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山本草太/ 流麗なスケーティングで世界を魅了。完全復活で世界へと挑む【フィギュアスケート男子2022-2023】

初公開日:2019年12月18日

山本草太
Sota Yamamoto

山本草太 やまもとそうた

2000年1月10日生まれ、大阪府岸和田市出身。身長173cm。

趣味はサウナ、アロマ、音楽鑑賞。

2015年世界ジュニア選手権3位、2016年リレハンメルユースオリンピック優勝など、ジュニア時代から名を馳せる才能豊かなスケーター。大ケガによる3度の手術を経て競技の場への復活を果たす。
1シーズンごとに確実に成長を積み重ね、今シーズンのジャンプの安定感は折り紙付き。さらにフリップ、ルッツなど新たな4回転ジャンプにも意欲的に挑戦し、いよいよ世界のトップと戦う準備が整った。
かねてから定評のある流麗なスケーティングと見る者の心を揺さぶる表現力に加え、技術的にも大きく進化した頼もしい姿で、表彰台を狙う。

ケガから復活までの長く険しい道のり

2015年全日本選手権での山本草太選手
2015年全日本選手権では6位に

2014-2015シーズン、初出場の世界ジュニア選手権で見事銅メダル。
翌2015-2016シーズンには、自身初の4回転トーループに成功し、全日本ジュニア選手権を制すと、その勢いのままリレハンメルユースオリンピックで金メダルを獲得。
2年後に控えた平昌オリンピックの代表候補として将来を嘱望される中、2度目の出場となる世界ジュニア選手権の直前に練習で右足首を骨折。さらに翌シーズンには復帰を前にして疲労骨折とケガが続くなど、1年半もの間実戦から離れることを余儀なくされた。

計3度にわたる手術を経て、2017-2018シーズン、フィギュアスケートへの熱き思いを胸に再び氷の上へと舞い戻ってきた山本選手。
復帰戦となった9月の中部選手権ではジャンプはすべて1回転で109.06点。そこから一歩ずつ、でも確実に前へと進み続け、11月の西日本選手権では3回転ジャンプを跳び、合計195.18点。2年ぶりの進出を果たした12月の全日本選手権では、3回転ループも取り入れ、200点超えを達成。
3月には久しぶりの国際大会となるプランタン杯にも出場を果たした。

2018-2019シーズンの全日本選手権では、復帰後初めて試合で4回転トーループを着氷。続くチャレンジカップでもショート、フリーともに成功させ、自己ベストで優勝を飾った。

2019 年グランプリシリーズNHK杯での山本草太選手
2019 年グランプリシリーズNHK杯

2019-2020シーズンには新たに4回転サルコーも習得。NHK杯では見事4回転サルコーからの連続ジャンプを着氷して見せた。

復帰後3度目の出場となった全日本選手権では、ショートでミスが続き13位からのスタート。それでも情熱を絶やさず、フリー後半は加点のつく美しいジャンプを決め、最後までスピードを落とすことなく滑り切り、結果は総合7位。前回大会より順位を上げ、笑顔で全日本選手権を終えた。

2020-2021シーズンのフリー「ドラゴン」を披露する山本草太選手
2020 年西日本選手権フリー。眩い光を放つ「ドラゴン」の衣装

2020-2021シーズンには、ノービス時代に師事していた大西勝敬コーチのもとへ。スケートに集中するため大学を休学し、並々ならぬ思いでスケートに向き合う日々を送った。
その成果は結果にも表れ、10月末に行われた西日本選手権では、フリーで4回転ジャンプ3本にチャレンジ。転倒したジャンプもあったが、ショート2位から逆転し合計221.22点で優勝を飾った。

しかしグランプリシリーズのNHK杯ではジャンプのミスが続き8位に。大一番の全日本選手権でもフリーでジャンプに苦戦し、総合9位と前回より順位を落とす結果となってしまった。


新たなコーチのもとでリスタートを切った2021-2022シーズン

2021年ジャパンオープンでの山本草太選手
2021年ジャパンオープンでたくさんの愛を受ける山本選手

その後メインコーチを付けず一人での練習期間を経て、2021-2022シーズンより、過去に浅田真央さん、宇野昌磨選手らも師事した山田満知子さん・樋口美穂子さんのもとに移籍。新たな環境で再出発を切った。

中部選手権のショートでは、初戦からノーミスの演技を披露。フリーではミスが出たものの、壮大な世界観を持ち前の伸びやかなスケーティングで表現し2年連続の優勝。続くジャパンオープンのフリーでは2種類の4回転ジャンプを見事成功させ、存在感をアピールした。

グランプリシリーズはスケートカナダと、羽生結弦さんの欠場によりNHK杯に出場。どちらも総合7位で大会を終えた。
そのまま翌週にはチャレンジャーシリーズワルシャワ杯に出場。NHK杯ショートではトリプルアクセルに1/4回転不足のqマークがついたが、ここではミスを修正し、自己ベストを超える247.65点で優勝。翌月に控えた全日本選手権に向け、弾みをつけた。

北京オリンピックの代表選考会を兼ねた全日本選手権。ショートではこれまで積み重ねてきた練習の成果を発揮し、ノーミス、かつスピンステップも最高のレベル4をそろえ、4位発進。表彰台を射程圏内に捉えたが、重圧からかフリーではジャンプに精彩を欠き、12位。総合8位と悔しさの残る結果となった。

2021年全日本選手権ショート後の山本草太選手
2021年全日本選手権ショートは4位発進

年が明けたばかりの1月4日、名古屋で開催されたアイスショー。
そこで山本選手は全日本選手権での雪辱を果たすかのように、目の覚めるような圧巻の演技を披露し、会場の話題をさらった。さらには3回転フリップのセカンドにループを付けるなど、体中からあふれ出す熱量に会場からはスタンディングオベーションが巻き起こった。

2021年全日本選手権フリーでの山本草太選手
2021年全日本選手権フリー

オリンピックシーズンが幕を閉じ、ここからまた新たな4年間がスタートする。スケートに対する情熱の炎は決して消えることなく、勢いを増すばかり。日々成長できることに喜びを感じながら、素晴らしいスケート仲間たちとともに2026年ミラノ・コルティナオリンピックを目指し戦いの日々は続いていく。

新シーズン情報

自分の壁を超えるシーズンに

山本草太選手の今シーズンのフリー「ピアノ協奏曲第2番」の衣装は羽生結弦選手の「Origin」リスペクト
所作の美しい2022-2023シーズンのフリー「ピアノ協奏曲第2番」

2年の休学を経て、今年より大学に復学。スケートと勉強の時間をうまく切り替えながら充実した日々を送る。
オフシーズンは4回転フリップの習得に精力的に取り組み、例年より早くシーズンに参戦。初戦となった7月頭のみなとアクルス杯では合計271.41点を記録。非公認記録ながら、この時期にして自己ベストを大幅に上回る得点でシーズンのスタートを切った。
次戦となったげんさんサマーカップでもシームレスな演技で圧巻の優勝を果たし、好調ぶりを示した。

高難度ジャンプの練習にケガはつきもので、中部選手権前に足を痛めるも、フリーでは果敢に4回転フリップに挑戦。惜しくも転倒したが、の後は練習してきた他の4回転ジャンプで得点を稼ぎ、見事優勝。次に控えたグランプリシリーズへとつながる大会となった。

今シーズンのグランプリシリーズは、フランス大会、NHK杯に出場予定で、2戦とも友野一希選手と同じアサイン。
よき友人で、よきライバルでもある友野選手と切磋琢磨しながら、表彰台とグランプリファイナル出場を目指す。


プログラムの詳細

今シーズンのプログラム

山本草太選手のフリー「ピアノ協奏曲第2番」のイーグル
全日本シニア合宿でも好調ぶりをのぞかせた

SP:「Yesterday」

FS:「ピアノ協奏曲第2番」


ショートは樋口美穂子さん振付の「Yesterday」を継続。
昨シーズンはNHK杯以降ほぼノーミスの安定していた演技を見せていた自信作。完成された演技に加え、今シーズンは表情などにも気を配り、自分のスケートの代名詞とすべくプログラムに磨きをかけていく。
表現面での進化はもちろん、新たに4回転トーループを加えた4回転ジャンプ2本の構成となっており、この1年間で技術的にもアップデートした姿とトップの選手の中で戦う覚悟を見せる。


「Yesterday」はポール・マッカートニーが14歳で最愛の母を失った気持ちを歌ったもので、ケガで一度は悲しみに暮れながらも前へと進む山本選手自身のストーリーと重ね合わせて表現してほしいと、樋口さんが選曲したもの。哀愁たっぷりの滑りに心奪われる、演技後もいつまでも余韻に浸っていたくなるようなプログラム。



フリーは、ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフが作曲した2つ目のピアノ協奏曲「ピアノ協奏曲第2番」。振付はケガからの本格復帰となった2017-2018シーズンのショート「Anthem」などの振付でも知られる鈴木明子さん。

この曲は全3楽章で構成され、使用したのは
ロマンティックな旋律が特徴の第2楽章。そのメロディにのせて披露されるムーブメントはどれもたおやかで、頭を抱えたイーグルはもちろん、頬を撫でる仕草一つとっても曲に甘さと切なさを添える。

また一定のリズムゆえにその端正なスケーティングが一段と際立つ作品となっており、霧雨が降り注ぐようなしっとりした曲調がラストには温かな余韻を残す。
スピードにのってたなびく紫紺の衣装は、尊敬する羽生さんの『Origin』の衣装からインスパイアされて作ったもの。

新技4回転フリップを加え、4回転ジャンプ4本という攻めの構成で挑む今シーズン。ピアノ協奏曲第2番」は、「交響曲第1番」で挫折を味わったラフマニノフが再びその輝きを取り戻すべく、苦悩の果てに作り上げた作品としても有名。
の出世作にして、完全復活ののろしを上げたこの楽曲と、新たな武器を携え、世界の表彰台を目指す。

これまでのプログラム

【2021-2022シーズン】

SP:「Yesterday」

FS:「これからも僕はいるよ」

このシーズンは、グランプリ東海クラブへの移籍により、ショート、フリーともに樋口コーチが振付を担当(その後、樋口コーチは2022年3月に独立)。
プログラムの詳細については、2022-2023シーズンの項を参照。

フリーは、盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリが歌う「これからも僕はいるよ」。
ピアノの美しい旋律に、山本選手の滑らかなスケーティングが見事に調和。
雄大なイーグル、ため息が漏れる美しいイナバウアーと、見どころ続きのプログラム。構成は、4回転2種類を2本、トリプルアクセル2本で、完成度の高い演技を狙う。

【2020-2021シーズン】
SP
:「黒い瞳」

FS:「ドラゴン」

2019-2020シーズンは初めて海外での振付を行ったが、2020-2021シーズンのショート、フリーはジュニア時代から振付をお願いしている宮本賢二さんが手掛けたもの。

ショートは、ロシアの皇帝エフゲニー・プルシェンコさん、町田樹さんなど名だたるスケーターたちも使用したロシアの民謡「黒い瞳」。徐々にテンポが速くなる曲に合わせ、力強く情熱的なステップを披露。妖艶で大人っぽい表情など、新たな魅力も見せてくれる。

フリーはノービス時代に滑ったことのある「ドラゴン」を使用。8年ぶりということで編曲や振付を変え、新たに生まれ変わったプログラム。

2019-2020シーズンより難易度を上げた3連続ジャンプや、持ち味のスピード感のあるスケーティング、見る人の心を奪う美しいチャイナ風衣装など、見どころが盛り沢山。

【2019-2020シーズン】
SP:
「エデンの東」
FS:「In This Shirt」

結果を求めて挑んだ2019-2020シーズンは、ショート、フリーともに、髙橋大輔選手のシングル時代のプログラム「道」でも有名な振付師、パスカーレ・カメレンゴさんに依頼し、初めて海外での振付に挑戦した。

ショートはかつて町田樹さんが滑り、名作と謳われた「エデンの東」。山本選手の持ち味である、流れるようなスケーティングを発揮できる構成で、曲がどんどん盛り上がっていくにつれて、内側から情熱がほとばしるような壮大なプログラムとなっている。

フリーも、ショートと同じく山本選手自身が選曲。4回転を3本入れる構成にチャレンジしている。後半からの畳みかけるような力強いステップは必見。



シーズンの成績

 2021-2022

  • ● 中部選手権 優勝
  • ● ジャパンオープン 4位
  • ● グランプリシリーズ スケートカナダ 7位
  • ● グランプリシリーズNHK杯 7位
  • ● チャレンジャーシリーズ ワルシャワ杯 優勝
  • ● 全日本選手権 8位
  • ● 日本学生氷上選手権大会 優勝
  • ● 国民体育大会冬季大会 優勝
  • ● チャレンジカップ 3位

 2020-2021

  • ● 中部選手権 優勝
  • ● ジャパンオープン 2位
  • ● 西日本選手権 優勝
  • ● グランプリシリーズ NHK杯 8位
  • ● Aichi Figure Skating Competition 優勝
  • ● 全日本選手権 9位
  • ● 国民体育大会冬季大会 8位

▷アスリート応援スポーツギフティングサービス:「Unlim」

▷Instagram:@sota0110

▷Twitter:@so_ta0110

写真/アフロ  取材・文/轟木愛美 Web構成/内山英理

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