この人が出演している作品は間違いない。そう思わせてくれる数少ない俳優の一人である佐藤健さんが、「最近のアクション映画の中で一番おもしろいものができた」と力強く語るのが『亜人』。テロリストとの戦いに身を投じる、絶対に死なない“亜人”である主人公、永井を演じている。「生と死を繰り返す亜人の設定を生かせば斬新なアクションが作れると思ったんです。銃で撃たれてもヘッチャラって映画としてすごく強い。既視感のあるアクションは一秒もいらないと思って臨みました。ただし、そのアクションこそ台本に書けない、現場でゼロから作る作業。特にオチであるクライマックスは、ふさわしいものを生み出せない限り本番に入れなくて。撮影の2日前にやっと納得いく仕掛けができました」
そんな特殊な撮影に不可欠だったのが、宿敵を演じた綾野剛さんとの信頼関係。「基本的に俳優は監督の考えや脚本にこたえればいい。でもこの映画は、アクションやセリフまで俳優が考えていくプラスαの作業が必要で。相手が綾野さんだったおかげで最初からその共通認識を持って臨めたのが大きかった。考えることから逃げない綾野さんと、腹を割って作れたと思います」
常に「一球入魂で慎重に作品を残してきた」という熱量はさすが! ただし28歳を迎えた今、その心境にもちょっぴり変化が。「年を重ねて変化したいとは思うけど、20代でしかできない役もやっておきたいという結構ニューな気持ちも芽生えていて。たとえば20代の恋愛映画は30代ではできないし、仮に『ギリ制服着られるよ』と言う人がいたら、高校生役をやってもいいのかなって(笑)。今逃したら一生できないわけですから。30代前半までは、数を増やして自分を作品に刻みにいきたいと思います!」