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フィギュアスケート
2022.01.31更新日:2022.03.25
初公開日:2019年11月1日
1999年5月5日生まれ、アメリカ合衆国ソルトレイクシティ出身。 身長166cm。趣味はサイクリング、読書、ギターを弾くこと。 グランプリファイナル、世界選手権ともに3連覇中。大会ごとに自由自在にジャンプ構成を変更。5種類の質の高い4回転ジャンプとバレエで培った表現力で、フィギュアスケートの歴史を次々と塗り替えていくフロントランナー。
▶北京オリンピック金メダル、ネイサン・チェン選手最新インタビュー! 五輪王者が語る、過去、現在、未来
浅田真央、ジェフリー・バトルらを指導したラファエル・アルトゥニアンコーチに師事するネイサン。 2017-2018シーズンは出場全試合で優勝を果たし、金メダル候補の一人として平昌オリンピックに挑んだ。しかし最終グループで登場したショート。すべてのジャンプにミスがあり、まさかの17位。だが全米2連覇王者(当時)がそのままでは終わるはずがない。フリーではなんと、4回転ジャンプを当初の予定よりも1本増やし、計6本という構成に挑戦。圧倒的技術力をもって1本1本淡々と決めていく様を、観客は息をするのも忘れ見守った。どこまでも冷静でありながら、クライマックスのコレオシークエンスは情感たっぷりに滑り上げ、平昌のリンクを支配。4回転フリップは手を付いたが、6本すべての4回転ジャンプを降りきる人間離れした演技を披露。得点は215.08点で1位。総合でも5位と、17位から恐るべき追い上げを見せた。昨日の自分に一矢を報いるような衝撃的な4分30秒。その日からネイサンのスケート人生の新たな一章が始まった。
平昌での悔しさを晴らすかのように、その後は圧巻の快進撃が続いた。翌月の世界選手権でも、6本の4回転ジャンプを着氷し、平昌オリンピックで出した自己ベストを上回る得点で優勝。初めて世界王者の座につくと、翌シーズン以降も出場したすべての試合で優勝。ただ高難度ジャンプを跳ぶだけではなく、ジャンプの質にもどんどん磨きがかかった。日本開催の2019年世界選手権では、ショート、フリーともに完成度の高い演技を披露。すべてのジャンプに高い出来栄え点が付き、総合で世界最高得点をたたき出しての優勝だった。この勢いはパンデミック以降の大会でも健在で、2020-2021シーズンにはスケートアメリカ4連覇、全米選手権5連覇、さらに世界選手権3連覇と他の追随を許さない強さを見せた。シーズンのクライマックスとなった世界選手権のショートでは、4回転ルッツにミスがあり3位スタートとなったものの、フリーではそのジャンプで4点近い出来栄え点が付く完璧な修正力を見せ、計5本の4回転を完璧に着氷。圧倒的な演技で大会3連覇を果たし、無敗記録をさらに更新した。
ネイサンにとって2度目のオリンピックシーズン。この4年間、常に表彰台の真ん中に君臨してきた完全無欠の王者は、初戦となったグランプリシリーズ、スケートアメリカでまさかの苦戦を強いられた。ショート冒頭の4回転ルッツで転倒、トリプルアクセルは決めるも、最後のジャンプはうまく連続ジャンプにすることができず、4位スタート。逆転を誓ったフリー。またしても4回転ジャンプ6本という桁違いの構成で挑み、決死のリカバリー。2回転となったジャンプもあったが、フリーは2位の得点で、総合3位で初戦を終えた。その翌週には2戦目のスケートカナダに出場。スケートアメリカでのミスを引きずることなく、ショートでノーミスの演技を披露。フリーも連戦の疲れを感じさせない演技で、2位に50点近い点差をつけて優勝を果たした。4連覇のかかったグランプリファイナルは感染急拡大を受けて中止となってしまい、次戦は年が明けての全米選手権。オリンピックの代表選考会も兼ねた特別な試合を前に、プログラム変更を決断。
ともに2019-2020シーズンのリバイバルで、ショートは歴代得点2位、フリーは歴代最高得点を記録した、いわば最強の布陣。本来グランプリファイナルで披露しようと考えていたところ、大会中止となってしまったため、このタイミングになったという。ショートをノーミスの首位で折り返すと、鮮やかなコズミック柄の衣装で登場したフリーは、音楽に溶け込んだ軽やかなジャンプとキレキレのパフォーマンスで会場を盛り上げ、力強くフィニッシュ。4回転フリップの転倒はあったが、総合得点328.01点で優勝。あとは1か月後のオリンピックを待つばかりとなった。
いよいよ4年に1度の戦いの火蓋が切られる。舞台は母の出身地であり、自らのルーツと語る北京。平昌の忘れ物を取り戻す戦いへ。4年間燃やし続けた心の炎がオリンピックのリンクで舞い上がる。
2018-2019シーズンから、アメリカの名門イェール大学に進学。統計学や医学を学んでいる。 大学が練習拠点のカリフォルニアから遠いため、普段は大学近くのリンクで一人練習に励んでいる。スケートと学業の両立にはあまりにハードなスケジュールのため、試合やショーの合間を見つけて、勉強をする姿も度々目撃されている。
現在は北京オリンピックを見据え、スケートに専念するために大学を休学中。
コロナ禍においても、氷上練習ができない期間を利用してコーチの資格を取得をするなど、常に新しいことにチャレンジし続けている。世界王者に君臨し続けながらいつも謙虚で、他人を尊重する人柄の良さも魅力。クレバーで成熟した考えをもつネイサンだが、チームメイトで年上のマライア・ベルやロマン・ポンサールと一緒にいるときには、弟キャラに。その他にも、低音の”イケボ(イケメンボイス)“や、日本のラーメンを気に入ってること、また子犬が好きという可愛らしい一面など、魅力たっぷりのネイサン。毎試合世界中のファンが楽しみにしている、ネイサンらしさが溢れた衣装にも注目。
▶ネイサン・チェンの衣装
●今シーズン披露したプログラムSP:「Eternity」&「Nemesis」、「ラ・ボエーム」
FS:「Selection of Music by Wolfgang Amadeus Mozart」(モーツァルトメドレー)、映画『ロケットマン』より
初戦のグランプリシリーズ、スケートアメリカでベールを脱いだ今シーズンのプログラム。ショートは、イギリスの歌手ベンジャミン・クレモンタインの「エターニティー」に、同歌手の曲で、平昌オリンピックシーズンに使用した「ネメシス」を後半にミックスしたもの。フリーには、「モーツァルトメドレー」。振付は今シーズンもシェイリーン・ボーンが担当した。しかし1月の全米選手権ではプログラムを変更。2019-2020シーズンの「ラ・ボエーム」と映画『ロケットマン』を披露し、周囲を驚かせた。思い返せばそのシーズンにグランプリファイナルで世界歴代最高得点をたたき出したものの、コロナ感染拡大の影響により、世界選手権が中止となってしまったため、シーズンの集大成として披露されることがなかったプログラム。それだけにオリンピックという特別な舞台で再度見られることを喜んだファンも多いはず。
ショートの「ラ・ボエーム」はシャンソン歌手シャルル・アズナヴールの代表作。ゆったりとした曲にのせ、時折緩急をつけながら、ダンスを踊るように情感豊かに滑り上げる。一方フリーは、エルトン・ジョンの半生を描いた映画『ロケットマン』のサウンドトラックを使用。躍動感のある曲を全身で感じながら、次々とジャンプを決めていく様はさながら宇宙へ飛び立つよう。音楽とスケートを心から楽しむようなスケーティングに、ネイサンオンステージと言える終盤のコレオシ-クエンスは必見。
【2020-2021シーズン】SP:映画『デスペラード』より
FS:「Philip Glass Selections」
ショート、フリー共に振付はシェイリーン・ボーン。
2人は「ネメシス」、「キャラバン」、「ラ・ボエーム」など数々のプログラムを生み出してきた名タッグ。
ショートは情熱的なフラメンコ。かつてギャングに恋人を殺され、自らも演奏家としての道を閉ざされた男を演じている。ラテン調の音楽にのせて舞う、力強く意思を込めたステップが見どころのひとつ。
フリーは現代音楽の巨匠として知られるアメリカの作曲家フィリップ・グラスの曲を使用。 ゆったりとしたピアノ旋律に合わせた、なめらかで美しいスケーティングが心地よいプログラム。 どちらも衣装にも注目したい。
SP:ラ・ボエーム FS: 映画『ロケットマン』より
フリーはエルトン・ジョンの半生を描いた映画のBGMを使用。飛んだり跳ねたりエネルギッシュなコレオシークエンスに、会場も大盛り上がり。エルトン・ジョンをイメージしたカラフルな衣装にも要注目。
●【GPシリーズ】スケートカナダ 優勝
▷Instagram:@nathanwchen
▷Twitter:@nathanwchen
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前回の平昌五輪閉幕から4年間。歴代世界最高得点を何度も塗り替え、出場したほぼすべての大会で優勝するなど、あらゆる称号をその手につかみ取ってきたフロントランナーに、ついに五輪王者のタイトルが加わった。今回ノンノでは、大会を終えたばかりのチェン選手にZoomを通してインタビューを敢行。 平昌五輪から北京五輪金メダルに至るまでの道のり、ネイサン流メンタルヘルスメソッド、さらには自身とフィギュアスケートの未来についてなど、人柄の良さが垣間見える誠実な言葉で一言一句丁寧に語ってくれた。
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