ったり、チームの合宿に参加したりと、みっちり練習をすることができました。
そしこうしているうちに26歳の誕生日を迎え、いよいよ新潟での稽古合宿へ。
『氷艶』と過ごす超“熱い夏”の始まりです!
稽古合宿が始まったのは5月20日。そこから公演が終わるまでの約1か月は、青春みたいにキラキラした、まさに“キセキ”のような時間でした。
同じ青春でも『滑走屋』はちょっと泥臭くて、ひたすらフィギュアスケートに向き合う時間だったんですけど、『氷艶』は新しいチャレンジもたくさんあって。
それは僕らスケーターにとっても、俳優、アーティストの皆さんにとっても同じ。お芝居、歌、スケートとお互いに助け合いながら何かを作ることがこんなに素晴らしいなんて!と改めて実感したショーになりました。
出演者の方、スタッフの皆さん……今回も周りの方に恵まれ、 スケーターとしてはもちろんのこと、人間として成長させてくれたかけがえのない1か月となりました。
合宿中の思い出と、互いに補い合うことで生まれたチームの絆
周りの人に恵まれたアイスショー
合宿が始まってからは自分も含め、色々問題が起こりまして……正直心配もありました。
でもトキオ役として新たに(大野)拓朗さんが来てくださった瞬間、「あ、これはいいショーになる」という謎の確信がありました。お会いしたばかりだったのに、それほど拓朗さんからはなにか伝わってくるものがあったんです。
稽古が始まると、朝から晩まで淡々と練習されていた拓朗さん。やったことのないスケートにもいつも「楽しい」と言いながら真剣に取り組まれている姿に、こんなに素晴らしい方って世の中に存在するんだと。
そんな拓朗さんを見て、僕らももっと歌や芝居を頑張らないといけないと刺激を受けました。
スケーターの皆さんはもちろん、今回初めて関わらせていただいたキャスト全員本当に素晴らしい方ばかり。
エハラ(マサヒロ)さんはいつもみんなを盛り上げて心を一つにしてくださった。スケートも「やってた?」ってくらいの腕前だし、歌もさすがすぎました……。
まりゑさん、エリアンナさんは歌や芝居のアドバイスはもちろん、いつも気さくに話しかけてくれて、僕の心の支えでした。
長谷川(開)さんは稽古が始まる前からボイトレでとてもお世話になっていて、たくさんアドバイスをいただきました。
その反対に僕らも空き時間にスケートを教えてあげるなどお互いに補い合い、チームの結束とショーの完成度を高めていく毎日でした。
『氷艶』には『滑走屋』のメンバーもアンサンブルスケーターとして多数出演。みんなすごく成長してて、なんならたくさん支えられました。
それをプロスケーターの(𠮷野)晃平くんや(中野)耀司くんが見守ってくれていて、頼りになりすぎる兄貴たちでした。まじ大好き!
あとは杉田明花里、占部亜由美という平池・杉田チームのメンバーと初めてショーで共演できたこともかなり熱かったです。
亜由美は『ディズニー・オン・アイス』のキャストやMCとして活躍してて、会うのは本当に久しぶり。お互い成長した姿で会えたことがとてもうれしかったです。ユキ役としても出演しているのですが、もうプロフェッショナルすぎて尊敬です。
明花里は初めてのアイスショーでもすぐみんなに馴染んでいて、「すげえ!」って見てました。 めっちゃ楽しそうに演技していて、もっとショー出てほしい!
みんな自分の持っていないものをもっていて、高め合いながら一つのショーを作り上げていく、そんな素晴らしい環境でした。
また、これだけ長い間出演者の皆さんと過ごして、しかもプロの方とご一緒することって今までなかなかなかったので、自分のいいところや悪いところにたくさん気づくこともできました。
これから引退してプロになっていく時、自分にとって必要なことが詰まった大切な時間でした。
そして絶対できていないところもいっぱいあったのに、丁寧に指導してくださり、褒めてくださった先生方、関わってくださった全ての関係者の皆様には本当に感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
「僕は表現することが心の底から大好き!」
そして今回このショーに出演して気づいたのは、自分は本当にとことん心の底から表現することがめっちゃ好きだということ。
普段はスケートを通して表現しているけど、たとえそれが歌になっても芝居になっても、何かを使って人に伝えるっていうことがすごく好きなんだって。
現に僕の好きなファッションだって、表現の一部じゃないですか。
もちろん不安だらけでしたが、『氷艶』と過ごした時間はすごくすごく楽しくて、いつも気づいたら数時間経っているくらい充実していました。 スケート以外でこれだけ熱中したのも久しぶりの感覚でした。
出演パートのエピソード
『氷艶』ではカケルの少年時代の役だけではなく、一人何役にも挑戦しました。
まずは僕が出演した冒頭の『HAMO』~『守ってあげたい』、さらに『レトロフューチャー』、『命果てるまで』、『通りゃんせ』のパートについて紹介していきます。
※ここからは物語の詳しい内容に触れています。
『HAMO』~『守ってあげたい』
物語が始まるのは、中学時代の授業シーンから。
僕と高志郎が制服姿で登場。トキオ、カケル、ユキの友情と約束を描いていく、大切なパートです。
現役ならではのスケートで魅せる場面もあり、歌あり、セリフあり、と最初から盛りだくさん。
僕らも冒頭からいきなりたくさんの初めてに挑戦。マイクを付けてトリプルアクセルを跳ぶなんてこと今までなかったですし、歌唱も披露しました。特に『守ってあげたい』は短いパートではあるのですが、僕らにとって初めて二人だけで歌うシーンということで、音程や抑揚を合わせるべく何度も練習。最初の頃なんてホテルの部屋で高志郎と5時間ぶっ通しで合わせていたことも(笑)。
熱く夢を語り合い、共に未来へ向かって進んでいくというストーリーは、今の自分たちに重なる部分もあって。このパートは高志郎とのこれまでの友情があったからこそ、より役に入り込むことができた。トキオ役が高志郎だったからこそ成功したんだと思います。
ユキ役の亜由美のことも僕は小さい頃から知っているので、そういった今までの関係性もあり、自然といい雰囲気を作ることができました。
『レトロフューチャー』
アラビアンな雰囲気の中始まる『レトロフューチャー』。
僕が出ているパートは、トキオが投資詐欺の被害にあい、絶望の淵に立たされるという場面。
4人で隊列を組んで滑るシーンがあるのですが、みんなで歩幅を合わせるのってこんなに難しいことなんだと勉強になりました。晃平くんがみんなをまとめてくれて、さすがでした。
ここでは拓朗さんを4人でボコボコにするシーンもあるのですが、本当に殴られる演技がうますぎるんです。練習中は詰め寄ったりボコボコにしたりするのをめっちゃ楽しんでたんですけど……(笑)。 ストーリーが繋がってきて通し練習や本番になってからその表情を見ていたらこっちまで胸が痛くなる感覚があって、拓朗さんの演技に引き込まれてしまいました。
そして反対側で同時進行で行われているカケルとユキの演技も見たかったぁぁあ !
『命果てるまで』
次に舞台に上がったのは第二幕。
銀河鉄道で再会したトキオとカケルはさまざまな星を訪れ旅をします。
そこで出会った一人の青年。それが今回のもう一つのメインとなる役どころでした。
パートのテーマは自己犠牲で、その青年は波で流され亡くなってしまったという設定。お芝居と歌で人の心に訴えかける大事なチャプターです。
実を言うと最初お話を伺った時点ではお芝居の部分はすべて録音だと思っていて。ほとんどが生だと知った時はもう嘘なんじゃないかと(笑)。
それまでずっと中学時代ばかり練習していたんですけど、むしろ青年のほうをやらないとやばいやんって。
彼は一見元気なんですけど背負っているものがいろいろあって。でもそれを見せないよう、全力で生きてきた青年。
その部分をお芝居でどう表現するかは一番の見せ所でもあるんですが、実はこの役、みんなから「一希にすごく合ってる」って言ってもらうことが多くて。
これまで難しいこともたくさんあったけど、ポジティブに生きている感じ。そこに重なる部分があったんじゃないかと。
だから僕もとても入りやすくて、セリフも本当に自分が話しているんじゃないかと思ったくらい。それくらいどこか通じる部分がありました。
まあ車が5人乗りだったとしても自分も乗れよとは少し思ったんですけど(笑)。僕はそれが本当の理由じゃないんじゃないかって勝手に思ってて。
他にいろいろと事情があって乗れなかったんじゃないかって僕なりに解釈してるんです。
みんなに心配をかけたくないから、ああやっておもしろおかしく言って場を和ませているんじゃないかなって。
これはあくまで僕の勝手な考えなので全然違うのかもしれないですけど、彼はどうして車に乗らずに波に流されて亡くなっちゃったんだろうって考えた時、なんとなくそう思ったんです。
そしてそんな彼の姿勢には僕自身もすごく勇気をもらって。「前向いて必死に生きろよってね!」って言って、歌い出すような熱い生き方。僕もあの胸を焦がすような気持ちをずっと忘れず、強く生きていたいなって。
終わってみて本当にこの役をいただけてよかったと思うと同時に、これは僕のカラオケの十八番が誕生した瞬間でもありました(笑)。得意な歌の方向性が見えて、これは今後の選曲にも生きるなって(笑)。
この連載でも言ってきましたが、僕、本当に歌はうまくないんです。高い音も出ないですし。
でも『命果てるまで』はそんな僕の音域に合った奇跡の曲。自分のかすれ声と絶妙なバランスでマッチして、なんとか大きなミスなくやり切ることができました。
『通りゃんせ』
そうして物語はクライマックスへとまっしぐら。ラストは車掌さんが切符を確認に来るところから始まる『通りゃんせ』。
トキオが切符を持っていないことを知った車掌さんが一気に態度を豹変させ、トキオをブラックホールの渦へと取り込もうとするのをカケルが助けるシーン。
僕は大きなフードとマントをかぶり、敵側を演じました。
このシーンは殺陣などのアクションが満載。大ちゃんは一人でたくさんの敵と対峙し駆け回るので、とても大変だったと思います。
みんなで最後まで何度も修正して時間をかけたシーンだけに、一つになった時はすごく気持ちよかったのを覚えています。
お気に入りのシーン(超一部)
自分が出演したシーン以外にも好きなところはたくさんあって。今回も全シーンすべて語れるくらいですが、ここでは超一部を紹介していきます。
まずは『表裏一体』。ユキもカケルも死んでしまい、トキオが一人泣き叫ぶシーンは毎回泣いてしまいました。しかもあれだけ人が絶望してるというのに、周りは誰もそれに気づかない。
周囲で人が踊っている描写はスマホをイメージしているものという話も。みんなが手元のスマホの世界に夢中の中、その真ん中でポツンと座り込むトキオの姿が本当にもの悲しく、現代の闇を描くようなメッセージ性の高い一幕でした。
続いてそんなシリアスなシーンから一転。ハートフルな『終わらない歌』への転換がめちゃくちゃおもしろくて。さっきのシーンとのギャップに観ている側も銀河鉄道に乗って異世界に飛び込んだような感覚になりました。
ここでトキオとカケルの二人が初めて見せる素の表情とわちゃわちゃ感、大ちゃんのアドリブパートも大好き!
そこから銀河鉄道に乗って最初に降り立つ駅で流れる『SEIMEI』は、これから旅が始まるわくわく感が詰まっていていつも胸が高まります。 まりゑさんの心に響く超かっこいい歌声で始まって、耀司くんや亜由美など、ガチで歌のうまい人がその才能を存分に発揮していて、思わずうっとり。振り付けの動きも面白くてなんか中毒性凄いんですよこの演目。
一部のラストを飾る、ハッピーでお祭り感のある『イロトリドリ』。 高志郎はさすがの表現力だし(毎回嫉妬しちゃう)リハ中も出てないのに僕と哉中ちゃんで振付を覚えて毎回踊ってたくらい大好き、僕も出たかった!
僕が初めてプロの方の歌声を聞いたのが長谷川さんなんですが、その圧倒的歌唱力が遺憾なく発揮されていて、鳥肌ものでした。
サソリ座での『奇々怪界-KIKIKAIKAI-』。この時はもう次の『命果てるまで』のために裏でスタンバイしてるんですけど、エリアンナさんの歌声を聞くといつも気合が入りました。
キッズスケーターが登場するパートはとにかく涙なしでは見られないですし、『スマイル』なんかもうずるいだろって。毎回涙ぐんでしまいます。
そしてラストはやっぱりゆずさんのパワーに圧倒されっぱなし。ゆずさんの歌で滑る喜びに感動しながらみんなで踊り散らかす『ビューティフル』は最高です。ここの衣装もかっこいい!
当然ですが、このショーを通してゆずさんの大ファンに。キャストのみんなもゆずさんしか聴いてなかったと思います(笑)。本当に歌とストーリーの親和性が高くて、今でも聴くとすぐそのシーンが呼び起こされます。
大ちゃんの存在
『滑走屋』の時も、僕たちが頑張れたのは大ちゃんがいてこそだと話しましたが、それはより規模が大きく、たくさんの方が関わるショーとなっても変わりません。
大ちゃんは常に周りに気を遣ってくださる方。稽古中はもちろんのこと、それ以外の時間でもみんなをごはんに誘ってくれたり。そのとても温かい人柄に今回もたくさん助けられました。
実は大ちゃんと一緒にお芝居をしたり歌ったりするのは最初はちょっと照れくさかったんです。だけどやっているうちに、どんどん楽しくなって、この贅沢な機会を楽しむように。
『命果てるまで』で大ちゃん、拓朗さんを差し置いて僕が一人で歌い出すなんて、本当にまさかでしたが、「でも二人がいるから大丈夫、大ちゃんと拓朗さん、最強だろ」という気持ちで乗り切ることができました。
今回の共演を経て、「もう一生ついていきます」という気持ちが増しました。関われば関わるほど、どんどん好きになっていく、本当に不思議な方だなあって。
そうだ、常にかっこいい方ですけど、毎回めっちゃ泣いていたのがおもしろくて(笑)。僕も『命果てるまで』で涙を流しながら歌う時もありましたが、大ちゃんは入り込み方がとんでもなかった。
僕もああいう人になりたいと改めて思いましたし、昔も今もこの先も、ずっとずっと大ちゃんの背中を見て頑張る日々です。いつも感謝しています。本当にありがとうございます。
演じることへの思いと、『滑走屋』、『氷艶』での日々を振り返って
お芝居については、以前から結構ガチでやってみたいという気持ちがありました。実際にやってみた感想は、とにかく楽しかった。だから、またやってみたいかと聞かれたら、もちろんYESです。
本気でやるとなったら楽しいだけじゃいられないと思いますけど、いつかは大好きなミュージカルにも挑戦してみたいです。
ただ今回に関しては自分をどう評価したらいいかちょっと分からなくて。周りにたくさん褒めていただいたということ自体は誇っていいと思います。
でも。
僕はまだ演じることに関しては、何が正解なのか明確に分かってない。何も分からないまま必死に食らいついて全力を出し切っただけ。スケートと同じように今後その本質に触れて初めて分かるものなんじゃないかなと思います。
それにしてもこの4か月で『滑走屋』をやって、『氷艶』をやって……ものすごく幸せな時間でしたね。エンターテインメントの最先端に触れて、自分は今、本当にすごいところに立っているんだなって。
同時に間近で大ちゃんや荒川さんを見たことで、あのステージに立つために自分に必要なのは、今目の前のステージに全力で上がること、つまり競技者として全力でやり抜く力が必要なんだと痛感しました。だからこそ、今はオリンピックまで本気でスケートと向き合っていきたい。そんないろいろな感情が僕の中でうごめいた大切な4か月でした。
この後の友野さんの日々は「トモノのモノ語り。」vol.38の後半で !
高橋大輔さんとのロング対談はnon-no7・8月合併号で!
Staff Credit
語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美 写真/友野さん提供、(C)『氷艶hyoen2024 -十字星のキセキ-』
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Profile
2022-23シーズンは全日本選手権で初の表彰台、自らの力で世界選手権出場を果たし自己ベストを更新するなど確実な成長を示した1年に。オフシーズン中はありとあらゆるアイスショーに出演。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮。初めてキャラクターを演じた「ワンピース・オン・アイス」での熱演も各界で話題の的となった。
成長を求め自分のプライドをかけた戦いへと臨んだ2023-24シーズン。あえて強みを封印した挑戦のフリー「Halston」は、試合を重ねるごとに輝きを増し、これまで地道に磨いてきたものが結実したプログラムに。昨年12月の全日本選手権では、芸術性を極めたフィギュアスケートの真骨頂ともいえる演技で美しく崇高な世界観を作り上げた。
その進化はアイスショーを経てさらに加速し続け、高橋大輔さんプロデュースのアイスショー『滑走屋』ではショースケーターとしての本領を発揮。さらに6月の『氷艶hyoen 2024 -十字星のキセキ-』では歌に演技にと新境地に挑み、競技の枠に留まらない真の表現者としての地位を確立。そうかと思えば翌週の『Fantasy on Ice』では大人のムード満載のプログラムをこなれ感たっぷりに披露するなど、そのステージ一瞬一瞬で眩い輝きを放ち、圧倒的吸引力で観客の心をつかんで離さない。
オフシーズンは、スケーティングの原点に立ち返り、コンパルソリーを一から学び直す姿はどんな時でも基本を重んじる実直な彼ならでは。エンターテイナーでありながら、その素顔は常に冷静沈着で、飽くなき探求を続ける真のアスリート。これまで何度も自分と対峙し成長を遂げてきた彼が、新しい振付師とともに作った珠玉のプログラムとともにまた新しい壁を自らの力で乗り越えていく姿に今シーズンも注目したい。
Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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