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フィギュアスケート
2021.11.02更新日:2022.03.25
初公開日:2019年12月17日
2003年5月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。
星槎国際高横浜在学。
身長161cm。趣味はゲーム、音楽鑑賞。
2019年全日本ジュニア選手権1位、全日本選手権3位、2020年ユースオリンピック1位、四大陸選手権3位と、華々しい成績を打ち立て、2020-2021シーズンより満を持してシニア参戦。1年目にして、全日本選手権3位、世界選手権2位と、一気にトップの牙城へと迫る、驚異の高校3年生。
コーチは元・オリンピック代表で、実の父でもある鍵山正和さん。
実の父である正和コーチは、1992年、1994年と二度のオリンピック男子シングル代表に選ばれたという経歴をもち、日本人で初めて4回転ジャンプに挑んだ選手でもある。
その父の影響でスケートを始めた鍵山選手は、柔らかい膝を使った安定感があるジャンプと、ステップやスピン、スケーティングの滑らかさなど、総合力の高さが武器。
2018年の全日本選手権では、初出場にしてショート6位につけ、フリーで最終グループに入るなど一躍注目を浴びた鍵山選手。
その勢いはとどまるところを知らず、新たに4回転ジャンプを習得して迎えた2019-2020シーズンは、ジュニアグランプリシリーズフランス杯で1位。
全日本ジュニア選手権では、国際スケート連盟(ISU)非公認の記録ながら当時のジュニア最高得点で完全優勝、国内大会初のタイトルを獲得した。
このような活躍もあり、自身が目標としていた、2020年1月に開催される冬季ユースオリンピックの代表に選出され、さらに旗手を務めた。
2019年のジュニアグランプリファイナルでは、ショートで珍しく回転がほどけるミスがあり6位と出遅れるも、フリーでは4回転からのコンビネーションジャンプで高い出来栄え点を獲得。巻き返して4位に入った。
悔しさを滲ませるも既にその目は前を向き、迎えた2019年末の全日本選手権。
ショートでは、冒頭でトリプルアクセルが半回転となり0点となるも、その後予定していた3回転ジャンプを4回転に変更するリカバリーを見せ、7位からのスタート。
フリーは、2本の4回転ジャンプやトリプルアクセルを大きく加点の付く出来栄えで成功させ、シニアの選手を抑えて、2位のスコアをたたき出した。
総合でもISU非公認の記録ではあるが、当時のジュニア世界最高得点を超え見事3位。ジュニアの選手ながら、憧れの宇野昌磨選手、羽生結弦選手と並び、念願の表彰台に上った。
15~18歳までのアスリートを対象としたユースオリンピックの出場権を獲得し、大会の注目選手として日本の旗手も務めた鍵山選手。
ショートでは、コンビネーションジャンプで壁にぶつかるアクシデントがあり3位発進。逆転を狙うフリーでは、スピン、ステップすべて最高レベルのレベル4を獲得、質の高いジャンプで加点をもらい、自己ベストを更新。ロシアの有力選手たちを抑え、逆転優勝を果たした。
ジュニアの選手とは思えない、大人びた圧巻の演技を見せてくれた鍵山選手だが、キス&クライで、渾身のガッツポーズとともに喜びを爆発させる等身大の姿に、世界中から「素晴らしい!」の声とともに「かわいい」の声も殺到。
その勢いのまま迎えたシニアの大舞台、四大陸選手権。
初のシニア国際大会出場とは思えない堂々とした滑りで観客を魅了し、強豪選手を抑えて見事銅メダルを獲得。華々しいシニアチャンピオンシップデビューを果たした。
表彰台が決まった瞬間、「うそでしょ? まじで?」と思わず漏らしてしまうほど、驚いていた様子の鍵山選手。演技中とは異なる初々しい表情を覗かせた。
ジュニア最後の試合となった世界ジュニア選手権。ミスが出ることが多かったショートをノーミスで完成させ、1位発進。フリーでは、シーズンを通して安定感のあった4回転トーループで転倒、トリプルアクセルも1回転となってしまい惜しくも総合2位という結果に。「緊張して6分間練習から体が動かなかった」と語った鍵山選手。この悔しさが今後の大いなる躍進に繋がっていく。
シニア初戦となった10月の関東選手権。
ショートですべてのジャンプを高い加点が付く完璧な着氷で成功させ、100点に迫るスコアで首位に。フリーでもこのシーズンより本格的に取り入れた4回転サルコーを含む4回転ジャンプ3本、さらには男子では跳ぶ選手の少ない難しい連続ジャンプ、3回転ルッツ+3回転ループを決め、圧巻の演技で優勝。
フリーの188.75点と合計287.21点は、ISU非公認ながら、世界歴代5位の得点。
デビュー戦でのいきなりの記録に衝撃が走るも、これはまだほんの序章に過ぎなかった。
約1か月後、東日本選手権の開催を前にして急遽フリーをローリー・ニコルさん振付のものに変更。できたばかりのプログラム、かつ複雑な足さばきが要求される難しい振付。転倒が重なるも懸命に滑り切り、結果は2位。プログラムの完成は、約3週間後に控えたグランプリシリーズ・NHK杯に持ち越されることとなった。
シニア初のグランプリシリーズは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、自国の選手中心で開催されたNHK杯。
優勝候補の筆頭として出場し、ショートでは、4回転サルコーからの連続ジャンプを完璧に決め、東日本選手権の際2回転になってしまった4回転トーループも鮮やかに着氷。最後のトリプルアクセルは1回転となり、0点となってしまったが、スピンとステップでは最高評価のレベル4をそろえ、1位で折り返した。
短い期間で滑り込んできた新フリー。3回転ルッツに続く3回転ループが1回転になってしまった以外は、完璧に成功。特に冒頭の4回転サルコーには4点以上の出来栄え点がついた。
結果は、2位に50点近い差をつけての圧倒的な優勝。
後にインタビューで、父の正和コーチですら、現役時代にNHK杯での優勝経験がなかったことについて問われると、一瞬戸惑うも、「お父さんのリベンジという意味でも、今回は果たせたんじゃないかな」という頼もしい回答が飛び出した。
世界選手権代表が決まる全日本選手権。
コロナ禍による試合の中止などから、このシーズンここまで一度も手合わせをしていない、羽生選手、宇野選手といったトップレベルの選手が一堂に会する特別な大会。
ショートでは、NHK杯でのミスを取り返すような美しいトリプルアクセルを披露。他ジャンプもすべて危なげなく決め、ISU非公認ながら自己ベストを上回る得点で2位に立った。
フリーでは、宇野選手、羽生選手に挟まれての滑走順で登場。
「口から心臓が飛び出しそうだった」というほどの緊張のなかで、自分だけの世界観をしっかり氷に刻み付けた。ジャンプでバランスを崩す場面がありながらも、もてる力を出し切り、フリー3位で総合でも銅メダル。
2年連続で表彰台に上り、初めて世界選手権代表の切符を手にした。
順位は同じ3位ながら、“失うものはない”と臨んだ前シーズンとは違い、今回は表彰台を狙いにいった上での銅メダル。プレッシャーがかかる状況であっても、自分を見失うことなく、結果を出したことこそが、次に待ち受ける世界選手権の演技に繋がった。
初出場となる世界選手権。
今度は日本のトップ選手はもちろん、鍵山選手が憧れの存在として挙げるネイサン・チェン選手を始め、世界の名だたるスケーターが集まる大会。
約1年後に控えた北京オリンピックに向け、世界での自分の立ち位置を確認する上でも、ここでどんな演技をするのかに注目が集まった。
ショートのジャンプはすべて余裕をもった見事な着氷。氷の上を旅するかのように自由に、躍動感たっぷりに舞う、わくわくさせる滑り。ノーミスでフィニッシュし、得点はここにきてついに100点超え。
世界大会でもスピン・ステップは最高評価のレベル4を獲得し、羽生選手に次ぐ2位でスタートを切った。
そして運命のフリー。
直前にチェン選手が圧倒的な得点をマークしたばかりのリンクでの演技。
重圧がかかる場面でも「(チェン選手は)ノーミスするとわかっていた」と、世界王者を目の前にしても動揺することはなかった。
自分の演技に集中し、前半のジャンプを美しい流れのある着氷で次々と成功。最後2つのジャンプで少し着氷が乱れたが、ラストに向かうコレオシークエンスでは、映画『アバター』の壮大な世界観を体を大きく使って表現した。
正和コーチとともに祈るように得点を待つキス&クライ。
190.81点という自己ベストの得点が表示され、表彰台が確定するとぱっと花が咲くような笑顔を見せ、両手を上げて飛び跳ねた。
総合では自己ベストを20点近く更新し、シニアデ1年目、17歳にして堂々の銀メダル。これ以上ないインパクトを世界に与えた。
オリンピックの出場枠最大の「3」の獲得に貢献し、幕を閉じた世界選手権。
オリンピックの表彰台は、もはや“夢”ではなく、現実のものとして近づいている。
その体に一体どれほどの力を秘めているのか。
挑戦的、とまで言われた名高い振付師の手がけたプログラムでさえ、自分の色に染めてしまう力、大会が例年より少なかったなか、すべての経験を力に変える吸収力、そして何よりこの快挙をもってしても「演技はちょっと悔しかった」という飽くなき向上心。そこにさらに世界選手権銀メダリストという自信が加わり、4年に1度のオリンピックシーズンへと、アクセル全開で進んでいく。
いよいよ幕を開けた2021-2022シーズン。
世界選手権で銀メダルという輝かしい成績を手にしても尚、「挑戦者」と気持ちで臨みたいとし、このシーズンもさまざまな挑戦を自分に課している。
鍵山選手の強さのひとつにジャンプの安定感があるが、今回は新たに3種目となる4回転ループを投入。実戦でもすでに着氷済みで、今後は出来栄えでも加点を狙っていく。
これに加え、4回転ジャンプのなかでも最も基礎点の高い(4回転アクセルは除く)、4回転ルッツも待機中。
さらにオリンピックシーズンは、滑り込んだ過去のプログラムを選ぶ選手も多いなか、自分の成長のためにと、両プログラムともに新作を用意。昨シーズンとはイメージチェンジを図り、新たな一面で世界を再び魅了してくれる。
今シーズン、ケガでジャンプ練習ができない日がありながらも着々と技を磨き、先月には、北京オリンピックのテスト大会を兼ねたアジアンオープントロフィーに出場。
実際の会場となるリンクで氷の感触を確かめ、ショート、フリーともにトップで完全優勝。来年2月のオリンピックへ向け、よいイメージで大会を終えた。
そしてグランプリシリーズ、初戦は中国大会の代替となったイタリア大会。
昨シーズンは国内大会のみの出場となったため、シニアでのグランプリシリーズは初。
グランプリシリーズ上位6人が参加できるグランプリファイナルは、オリンピック前の最も大きな国際大会で、ここで優勝し、勢いに乗った選手がオリンピックを制する場合も多い。
まずはグランプリファイナル進出を目指し、かつて古代ローマ帝国として栄えたイタリアの地で『グラディエーター』を披露する。
日本男子フィギュアの未来を背負う一人である鍵山選手も、フィギュアスケート以外では18歳の高校生らしい一面も見せる。
趣味はゲームや寝ることで、『ハイキュー!!』を始めとした『週刊少年ジャンプ』の漫画も大好き。
SNSも積極的に活用中で、自分や他のスケーターに関する投稿への“いいね”の速さはファンの間でも有名。
好きなキャラクターはスヌーピーで、エッジカバーもスヌーピーのものを愛用中。
SP: When You’re Smiling
FS:『グラディエーター』より
両プログラムとも、シニアでの飛躍を後押ししたニコルさんの振付で挑む勝負のシーズン。
ショートは、引き続き暗いニュースが後を絶たない今の世で、“笑顔が広がるように”とニコルさんが選曲したもの。
ジャズナンバーの大人っぽいナンバーで、はにかむ笑顔に、観客も自然と笑顔になってしまう多幸感のあるプログラム。
フリーには、新たな4回転ジャンプ・4回転ループを投入。
テーマとなる映画『グラディエーター』は、皇帝暗殺の濡れ衣を着せられ、反逆罪に問われた元ローマ軍将軍が、今度は剣闘士として復讐のために戦う姿を描いた超大作。
力強さの中に、家族を失った悲しみ、戦い続けることのやるせなさなど、複雑な感情が込められており、表現の面でも進化した姿を見ることができる。
壮大な音楽とともにラストに向かうパートでは、祈りにも似た、魂が浄化されるような極上の滑りを披露。
氷に映える、ブラックにゴールドが輝く衣装は剣闘士をイメージしたもので、北京のリンクで躍動する姿を楽しみに待ちたい。
【2020-2021シーズン】
SP:「Vocussion」
FS:「Lord Of The Rings」→『アバター』より
2020-2021シーズンも長年タッグを組む佐藤操コーチ振付のプログラムを予定していたが、”シニアデビューのシーズンを飛躍の年にしてもらいたい”という佐藤コーチからの提案を受け、急遽プログラムを変更。浅田真央さんのプログラムでもおなじみの世界的な振付師のニコルさんがオンラインでショートプログラムを振り付けた。
ショート「Vocussion」のテーマはシルクロード。新たな出会いや困難に直面しながら旅を通して経験を積んでいくさまが、シニアに挑戦し新たな世界に飛び出していく姿とリンクするプログラムとのこと。 パーカッションの音に合わせて複雑なリズムを刻むアップテンポの曲で、踊り心を持ち合わせた鍵山選手にぴったりのプログラム。
自身で決めたというフリーは、ミュージカル版の『ロード・オブ・ザ・リング』で、振り付けは佐藤操コーチ。ストーリー仕立てになっており、平和への願いを込めて情感たっぷりに滑り上げる。中盤の剣を振り回すようなステップも見どころ。
関東選手権終了後、急遽フリーをショートと同じくニコルさん振付の映画『アバター』に変更。キャラクターではなく、世界観を表現したいという思いから、舞台となる密林をイメージした深いグリーンの衣装で登場。
SP: 『砂の器』より「ピアノ協奏曲 宿命」
FS: 映画『タッカー』より
ショート、フリーともに振付は、以前からタッグを組む佐藤操さん。
ショートは「ピアノ協奏曲 宿命」。これまでリズミカルな曲が多かった鍵山選手にとっては新境地となるプログラムだが、持ち前の表現力で物語を重厚に滑り上げる演技が期待される。
フリーは自身も好きだと語る、ジャズの調べが小気味良い『タッカー』。軽快なリズムに合わせて楽しそうに踊る姿が印象的な、躍動感のあるプログラム。
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