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フィギュアスケート
2022.02.01更新日:2023.02.08
初公開日:2019年12月4日
金博洋
1997年10月3日生まれ、中国 ハルビン出身。
身長171cm。趣味は電子ゲーム、音楽、インターネット、靴集め。
国内の選手権で5度優勝、2018年平昌オリンピック4位、2019年グランプリシリーズ中国杯優勝、2020年四大陸選手権4位。
ジュニア時代から3種類の4回転を跳ぶ、男子4回転時代の立役者。
愛称は幼名の天天。
ジュニア時代からトーループ、サルコー、ルッツの3種類の4回転ジャンプを完成させていたボーヤン。ただ跳ぶのではなく、高さ、幅、回転速度の速さともに最高クラスというジャンプの質の高さも、ボーヤンが“天才ジャンパー”と評される理由だ。
2015-2016シーズン、シニアに上がる否や、史上初となる4回転ルッツ+3回転トーループのコンビネーションジャンプに成功。四大陸選手権で銀メダル、世界選手権では銅メダルを獲得と、鮮烈なシニアデビューを飾った。
さらに2016-2017シーズンには、自身の代表プログラムの一つともいえる『スパイダーマン』、『道』で、世界中を魅了。世界選手権では自身初の300点超えを達成し、2年連続の銅メダルを獲得するなど、躍進を遂げた。
満を持して迎えたオリンピックシーズン。
結果次第でグランプリファイナル出場可否が決まる、グランプリシリーズ2戦目のスケートアメリカ。実は両足首を捻挫していたにもかかわらず、痛みをこらえながら果敢に4回転ジャンプに挑戦。グランプリファイナルへの切符を見事つかみ取ったが、治療のためやむなく欠場することとなった。
オリンピックまで1か月を切った1月下旬。
決死の治療を経て復帰を果たした四大陸選手権。ショートでは自己ベストを更新する演技で2位、フリーで逆転優勝を決め、シニアチャンピオンシップ初制覇。間近に迫った夢の大舞台に向け、エンジンを加速させた。
その勢いのまま迎えた初めてのオリンピック。
並々ならぬ緊張感のなか、ショートではノーミスの演技を披露し、四大陸選手権で出した自己ベストをまたしても更新。フリーで4回転トーループの転倒があったものの、それ以外のジャンプはすべて加点のつく出来栄えで着氷。暫定1位の表示にキスアンドクライで涙を流した。
結果は堂々の4位。惜しくもメダルには届かなかったものの、支えてくれた母への感謝の思いとともに、4年後の自国開催のオリンピックに向け、決意を新たにした。
2018-2019シーズン。前半は、ケガなどの影響もあり、実力を存分に発揮できない時期が続いたものの、四大陸選手権で2位、世界選手権5位とシーズン後半には復調のきざしを見せた。
翌シーズンには、グランプリシリーズの中国杯でシリーズ初優勝を勝ち取り、グランプリファイナルにも進出。相性の良い四大陸選手権では、4位となったものの、4回転ルッツの高さと美しさは健在。最高時速30km/h超えでジャンプに突入する、迫力ある演技を披露した。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、誰もが未曽有の状況に追い込まれた2020-2021シーズン。
グランプリシリーズ中国杯も、自国選手を中心としたイレギュラーな大会となった。ショートではジャンプをすべて成功させ、100点超え。フリーではミスもあったが、冒頭の4回転ルッツはショートと同じく、4.60点という大きな加点がつく素晴らしいジャンプを披露。ショート、フリーともにスピン、ステップは最高のレベル4を獲得するなど、表現でも魅了し、完全優勝を果たした。
その後は、クリケットクラブのブライアン・オーサーコーチやトレーシー・ウィルソンコーチにオンラインで指導のもと練習に励んだボーヤン。
シーズンラストを飾る世界選手権では、ショート、フリーともに大きく崩れてしまい、22位という結果に。
前シーズンの世界選手権中止以降、トレーニングやダンスレッスン、食事管理など徹底して行ってきたが、ここでその成果を発揮することができず、「自分の努力を裏切った」と涙する姿にファンは心を痛めた。
そしてついに幕を開けた勝負のシーズン。
オリンピックのテスト大会も兼ねたアジアンオープントロフィーに出場するも、大会を前に虫垂炎にかかり、体重は5kgも減ってしまった。体調が万全でないなか、ジャンプミスが続き優勝は逃してしまったが、オリンピックと同じでリンクで滑ったことで、4か月後に控えた本番のイメージができたに違いない。
今シーズンのグランプリシリーズは1戦のみの出場。コロナの影響により中止となった中国杯の代替地として開催されたイタリアでの試合となった。
回復具合が心配されたが、ショートでは本来の美しい4回転ジャンプを披露。映画『グリーン・デスティニー』の情景が浮かび上がるような演技で首位に立った。
フリーではやはりまだ本調子ではないのか、ジャンプが決まらず、大きく順位を落としてしまい7位に。
その後、1枠を巡る国内での熾烈な代表争いを経て、ついにオリンピック代表の座を獲得。
いよいよボーヤンの2度目のオリンピックが愛する母国で幕を開ける。
ジュニア時代から複数の4回転ジャンプを操り、4回転ジャンプの申し子としてデビューしたボーヤン。それゆえに、ジャンプがなかなか決まらない時期には周囲の想像を超える苦悩があったはずだ。
しかしそんなイメージを払拭するように、近年は表現面でも努力を重ね、ジャンプだけでない、成熟したスケーターへと進化を遂げている。
そしてボーヤンの魅力を語る上で忘れてはならないのが、ジャンプのエッジの正確さ。高難度の4回転ルッツジャンパーが増えた現在においても、彼のルッツジャンプの完成度は別格で、多くのスケーターのお手本とされている。
中国の男子シングルのエースとして、どこまでも誠実に、ひたむきにスケートと向き合ってきた4年間。
積み重ねてきた努力は決して裏切らない。
自国開催という大きなプレッシャーに打ち勝ち、堂々とした演技でその手に栄光を掴み取ってくれることを世界中が楽しみに待っている。
リンクの外ではいつもニコニコ笑顔で、チャーミングな表情を見せてくれるボーヤン。
日本で開催されたアイスショーではセーラー服姿で登場し、会場を沸かせたことも。
常にフレンドリーなボーヤンは、羽生結弦選手や宇野昌磨選手といった日本のスケーターたちとも交流があり、選手同士でじゃれ合う微笑ましい光景も度々目撃されている。
遠征先では、中国代表ペアのチェン・ペン&ヤン・ジン組や、男子シングル韓国代表、チャ・ジュンファン選手と観光や食事を楽しむ姿を披露している(新型コロナウイルス感染症拡大以前)。
また、その美肌やファッションセンスにも注目が集まっており、InstagramやWeiboにおしゃれな私服姿をアップすることも。
SP:映画『グリーン・デスティニー』より
FS:「祈りと踊り」、「ボレロ」
4年に1度、さらには母国代表選手として迎える特別なシーズン。
ショートは4年前のオリンピックシーズンに演じた『グリーン・デスティニー』をリバイバル。19世紀の中国を舞台としたアクション大作で、自国の文化を象徴するプログラムを選ぶ選手が多いこのシーズンにぴったりのプログラムと言える。
豪快なワイヤーアクションで話題を呼んだ作品で、映画さながらに風を切るように駆け抜ける豪快なステップも見どころの一つ。中国の雄大な自然が目に浮かぶような優雅なスケーティングに、キレ味たっぷりの力強い振付を盛り込み、この4年の間に成熟した姿をたっぷり披露してくれるはずだ。
ちなみにこの映画の原題は『臥虎蔵龍(「まだ世に見出されていない有能な人物」の意)。ボーヤンの素晴らしさはすでに世界中が知るところだが、このプログラムをきっかけに更なる飛躍を遂げてくれることだろう。
勝負のフリーは、スペインの作曲家ロドリーゴによる「祈りと踊り」と、ラベル作曲の「ボレロ」。振付はもちろん、ローリー・ニコル。「ボレロ」はフィギュアスケートにおける定番曲ながら、ギターサウンドを使用することで、新鮮なプログラムに仕上がっている。
SP:Trio 1 in D by Kirill Richter
Mechanisms by Kirill Richter
FS:House of the Rising Sun performed by The House on Cliff
ショート、フリーともに新プログラムを披露予定。中国杯でお披露目を待ちたい。
SP:「First Light」
FS:「The Path of Silence」ほか
2016-2017シーズン以降、ボーヤンの競技用プログラムの振付は、ローリー・ニコルが担当。今シーズンのショートは、深い暗闇の中で、様々な経験を通して希望の光を見つけていくという物語。ケガなどに苦しむ時期がありながらも、4年ぶりのグランプリファイナル出場を決め、北京オリンピックに向けて調子を取り戻してきているボーヤンにぴったりのプログラム。
フリーは、今季初タッグとなる新進気鋭の若き振付師、ブノワ・リショーに依頼。脈打つ心臓の鼓動を加えアレンジされた壮大なプログラムで、新境地を見せてくれる。
ショート、フリーともに衣装は初めて伊藤聡美さんに依頼。伊藤さんは、羽生選手を始め数々のトップスケーターの衣装を制作する、今最も注目を集めるデザイナーの一人である。