フィギュアスケート

島田高志郎/氷上に花を咲かせるアーティスト【フィギュアスケート男子2022-2023】

2022.12.20更新日:2023.07.25

初公開日:2019年11月2日

島田高志郎
Koshiro Shimada

島田高志郎(しまだこうしろう)選手のプロフィール紹介

2001年9月11日生まれ、愛媛県松山市出身。
身長176cm。趣味は音楽・YouTube鑑賞、料理、景色がいい場所巡り。
2018年ジュニアグランプリファイナル銅メダル。
ステファン・ランビエールコーチのもとで実力をつけ、シニア4シーズン目を迎えた21歳。
2020年、羽生結弦さんと同じ早稲田大学人間科学部のeスクールに進学。(羽生さんは2020年9月卒業)

スケートや将来コーチになったときに役立てたいという思いから、心理学を専攻中。同学部にはノービス時代から親交の深い西山真瑚選手も。
楽しい曲調のプログラムでは、スピン中でも笑顔を絶やさない表情管理の天才でもある。

島田高志郎(しまだこうしろう)選手の身長、コーチ、大学などのプロフィール

島田高志郎選手の魅力とは?

島田高志郎(しまだこうしろう) 選手とステファン・ランビエールコーチ

小学4年生の時、本格的にスケートに取り組むため、生まれ故郷の愛媛から岡山に移住。2017年には、2006年トリノオリンピック銀メダリスト、ステファン・ランビエールコーチに師事するため、15歳で単身スイスへと移転。
以前から定評のあった表現力に加え、ランビエールコーチのもとで4回転ジャンプや美しいスピンを身に付け、技術面でも進化中。
ジュニアとして出場した2018年の全日本選手権では、ショート3位、総合5位という輝かしい成績を残し、日本の若手エースとして着実な成長を見せた。

ステファン・ランビエールのプロフィールを見る

英語も堪能な島田高志郎(しまだこうしろう)選手

親元を離れ、スイスのシャンペリーでスケート漬けの日々を送る島田選手。
週6日を練習に費やし、オフは1日のみ。
空いている時間は勉強に加え、自分で食材を買って食事を作ったり、洗濯をしたりと毎日大奮闘中。
同じくランビエールコーチのもとで練習に励む、大親友でありライバルのデニス・ヴァシリエフス選手とは、一緒に料理をしたり海に遊びに行ったりと仲睦まじい様子を披露。
憧れの存在だったランビエールコーチには今では自分の意見を伝えることができるようになり、固い絆で結ばれたよい師弟関係を築いている。

2019-2020シーズン中盤からは、宇野昌磨選手が新たにリンクメイトに。間近で練習を見ることで得られるものが多いと話し、時には英語が苦手な宇野選手の通訳役も務めたり、オフには一緒にゲームをしたりと公私ともに刺激的な日々を送っている。
ハスキーな低音ボイス、流ちょうな英語でインタビューを受ける姿などに射抜かれるファンも多数。8頭身の、日本人離れしたスタイルのよさにも注目。

デニス・ヴァシリエフスのプロフィールを見る

ショーでも表現力で魅せる島田高志郎(しまだこうしろう)選手

シニア1年目からこれまでの歩み

シニアデビューの2019-2020シーズン

2019年NHK杯での島田高志郎(しまだこうしろう)選手

2019年NHK杯

2018年のジュニアグランプリファイナルで見事銅メダルを獲得し、翌2019-2020シーズンから満を持してシニアに参戦。
グランプリシリーズデビュー戦となったスケート・アメリカでネイサン・チェン選手、NHK杯で羽生さんなど、世界のトップ選手たちと対戦。
残念ながら思い描いた演技を披露することはできなかったが、シニアで戦っていく上で必要なことを学ぶことができた大会に。
その年の全日本選手権は、ジャンプが振るわず10位。本番でなかなか力を発揮できず悔しさの残るシーズンとなった。

パンデミックの影響で大会が激減。試合への渇望が募った2020-2021シーズン

2020年フィギュアスケート全日本選手権での島田高志郎選手

2020年全日本選手権

2020-2021シーズンは新型コロナウイルス感染症拡大により、出場できた試合はわずか2試合。そのうち1試合はシニア男子出場者1人のみのスイスのローカル大会で、ほぼ初戦という緊張感のなか、迎えた全日本選手権。

ショートではジャンプが乱れたものの、堂々とした「Fire Dance」で魅了。フリーでも力強く精悍な演技を観客の前で披露し、充足感のある表情を見せた。帰国後の長い隔離で調整も大変だったなか、前年10位から8位と順位を上げ、大会を終えた。

出場予定だった試合が中止となり、先が見えない状況でもひたむきに氷と向き合い、遠くスイスの地で練習を重ねてきた島田選手。長い冬を越え、その努力が花開く日はもうすぐそこまで来ているはずだ。

ショート90点超え。滑る喜びをかみしめた2021-2022シーズン

2021年東日本選手権で優勝した島田高志郎選手「チャップリン・メドレー」

2021年東日本選手権で披露したフリー「チャップリン・メドレー」

2021-2022シーズンの初戦は、およそ10か月ぶりの公式戦となった東日本選手権。
ショート冒頭の4回転サルコーは3回転となったが、コンビネーションジャンプ、トリプルアクセルともに成功させ、首位発進。フリーでは4回転トーループや3連続ジャンプを成功させ、見事優勝。全日本選手権出場の切符を手にした。

次戦のチャレンジャーシリーズ、ワルシャワカップ。

ショートでは、流れるような美しい4回転サルコーで3点近い出来栄え点を獲得。ほぼノーミスの滑りで自己ベストを大幅に更新し、2位に。約3週間で前戦のミスをしっかりと修正してみせた。フリーではジャンプが乱れ総合5位となってしまったが、ショートで初めて90点台を記録した記念すべき大会となった。
オリンピック代表が決まる12月の全日本選手権。4回転ジャンプの着氷がクリーンに決まらず10位となったが、島田選手らしい
温かな記憶に残る演技で観客の心に灯をともした。

2021年東日本選手権での島田高志郎選手「Giving Up」

2021年東日本選手権で披露したショート「Giving Up」

新シーズン情報

2022年スケートアメリカでクールな演技を披露した島田高志郎選手

2022年スケートアメリカでクールな演技を披露した島田高志郎選手の「Sing, Sing, Sing」の冒頭

2022年スケートアメリカで披露したショート「Sing, Sing, Sing」の冒頭

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックに向け、新たに始まったシニア4年目のシーズン。
今シーズンは、これまでクリケットクラブで羽生さんらのジャンプを指導していた
ジスラン・ブリアンコーチがチームシャンペリーのサポートに合流。世界的なジャンプコーチの指導を受け、4回転サルコー、4回転トーループのほか、4回転ルッツの練習に励んだ。
また昨シーズン後半より、トレーニングを強化し体力作りに励むなど、世界のトップと戦うべく確実なアップデートを図っている。

その成果は如実に表れ、初戦のロンバルディア杯ではショートでノーミスの演技を披露し首位発進。フリーでは4回転ジャンプが決まらず4位となったが、総合2位で国際大会で3シーズンぶりにメダルを獲得した。
その後ブロック大会・東京選手権に出場。
ショートでは構成の難度を上げ、4回転ジャンプ2種類に挑戦。見事首位に立ち、総合でも優勝を果たした。

10月。
グランプリシリーズが開幕すると、スケートアメリカに急遽出場が決定。
ショートは3本すべてのジャンプが決まらず、まさかの12位となってしまったが、気持ちを切り替えたフリーでは自己ベストを更新し、5位。総合9位と順位を上げた。
リベンジを狙う2戦目のイギリス大会。ショートで5位につけると、フリーでは冒頭のミスを引きずらない強い姿を見せ、アメリカ大会での記録を10点以上更新。
合計でも自己ベストを大きく更新し、メダルまであと一歩の4位に入った。

グランプリシリーズで自己最高位を更新し、向かうは全日本選手権。
ブリアンの指導により安定感の増した4回転ジャンプに持ち前の豊かな表現力をもって、今トップ争いに名乗りを上げる。

プログラムの詳細

今シーズンのプログラム

2022年スケートアメリカで披露したフリー「チャップリン」

2022年スケートアメリカで披露したフリー「チャップリン」

SP:Sing, Sing, Sing

FS:チャップリン・メドレー

 

ショートの振付を手掛けたのは、2006年トリノオリンピック銅メダリストで、ランビエールコーチの戦友でもあるジェフリー・バトル。

かねてから振付を望んでいたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からなかなかその機会が得られず、今シーズン待望の初タッグが実現。
羽生さんのショートを始め、数々のレジェンドプログラムを生み出してきた彼が島田選手に授けたのは、トリノオリンピックのシーズンに自身も滑ったスウィングジャズの名作「
Sing, Sing, Sing」。

印象的なドラムソロとともにゆるりとこちらを振り向けば、ドラムのリズムを体に染みこませるように体を揺らし、最高が約束されたオープニングが始まる。
これまでクラシックや抒情的なナンバーをより情感豊かに演出してきた長い手足が、このアップテンポのプログラムに勢いとダイナミズムを添えている。
ジャジーなメロディにのせ、小粋に滑る姿、そして常に笑顔で演技を誰よりも楽しむ姿に誰もが心を
高揚させるだろう。

 

2シーズン目となるフリーは、ジュニアデビューの年となった2015-2016シーズンのプログラム「チャップリン・メドレー」。曲に合わせてコロコロ変わる表情当時からファンの多いプログラムで、新たな構成とともにランビエールコーチが振付を行った。

音楽を全身で感じながら優雅な滑りを見せたかと思えば、コミカルな表情で楽しませる“アーティスト”島田高志郎の魅力が詰まったプログラム。

7年の間にジュニア時代から定評のあった表現力にさらに磨きがかかり、じんわりと温かい深みのあるチャップリンを演じている。

 

過去のプログラム

【2021-2022シーズン】
SP
:Giving Up

FS:チャップリン・メドレー

ショートはランビエールコーチが選んだというアメリカの歌手ダニー・ハサウェイの「Giving Up」。手足の長さが際立つノーブルなブラックの衣装に身を包み、憂いに満ちた表情で諦めきれない恋心を表現。この年20歳を迎えた島田選手の大人の魅力を堪能できるプログラムとなっている。
切なさのなかにも激しさがある曲を、全身を使って情感たっぷりに滑り上げる。

フリーについては、【今シーズンのプログラム】に記載

【2020-2021シーズン】
SP:Fire Dance by Jennifer Thomas

FS:Rhapsody on a Theme of Paganini

 

ノービス時代から幾度も振付をお願いしている宮本賢二さんと、4年ぶりのタッグが実現したのがショートの「Fire Dance」。

曲は自身で選んだとのことで、フラメンコ調の情熱的なナンバー。長い手足を大きく使い、燃え盛る炎を表現している。

フリーの「パガニーニの主題による狂詩曲」は、かつて羽生さんも滑ったことのある名プログラム。今回は後半にボーカルが入った編曲で、振付はランビエール。 前半のテクニカルなパートから、後半へと進むにつれて柔らかな雰囲気へと変化していく雄大なプログラム。4回転ジャンプを3本組み込み、前シーズンより構成を上げながらも、ゆったりと余韻のある滑りで魅せてくれる。

【2019-2020シーズン】
SP:Stay
FS:アーティスト

ショートは島田選手自身もプログラム作りに関わったという意欲作で、切ない恋を描いたちょっと大人なプログラム。フリーの「アーティスト」は不慮の死を遂げたデニス・テンの使用した曲で、ランビエールコーチが振付を担当。ピンクの衣装でチャーミングに滑り上げる。



シーズンの成績

 2021-2022

  • ●東日本選手権 優勝
  • ●チャレンジャーシリーズ ワルシャワ杯 5位
  • ●全日本選手権 10位

 2020-2021

  • ●全日本選手権 8位

 2019-2020

  • ●ネーベルホルン杯 2位
  • ●ジャパンオープン 4位
  • ●【GPシリーズ】スケートアメリカ 10位
  • ●【GPシリーズ】NHK杯 9位
  • ●全日本選手権 10位


インタビュー

▷Instagram:@koshiro.shimada

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