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馬場ふみかのために金原ひとみが短編を寄稿。夢企画の裏側はコチラ!【馬場ふみかのふみかける】

馬場ふみかのふみかける FUMI×

発売中のノンノ4月号、ふみかの連載ページで10代から憧れ続けた小説家がふみかをイメージして短編を寄稿。ひりひりするほど息苦しい、リアルな愛の物語に早くも話題集中! ウェブ限定で、2人の対談をお届けします!

金原ひとみ ≪ 書籍情報 ≫

小説家

 

『蛇にピアス』ですばる文学賞、芥川賞を受賞。『TRIP TRAP』で織田作之助賞、『マザーズ』でドゥマゴ文学賞を受賞。十九歳でデビューしてから現在に至るまで、歪んだ感情や苛烈な人間像を淡々とした筆致で描きながら、人の生きづらさに寄り添い続ける。

 

馬場ふみかと金原ひとみさん(小説家)のオフショット

 

――  ふみかがずっと「"会いたい"の最上級の人」だと語っていた金原ひとみさんとのコラボレーションがようやく実現しました。

 

ふみか 今回は、連載のために小説を書き下ろしていただいて、本当にありがとうございました! もう「私だけのもの! 誰にも渡さない!」っていう感じです。

 

金原 あはは、進呈します(笑)。

 

ふみか 金原さんの小説との出会いは、中学生のときに読んだ『蛇にピアス』。当時けっこう病んでいたので、『蛇にピアス』を読んで「私みたいな人間もいていいんだ」って救われました。『ハイドラ』も大好きな作品! 主人公と同じモデルの仕事をしているからか、今も定期的に読みたくなって手に取る1冊なんです。

 

金原 ありがたいです。

 

ふみか ノンノのファッションスナップでバッグの中に入っているものを公開するときは、ほぼ毎回金原さんの小説が入っていて(笑)。「ずっと『好きです』って言いつづけていたら、どこかで誰かの目にとまるかな?」というかすかな期待を込めていたんですけど、まさかご本人に書き下ろしてもらえる日が来るなんて……あー、どうしよう!(緊張)

 

 

――  物語は、元彼女を呼び出し、つき合っていた彼女に振られた話をしている男性のセリフから始まります。このシチュエーションは、どのようにして生まれたのですか?

 

金原 別れたカップルがひさびさに再会して、しんみりしている場面をシチュエーションとして使いたい、という設定が先にありました。ちょうど知り合いからそういうエピソードを聞いた時期でもあったので。男性のほうは彼女に振られたばっかりだったり、話を聞いている女性のほうは目の前にいる男性に昔振られていたり、そういうちょっと込み入った三角関係を短い文章の中に凝縮できないかなと思って書き始めました。

 

ふみか 金原さんの作品って、主要人物として3人の男女が登場することが多いですよね。だから、この『退色』も、読み始めてすぐ「私の大好きな男女3人の話だ!」ってテンションが上がりました。

 

 

――  ふみかは、金原さんの小説のどんなところに魅力を感じる?

 

ふみか 金原さんの書かれる文章は、私の中にサラサラサラ~っと入ってくるんです。読みにくくて一生進まない……みたいな本もあるのに。

 

金原 私の文章は、よく「風景とか物の描写がまったくない」って言われるんです。登場人物の見た目に関しても、そこまで書かないし。感情やセリフがメインになっているので、それがダメっていう人もいると思うんですけど、ある種の人にとっては読みやすさにつながっているのかも。

 

ふみか このお話も、話している男女がどこにいるのかは書かれてないですもんね。ピスタチオを食べているから、「夜にバーでお酒を飲んでるのかな?」って想像していたんですけど。

 

金原 夜の設定ではあるんですけど、場所は私の中では男性の家なんです。

 

ふみか えーっ!

 

金原 このふたり、宅飲みしているんですよ(笑)。女性は、自分を捨てた男性に呼ばれて、彼の部屋に行っているんです。食えない男ですよね。「お前、自分が捨てた元カノをどういうつもりで呼び出してるんだよ」みたいな。だけど、女性は行ってしまう。「恋愛してるやつらって、どうしようもねえなぁ」っていう気持ちにさせますよね。でも、ふたりのいる場所がバーだとしても雰囲気は出るし、関係性や年齢層をできるだけフラットに書いたつもりなので、自由に想像しながら読んでもらいたいと思ってました。

 

 

――  小説の中に出てくる「ピスタチオはテコの原理で簡単に割れる」というのは、実体験からくるエピソードですか?

 

金原 そうなんです(笑)。フランスに住んでいたとき、子どもの友だちのお母さんとなぜかピスタチオを食べる機会があって、私が開けるのに苦戦していたら、お母さんが「こうやるのよ!」って教えてくれたんです。それ以来、人とピスタチオを食べるときは自慢げに教えています(笑)。

 

ふみか そうなんですね、印象的なシーンです。私もこれからやってみようと思います(笑)。

 

「馬場ふみかのふみかける」メインカット

(上)すべて/スタイリスト私物 (下)ピアス¥2300/サンポークリエイト(mimi 33) トップス/スタイリスト私物

 

――  ふみかから金原さんに執筆をオファーする際、小説のキーワードとして「量産型女子」、という言葉を挙げたと伺いました。

 

ふみか あるとき、ふと街を歩いていて、同じようなファッションの子と何人かすれちがったことがきっかけで「量産型女子」を題材にした小説はどうだろうと思いました。何よりそういう普通の女子が出てくる金原さんの小説を私自身が読んでみたいなって。

 

金原 まわりからは「自分がない」と思われてしまいそうな女子たちですよね。たとえば好きな人と一緒にいればいるほど相手の好きな服を着るようになっていき、髪の色も変えちゃったり、メンタルも影響されていったり……みたいな。『退色』は男の子のほうが彼女に染まっている設定だけど、気づかないうちに自分が捨てた彼女も変わっていたんだなって気づく瞬間もあったりして。キーワードをもらって、そういう恋愛している人ならではの弱さと柔軟さを表現したいなと思いました。

 

ふみか つい相手を染めること、ありますよね。私も「服、それじゃなくない?」とか言っちゃうタイプです(笑)。

 

金原 わかります(笑)。相手の色に染まったら染まったで、別れたらだんだんもとの色にも戻っていくのか、また別の人の色に染まっていくのかって想像するのも苦しかったり。さらに染めた側も、染めたぶんだけ相手の色が入ってきていたということもあると思うんですよね。おたがいに少しずつ自分の中から相手の色が抜けていく瞬間を描きたかったんです。

 

 

――  金原さんは、ふみかに対してどんな印象をお持ちでしたか?

 

金原 なんとなくガーリーなイメージがあったんですけど、ドラマ『深夜のダメ恋図鑑』を見ていたときに「意外とポップな方なのかな?」っていうキャラの振り幅を感じました。だから、最初は馬場さんが男性を捨てたほうの女性のイメージで書いていったんです。ドロドロせずに、「ごめん、気持ち変わっちゃった」ってサクッと振る感じ(笑)。

 

ふみか そういうところ……あるかもしれないです。

 

 

――  小説をもとに撮影したビジュアルをご覧になった感想は?

 

金原 「どんな写真ができあがるのかな?」って楽しみにしていたんですけど、まさかふたりいるバージョンが見られるなんて! 感無量です。自分の頭の中だけでやっていることがビジュアル化されるって、すごい経験です。しかも、こんなにきれいに。ファッション誌ってすごいなぁって思いました。

 

ふみか 今年のお正月に髪の色を明るくしていたので、明るいときと黒いときで2回撮ろうということになったんです。

 

金原 最高じゃない!

 

ふみか わ~、よかった~!(拍手)どっちがどっちの女性に見えてもいいかなって思ったんです。

 

金原 たしかに。でも、私はパッと見で、下のふみかちゃんが捨てたほうの彼女かなって思いました。

 

ふみか はい! 私もそのつもりで撮影に臨んだんです。伝わって、よかったー! 普通に見たら、ピンクの髪色の女の子のほうが強そうなビジュアルだから捨てたほうって思うかもしれないけど、そうじゃないよなって。

 

金原 そうじゃないんですよ(笑)。絶対、下の黒髪の女の子のほうがしたたかだよって。

 

ふみか ですよね(笑)。

 

 

――  金原さんは、ふだんどんなふうに執筆されるんですか?

 

金原 家に閉じこもるか、カフェに行くか、深夜はファミレスに行くみたいな感じで、孤独に書いています。基本、お酒を飲みながら。締め切りが迫っているときは、お酒を飲むほうに勢いがつかないようにアルコール度数5~7%の間を選んでいるんですけど(笑)。

 

ふみか 私もお酒が好きで、先日も友だちと飲みながら仕事の話で熱くなって泣いたりしました(笑)。

 

金原 飲んで泣いては、すごいデトックスになりますからね。私も、めちゃめちゃ泣きますよ。去年末『カウントダウン・ジャパン』に行って、10-FEETの『蜃気楼』が始まった瞬間になぜか涙がだーって出てきて、それ以来ずっと涙腺が緩みっぱなしで事あるごとに泣いてます。

 

ふみか わかります。友だちに歌がうまい子がいて、飲みながらカラオケで歌ってくれるんですけど、いつもその子の歌を聴きながら泣いてしまいます。それ、まさに『デトックスの会』って呼んでいるんですけど。

 

金原 へぇ~、どのあたりの曲でグッときますか?

 

ふみか 泣きでハマっているのは、Official髭男dismの『相思相愛』。全然相思相愛じゃない、とっても未練たらしい男の人の曲なんですけど。

 

金原 女々しい男の曲っていいですよね。私も女々しい歌が好きで、カラオケでは女々しい曲くくりにしたりします。クリープハイプとかMy Hair is Badは鉄板ですね。その『デトックスの会』、ぜひ今度私も入れて下さい!

 

ふみか えーっ、いいんですか!? うれしすぎて、余計泣いちゃいそうです(笑)。

 

 

2020年4月号掲載

 


小説『退色』

2月20日発売の

ノンノ4月号でCHECK!

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