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フィギュアスケート
2019.12.05更新日:2020.12.23
お互いを称え合い、ときにはよきライバルとしてフィギュアスケートのレベルを押し上げ、その歴史を更新し続けてきた二人。
シーズン前半の大舞台。今年はトリノで開催されるグランプリファイナル。アメリカのネイサン・チェン選手にとっては3連覇、ケガにより3大会ぶりの出場となる羽生結弦選手にとっては、5度目の王者の座をかけた重要な一戦となる。
二人の直接対決は2019年3月に開かれた埼玉での世界選手権以来、約9か月ぶり。全世界が注目した、会場のさいたまスーパーアリーナが燃えつくされるほどの熱い戦いをおさらい。
2019年3月 世界選手権(さいたま)
羽生 |
総合:300.97 |
SP:94.87 |
FS:206.10 |
ネイサン |
総合:323.42 |
SP:107.40 |
FS:216.02 |
グランプリシリーズのロステレコム杯で足を痛め、グランプリファイナルを欠場することになった羽生。ネイサンとの直接対決は平昌オリンピック以来1年ぶり。
ネイサンは大学に進学し、学業との両立を図りながらも、2017-2018のオリンピックシーズンに続いて、出場したすべての試合で優勝し、シーズン最後の試合に臨むことになった。
大会前の公式練習中から観客が会場を埋め尽くす中、始まったショートプログラム。羽生は過去に満点の出来栄えを獲得したこともある得意の4回転サルコーが2回転となり、必要要素を満たせずノーカウントに。
ネイサンは、ショートで2本高難度の4回転ジャンプを組み込み、さらにそれぞれのジャンプに加点が高くついた。 結果、ネイサンは首位、羽生は3位で、ネイサンとの点差は12.53と10点以上離された。
追う立場で迎えた羽生のフリープログラム。練習で苦戦していた4回転ループを本番で完璧に決めるという、持ち前の勝負強さを発揮。ルール改正後初となる300点超えで世界最高得点を更新。堂々たる演技で、オリンピック王者としての強さを見せつけた。
羽生が世界最高得点を出した直後の興奮冷めやらぬリンクにネイサンが現れると、リンクはただならぬ緊張感に満ちた。演技が始まると、ネイサンは高難度の4回転ジャンプを次々と決めてみせ、フリーの最高得点をすぐさま更新。総合得点でも323.42点という異次元のパフォーマンスを見せ、ネイサンが世界選手権2連覇を達成した。
羽生とネイサンが分単位で世界最高記録を更新するという、歴史的な瞬間に居合わせた観客たちは大熱狂。スーパースター同士の非常にハイレベルな戦いに、世界中が称賛を送った。
敗れた羽生は、ショート・フリー共にノーミスの演技と、得点源になるジャンプを増やすことで、次のシーズンでのリベンジを固く誓った。
実は二人の氷上での戦いの歴史は、2017年の世界国別対抗戦を除き、過去7大会。3年前、日本で二人が初めて共に出場した試合から二人の戦いを振り返ってみよう。
2016年11月 グランプリシリーズNHK杯
羽生 |
総合:301.47 |
SP:103.89 |
FS:197.58 |
ネイサン |
総合:268.91 |
SP:87.94 |
FS:180.97 |
羽生21歳でシニア7年目のシーズン。前年に続き優勝を目指す羽生は、ショート、フリー共にミスを最小限に抑え、ショートでは一人だけ100点超え、総合でも当時世界最高得点をたたき出した。結果は羽生が2位のネイサンに30点以上の差をつけ優勝した。
17歳のネイサンにとってシニアデビューとなったシーズンで、グランプリシリーズ初参戦。ショート、フリー共に4回転ルッツから始まる高難度の構成で挑み、ジャンプのミスはありながらも高得点を獲得した。
2016年12月 グランプリファイナル(マルセイユ)
羽生 |
総合:293.90 |
SP:106.53 |
FS:187.37 |
ネイサン |
総合:282.85 |
SP:85.30 |
FS:197.55 |
シニア1年目ながら、グランプリシリーズの成績上位6人しか進出できないグランプリファイナルへの出場権を獲得したネイサン。ショートでは、苦手とするトリプルアクセルを華麗に決めたものの、4回転フリップでのミスが響き5位スタート。
翌日のフリーでは、気迫溢れるノーミスの演技を披露し、1位に。ネイサンは総合でも大きく順位を上げ、初出場ながら見事銀メダルを獲得。
一方羽生は、ショートですべてのジャンプを成功させ、スピン、ステップ共に最高評価のレベル4を取り、圧倒的な演技でシーズンベストを更新。
フリーでは、連続ジャンプで転倒するなどミスが続き3位となったが、ショートでの大きなリードもあり総合1位に輝き、史上初のグランプリファイナル4連覇という偉業を成し遂げた。
2017年2月 四大陸選手権 (江陵)
羽生 |
総合:303.71 |
SP:97.04 |
FS:206.67 |
ネイサン |
総合:307.46 |
SP:103.12 |
FS:204.34 |
2018年に開催される平昌オリンピックの前哨戦となった本大会。
本番と同じ会場で羽生、ネイサンを始め、各国の強豪選手がオリンピックを見据え、しのぎを削った。
インフルエンザで全日本選手権を欠場し、この試合が復帰戦となった羽生。ショートで4回転ループを決めるも、続く連続ジャンプの4回転が2回転となり3位発進と出遅れた。
直前の全米選手権で初優勝し、勢いに乗ったままオリンピックプレ大会に臨んだネイサンは、ノーミスの演技で史上3人目となるショートでの100点超えを達成し1位。
逆転を誓って臨んだ羽生のフリー。4回転からの連続ジャンプが2回転になってしまうというミスがあったものの、冷静にジャンプの構成を難易度が高いものに変更。3回転からの連続ジャンプを急遽4回転に、最後の3回転ジャンプをより基礎点の高い3回転アクセルに変えるというリカバリーで、大きな加点を得て華麗に着氷。シーズン最高得点の206.67点で会場を沸かせた。
羽生に続き、最終滑走で迎えたネイサンのフリー。やや着氷が乱れるジャンプがあったものの、4回転ジャンプ5本すべてを成功させるという快挙を達成し、フリーで2位。総合得点では羽生の怒涛の追い上げを逃げ切り、17歳にしてシニア国際大会初優勝を飾った。
2017年3月 世界選手権(ヘルシンキ)
羽生 |
総合:321.59 |
SP:98.39 |
FS:223.20 |
ネイサン |
総合:290.72 |
SP:97.33 |
FS:193.39 |
平昌オリンピックの出場枠がかかる重要な一戦となった世界選手権。総合得点300点超えが4人という、史上稀に見るハイレベルな戦いが繰り広げられた。
1か月前の四大陸選手権を圧倒的な演技で優勝したネイサンは、フリーで4回転ジャンプを6本組み込むという前人未到の構成でシーズンの集大成に挑んだ。パーフェクトな演技を見せていたが、トリプルアクセルの転倒が響きまさかのショート6位。フリーでもジャンプの転倒が2回あり4位、総合6位に終わった。
羽生のショートの演技は大きな得点源である連続ジャンプが認定されず、5位発進という逆境に立たされた。フリーは、ここまで一度もノーミスの演技ができていないプログラム「Hope&Legacy」だったが、4回転サルコー3回転トーループの連続ジャンプをついに成功させると、その後のジャンプもすべて大きく加点が付く出来栄えで着氷。自身がもつ世界最高得点を更新した。総合でもシーズンベストをたたき出し、歴史に残る逆転劇で優勝し、3大会ぶりの王者奪還を果たした。一方、ネイサンは総合で6位。とはいえ、世界選手権という大舞台で、シニア1年目ながら未だかつてないチャレンジングな構成で滑るという精神力の強さを見せつけた。
2017年10月 グランプリシリーズロステレコム杯(モスクワ)
羽生 |
総合:290.77 |
SP:94.85 |
FS:195.92 |
ネイサン |
総合:293.79 |
SP:100.54 |
FS:193.25 |
ついに迎えたオリンピックシーズン。グランプリシリーズ初戦で、早速この二人の激戦が繰り広げられた。
シーズン初めにショートプログラム世界最高得点を更新し、このグランプリシリーズに挑んだ羽生。ショートでは回転不足と転倒が響き、2位スタート。翌日のフリーでは、4回転ジャンプの中でも得点の高い4回転ルッツに初挑戦。見事成功させ1位に躍り出た。
ネイサンは直前のチャレンジャーシリーズで4回転ループを決め、史上初の5種類の4回転を成功させ、フィギュア界に金字塔を打ち立てたばかり。
このロステレコム杯のショートでは中盤以降、堪えながらも難しい4回転ルッツ3回転トーループのコンビネーションを含むジャンプをすべて着氷させ、1位に。
フリーでは、調子の悪かったループを封印し、4種類の4回転にトライし2位。総合得点では、ショートでのリードを活かし、ネイサンが羽生の得点に3.02点差で勝利。念願だったグランプリシリーズ初めての金メダルを手にした。
2018年2月 平昌オリンピック(江陵)
羽生 |
総合:317.85 |
SP:111.68 |
FS:206.17 |
ネイサン |
総合:297.35 |
SP:82.27 |
FS:215.08 |
羽生は公式練習中に負ったケガによりNHK杯の欠場が決まり、それによりグランプリファイナルに進めず、シーズン二度目の直接対決はオリンピックの舞台へと持ち越されることになった。 ケガが長引いたことにより、全日本選手権の欠場を余儀なくされた羽生にとっては4か月ぶりの復帰戦。
一方ネイサンは、スケートアメリカ、グランプリファイナル共に優勝し、シーズン負けなしの万全の状態でオリンピックを迎えることとなった。