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【友野一希選手独占インタビュー】「僕は諦めたことがない」努力と覚悟の先に切り拓いた新しいステージ。輝きを放ったシーズンを振り返る【フィギュアスケート男子】
“ベテランと言われる年齢になったけど、今スケートがとても楽しい”。そう話すのは、今シーズン極上の演技で自己ベストを何度も更新し、メダル争いに食い込む選手へと成長を遂げた友野一希選手。
権威ある四大陸選手権で初のメダルを獲得し、世界選手権でも存在感を見せつけ勢いに乗る彼に独占インタビューを敢行。
アイスショーを終え、大阪に戻られたばかりの4月。拠点の浪速アイススケート場にお邪魔して貴重なお話を伺った。
友野一希の「トモノのモノ語り。」
友野一希連載【 #トモノのモノ語り。】vol.10「僕の愛するアウターの名品とNHK杯」<フィギュアスケート男子>
2022.12.06 更新日:2023.12.22
vol.10 僕の愛するアウターの名品
こんにちは、フィギュアスケーターの友野一希です。
僕の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載、記念すべき第10回目です。
すっかり寒くなったので今回は、それぞれタイプの違う2つの相棒アウターをご紹介。
後半ではグランプリシリーズ NHK杯を終えた感想に、みなさんからのお悩みにお答えする「お気楽お悩み相談室」も。ぜひ最後まで読んでくださいね!
【1】ユニクロ(UNIQLO)のフリースジャケットが最強!
この連載ではこれまで古着や、名品と言われるものをたくさん紹介してきましたが、今日は定番のド真ん中でいきたいと思います。
それがこのユニクロのフリース!
今までいいものを買ったりもしてきたんですけど、これまで買った中で一番満足してるのって何?って聞かれた時に、真っ先にこれ!って答えられるのがこの「フリースフルジップジャケット」。
いつもこれ着てるなって思われるくらいずっと着てるんで、もうこれは紹介せざるを得ないと思って(笑)。
買ったのは去年、海外試合後の隔離期間中のこと。ちょうど寒くなってきて何かはおれるものが欲しいなと思ってた時に、ばたさん(川畑和愛選手)が着てるのを見て「めっちゃいいな!」って思ったのがきっかけです。
すぐに欲しかったのでオンラインで購入して、そこからもう1年間、こればっかり。試合の時はもうこれしか着てないくらい(笑)。
ユニクロのフリースの魅力とは?
今回このフリースを紹介したいなと思ったのは、どこでも購入できて、男女問わず誰でも着られるから。
種類も豊富ですが、僕が着ているのは目が詰まったフルジップの一番ベーシックなモデル。もこもこタイプもあるけど、毛足の短いこのモデルの方が僕は好きかな。
Mサイズでちょっと大きめに着て、ジップは閉めて、立ち襟で着るのが今の気分。
ユニクロのフリースは、毎年改良を重ねて進化しているので、比べながら着るのも楽しい!
僕のは去年のモデルなので、腕の部分のラインは縦になっているんですが、今シーズンのものはラグランスリーブになっていて腕周りが動かしやすい仕様に。生地も肉厚で、ゆったりしたシルエットにアップデート。
よりファッショナブルに着ることができそうで、なんなら今年のも買おうか迷っているほど。
私服ではこのフリースを中に着て、上からアウターをはおってお出かけ。
フルジップなのでかっこいいし、軍パンやフレアのスラックスをはいて、足元を革靴にしてあげればコーデが締まります。
フリースは他にも持ってるんですけど、価格も安いし、いつでも気兼ねなく着られることに関してはユニクロのフリースが最強。
気に入りすぎてスケーター仲間にも布教中!
人にもめっちゃ宣伝してて、(鍵山)優真くんにおすすめしたら、すぐに「ネイビーを買いましたー」って報告をくれて、おそろいになりました(笑)。(須本)光希と買い物に行った時も、「迷ったらとりあえずこれ買っとけ」ってアドバイスをして。だからスケーターの所持率、かなり高めだと思います。
一番使いやすいのは黒かなと思ったけど、マスタードとかカラバリが豊富なのも魅力。
何回も洗っているうちにいい感じになってきて愛着もわいてきたというか、とにかく可愛くて仕方ないフリース。
12月に入って一気に寒くなりましたが、このあったかフリースで一緒に冬を乗り越えていきましょう~☺︎
【2】一緒に成長できる「バブアー(Barbour)」のコート
今はアメカジがトレンドということもあって、最近はずっとカジュアルなコーデが多かったんですけど、僕はもともとブリティッシュなスタイルも好き。
というわけで二着目は、昨年買った英国生まれのスタイリッシュなコートを。
今回はきっと、見てくださってる方も結構好みなんじゃないですかね?(笑)
それが英国王室御用達ブランド、バブアーのロングコート。
バブアーは1894年にイングランドの港町で誕生した歴史あるブランドで、もともとは悪天候の中働く人たちのために、ワックスを染み込ませて耐水性を高めたジャケットを提供したのが始まり。
その後はイギリス上流階級のアウトドアブランドとして愛されるようになり、ブランドの代表作であるフィールドジャケットは、あのエリザベス女王の愛用品としても有名。そして今ではおしゃれなタウンユースアイテムとして、ファッション好きの間で大人気なコートなんです。
これはフィールドジャケットのロング丈バージョンで「ボーダー」と呼ばれるモデル。ショート丈のものも欲しかったんですけど、一着目は大人っぽく着られるロング丈を選びました。
僕は長く使えるアイテムが好きなんですが、これも経年変化を楽しむ“育てるコート”。
僕も一から育ててみたいなと思い、1月の四大陸選手権が終わった後、ご褒美に買ったもの。
これを着る時はオールブラックで大人っぽく。もちろんパーカに合わせればカジュアルにもいける、万能コート。
撥水性に優れているのでレインコートとしても着られるし、別売りのライナーを付ければ防寒性もアップ。ユニクロのフリースの上でもいいし、何に合わせてもはおるだけできまるので、めっちゃいい買い物したなって今でも思います。
コーデュロイの襟を見せて着るのもいいけど、僕はボタンを留めて襟を立てて着るのがめっちゃ好き。首元が開いてるより、詰まっているほうが自分に似合うってのもあるし、スタイリッシュで大人っぽくなるので。
ワックスジャケットなのでオイルが付かないよう、電車の中では脱いで、裏にして畳んで乗るのが鉄則。裏地はイギリスらしいチェック柄で可愛いんですよ。もちろんお手入れが簡単なノンワックスタイプもあるのでお好みで。
やっぱり伝統的なものって好き嫌いがあまりないし、長く受け継がれてきたよさがある。
種類もサイズ展開も豊富なので、自分に似合うものを探す楽しみもあるし、僕ももうちょっとオトナになったら他のタイプも着たいな、なんて考えてたり。
きっと一度着なくなったとしても5年後とかに、「やっぱいいな」ってなると思うし、僕はこれからも長く愛用できて、ともに成長できるコートを選んでいきたいなと思います。
おまけ:冬の足元はブランドストーン(Blundstone)のブーツ!
冬の足元はだいたいブーツ。
バブアーのコートとも好相性なブランドストーンのブーツは、 雨の日にも大活躍。
試合に行く時もだいたいはいてて、もはや旅のおとも的存在。
夏がカジュアルだった分、この冬はこのコートにブランドストーンのブーツで大人っぽくかちっときめるのもいいかな?
先日札幌で開催されたグランプリシリーズ NHK杯では、4回転ジャンプにミスがあったものの、得意のスピン、ステップ、トリプルアクセルなど、これまで磨いてきた技術を存分に披露。4位と惜しくも表彰台には届かなかったものの、これまでの努力が点数に反映されたことで、自信を手にした意義ある大会に。今回も試合の感想からエキシビション後に起こったサプライズ、さらに大会後の夜のお散歩など、ボリュームたっぷりでお届けします。
グランプリシリーズ NHK杯を終えて
“自分はちゃんとうまくなっていってるんだなと実感できたGPシリーズ”
振り返ってみれば最初のフランス大会で3位だった時点で(グランプリ)ファイナルは厳しくて。進出するには、条件付きの2位か、1位を取るしかないという状況。だから今回のNHK杯はよくも悪くも思い切って臨めたんです。
結果的には4回転ジャンプに苦しめられ、自分の苦手なところが出てしまった試合ではあったんですけど。これまでしっかり取り組んできた自分の武器であるスピン、ステップ、4回転以外のジャンプはしっかり決めることができて。ミスがあっても点数が残ったことで、本当に成長したなと実感できた大会となりました。
全日本選手権に向けた4回転ジャンプの課題は?
僕は4回転への苦手意識があるわけじゃないですけど、他の選手に比べたら確率的にもまだまだなので、そこが課題。
今回はショート、フリーともにサルコーのミスが目立ちましたけど、普段の練習では逆で、トーループのほうがよくないんですよね。
1本目のジャンプがトーループなので、そこに意識がいってしまい、普段なら跳べるはずの次のサルコーまで集中力が続かなかった。集中力の比率を誤ったというか、要はトーループにとらわれすぎていたんです。
これは今までもよくあったパターンで、ずっと向き合ってきたんですけど、やっぱり苦しめられてしまいました。でも原因が分かっているので、どんな時でも2本目の4回転サルコーが跳べるよう、全日本選手権までしっかり練習していけたらと思います。
これからは「僕はやれば戦える」という気持ちで試合に臨む
悔しさはあれど、自分はちゃんとうまくなっていってると実感できたグランプリシリーズだったかな。
ここまでを振り返ってみて、今季は下の点(演技構成点)など、自分に自信がもてるような評価がされてきたので、これからは「僕はやれば戦える」という気持ちで試合に臨んでいく。
今までの自分に足りなかったのは自信。弱さではなく、これからは自分の強さに目を向けていこうと、NHK杯を終えてそう決意しました。
「MIYAVIさんに見ていただくのが目標だった」念願叶ったエキシビション。
今シーズンのエキシビションはMIYAVIさんの「WHAT’S MY NAME?」。
実はこれをMIYAVIさんに見ていただくことが今回のエキシビションの最大の目標でもあったんです。
プログラムを作った当初、振付の(佐藤)操先生と「MIYAVIさんに届くように頑張ろう」と話をしてたんですけど、僕、それがこのNHK杯だろうというのをなんとなく感じてて。
たくさんメディアの報道がある大会ですし、どう考えてもここだろうと。
なのでより気合が入って、当日はお客さんはもちろんですけど、MIYAVIさんに見てもらうつもりでやってたんです。
フランス大会後には「力尽きるくらいがロック」と話してましたが、今回も終わったらもうばたんきゅう。そのままホテルでぶっ倒れてて。
ありがとうございます‼︎ https://t.co/I4lZIcYD5l
— Kazuki Tomono (24)? (@naniwatomono) November 20, 2022
仮眠から目覚めてTwitterを見たら「MIYAVIさんが反応してくれてる」というツイートが並んでいて、ほんとに驚きました。
もともと見ていただくつもりでやっていたはずなんですが、実際に知っていただいたとなると、恥ずかしい気持ちと、ロックを極めてらっしゃる方に失礼がないかなという気持ちがわいてきて……。
でもMIYAVIさんがTwitterで「かっこいいね」と言ってくださっているのを見て、なんかもうこれ以上嬉しいことはないなって。
ここまで命を削ってやってきて本当によかったなと思いました。
サウナにラーメン……草太と札幌の街を深夜散歩
NHK杯では札幌グルメを満喫。ホテルのごはんもおいしくて(山本)草太と毎日お寿司を食べてました。
大会後は草太とぱーっと打ち上げしに、札幌のサウナに。ととのった後は、そのまま札幌の有名店「けやき」で味噌ラーメン。
ここは7年前の全日本選手権でも草太や光希とかと一緒に行ったお店。そんな思い出もあって、あれから俺らも大きくなったしまた行くか!と深夜ラーメンを二人でかましてきました。
ただ草太はバンケットでお腹いっぱいで、一口二口食べたくらいで早々にギブアップ。ほぼほぼ僕が食べることになり、「もうなんなんだおまえ」って思いましたね(笑)。その前には草太のリクエストで商店街に売ってたチュロスも食べてましたし(笑)。
しっかり寝た翌日は空港で豚丼を食べて帰宅。最後までおいしいごはんを堪能しました。
■ Next「トモノのモノ語り。」
次戦はいよいよ友野選手の地元・大阪にて開催される全日本選手権(12月21日(水)~25日(日))。メダル獲得に燃える友野選手の意気込みをお届けするべく、次回は特別編として競技に関する内容をインタビュー形式で掲載予定。 こちらもお見逃しなく!
本当にたくさんのお悩みを送っていただきありがとうございました!
みなさんのお悩みを一緒に考えることで、自分を見つめ直すことにもつながるし、発見や学びがあって、僕も勉強になります。
今回は意外にもとても多かった、息子さんやお孫さんとの付き合い方について、僕なりにお答えできればと思います。
でもいつも見守ってくれている、そんな安心感がありました。
スケートに対してもそうで、成績がよかった日も悪かった日も、いつも同じように「おつかれさま、おかえり」って迎えてくれて。適度な距離感で、陰ながら応援してくれるのがありがたかったです。
いちいち何でも聞かれたり、あれしなさい、これしなさいとかって言われたりすると、自分て信用されてないんだなと思っちゃう。
僕だって学校のことを両親に話したりはしませんでしたし、息子さんにも時には自分の中だけで留めておきたいこともあると思います。だから全部を把握しようとせず、ちょうどよい距離を取って見守っていただけたらと思います。
かなり複雑な家庭ではない限り、母親を嫌いってことはないと思うし、なんなら息子さんはお母さんのことめちゃくちゃ大好きだと思うので。
いろいろ話してほしいという気持ちの根底には、心配という気持ちがあると思います。だから超えてはいけないラインを自分の中で決めておいて、そこを息子さんが超えてしまいそうな時はしっかり話してあげるというのはどうでしょうか。
特に思春期っていろいろな誘惑があると思いますし。
僕の父親と母親は僕がどんな風に決めても、どんな結果になっても決して否定せず、いつも肯定してくれて。一人の人間として見てくれてるんだなと感じることが多かったんですね。
反抗期って、子どもにとっては自分の自由を勝ち取ろうとする戦いなんです。だから変に干渉しすぎず、尊重してあげることでよい関係性が築けるんじゃないかなと思います。
語り/友野一希 企画・構成/轟木愛美
※いただいたお悩みは掲載にあたり、内容をそのままに文章の一部を短く修正している場合がございます
Profile
フィギュアスケート選手 |
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。上野芝スケートクラブ所属。
趣味は古着屋巡り、サウナ。
“浪速のエンターテイナー”の異名をもつ、表現力豊かな唯一無二のスケーター。
層の厚い日本男子の中で、地道に積み重ねてきた努力が先シーズン開花。四大陸選手権2位、世界選手権では世界歴代6位の記録でショート3位につける大躍進を遂げ、今後ますますの活躍が期待される選手。
▶詳しいプロフィール&これまでの活躍はこちら
Interview
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フィギュアスケーター友野一希連載・2022-2023シーズン開幕インタビュー!【 #トモノのモノ語り。】vol.4<フィギュアスケート男子>
フィギュアスケーター友野一希選手の好きなことや、お気に入りのアイテムについて紹介する連載がスタート! 最近買ったもの、気になっていることのほか、競技に関することや、近況などを貴重なオフショットとともに報告! 第4回は特別編として、2022-2023シーズン開幕インタビューをお届けします!
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【友野一希選手インタビュー】最近のファッション事情から、ハマっていること、 私服コーデも公開!【フィギュアスケート男子】
趣味は古着屋さん巡りや革靴を愛でること。フィギュアスケート界きってのファッショニスタで知られる友野選手の最近のお買い物事情からファッションのこだわり、さらには最近ハマっていることについてたっぷり聞いてみました! こだわりの詰まった私服コーデも公開!
Kazuki Tomono 友野一希
フィギュアスケーター
1998年5月15日生まれ、大阪府堺市出身。
2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指す男子シングル日本代表。感情をスケートにのせ、観客の心まで躍らせるHappyな演技で世界を熱狂させる愛されスケーター。
古着、サウナ、インテリアショップ巡りなど多彩な趣味をもつ26歳。実直な人柄、好きなことに対する探究心など、近年は競技以外で見せる魅力にも注目が集まる。
表現の名手であり、オフシーズンはアイスショーに引っ張りだこ。各ショーの特性に合わせた多彩なパフォーマンスでエンターテイナーぶりを発揮している。
新シーズンは「競技者としてより高みへ」をテーマに練習に励む日々。今季のフリープログラムは『Butterfly』。さなぎが蝶へと変化するように、彼もまた、圧倒的変化を求め日々成長中。その美しき進化に出会える日はもうすぐそこだ。
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